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始まりの夕暮れ
それは本当に突然のことだった。
花巻茜は夕暮れの街を走っていた。
一足踏むごとに、肩から提げた赤いスポーツバッグが跳ねる。
休日には友達と遊びに行き、雨の日には飛び跳ねるクセ毛にイライラして、部活で焼ける肌に悩んだりする。
彼女は普通の女子高校生である。
「ちょっと、蘭子!7時のバスに間に合わないよっ!」
「ま、待ってえ。茜ちゃん走るの速すぎる~」
陸上で鍛えられている茜の脚力に、中学の頃から帰宅部だった幼馴染が勝てるわけがない。
---見 つ け た
「え?何か言った?」
遥か後方にいる幼馴染を振り返る。
その時、茜は確かに聞いた。
---お探ししました。
我が君。




