ある王国の悩み
初めて投稿しています。
更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。
ある王国の王城会議室。
「報告は以上です」
「うむ。大義であった。下がって良い」
「はっ‼」
「陛下、いかが致しましょう?このままではトワイスと我が国の国力差は開くばかりです」
「うむ。トワイスは共和国となって間もないゆえ、戦にはそれほど長けておらぬであろう…いっそ攻めるか…」
「しかし、それは危険かと思われます。トワイス動乱の折、神竜が現れたのは事実であると確認できました」
「神竜か…」
「噂によるとトワイスの異常ともいえる成長は全て魔境に近いソフィーという地によってもたらされたと聞き及んでおります。何とか我が国もそれを享受させて頂く方向で考えてはどうでしょうか?」
「それをトワイスは許すのか?」
「分かりません…が、ソフィーの地は訪れる者に区別なく、技術や知識を授けてくれる。そう聞いております」
「思惑が分からんな…しかし、事態は深刻だ。ソフィーの地がどういう場所であるのか。人伝では無く正確な情報を得る事が必要であろう。急ぎその方向で動け‼」
「はっ‼かしこまりました」
俺は商人…という名に隠れたスパイだ。
名前?言えるわけが無い。
俺は命令に従って魔境の外れにあるソフィー・バザールという場所を目指している。
片道5ヶ月…長い道のりだ。
カモフラージュの行商が順調すぎて本気で職をかえるべきか悩む…
いや、俺の使命は国の運命を左右する。
そんな考えは捨てるんだ。
「商人さん。本当にありがとうございます。この辺りへは中々行商が来てくれないもんで助かりました」
………
か、考えてはならない。
だが、報告は送っておこう。
ディル村は交易が行き届いていない。と。
改善されるといいな…
そして…
おお‼遂に見えてきたか。
あれがソフィー・バザー…
規模が大きく無いか?
聞いていた話では町という話だったが…
どう見ても街…いや、都市に見える。
ま、まぁ良い。
俺のやる事は変わらない。
早速向かうとしよう。
「ようこそいらっしゃいました。商人の方。行商ですか?」
「はい。そうです」
「それは大変だったでしょう。わざわざ外の国からご苦労さまです」
な、なんだと!?
なぜそんな事が…
そんな俺を見透かすように…
「この地の行商は全て管理されております。見慣れぬ方でその装いならば外国の方とすぐに分かりますよ」
宰相様…
そういう事は教えてもらえねば困ります……
全てを見通すような微笑でこちらを見ながらそう告げる、このエルフはリミルというらしい…
恐ろしいな…だが。
「ええ。新しい地の商品は無事に持ち帰れればとても利益になりますので…私は手広くその可能性を求めてやらせて頂いております」
「それは素晴らしいことですね。どうぞ良い商いをなさってください」
そう言って視線をこちらに残しながら去るエルフ…
その流し目が恐ろしい…
だが、一応の許可と捉えて良いだろう。
街を見て回ることにした。
…駄目だ。
……話にならない。
この街のどの部分を見てもその技術力、生産力に我が国が勝る部分が見当たらない…
敵対は愚策だろう。
極めつけは燃える石…ここでは石炭と呼ばれているらしい。
我が国では事故で死人が続出して開発が頓挫しているあの燃料は既に実用化されて利用されている…
勝てるわけが無い…
そう思い、呆然としていると…
「あら、仕入れは宜しいのですか?」
また恐ろしいエルフ…いや、リミルに声をかけられた。
「あ、いえ…あまりに見た事の無い物ばかりでついつい仕事を忘れてしまいました」
必死に取り繕うが…どうだろうか?
「そうでしたか。ご興味がおありならあちらの施設でお尋ねください。製法から実用化まで説明しておりますので」
衝撃だ…
この素晴らしい技術は全て開示してくれるらしい。
丁寧な説明付きで…
あの噂は本当だったのか?
「あ、ありがとうございます」
何とか声を絞り出して施設へと向かう事にした。
「リミル様。また間諜ですか?」
「ええ。増えて来ましたね。今度こそ上手く製法をまとめて帰ってくれると良いのですが…」
「それを言われると耳が痛いです」
「あなたも。でしたね」
「ははは…」
「製法や実用方法はまとめてしっかり国に届けてくれましたか?」
「はい‼それは抜かりなく」
「ならば良いのです」
「しかし、こうして落ち着いてみると国がどうのとか小さいことに思えますね」
「それがルーク様のお望みなのです。あなたも努努それだけは忘れぬようになさい」
「かしこまりました」
「さて、あの方はどう動かれるでしょうか?これ以上元スパイがソフィーに集まってしまうとまたお手を煩わせてしまうので本分を全うしてくれると良いのですが…」
その後。とある王国。
「陛下。放った間諜により、かの地より報告が届きました」
「おお。随分と時間がかかったな。通せ。」
「それで?」
「はっ‼かの地の全ての技術と知識。実用化に向けての我が国の問題点などの考察が添えられております」
「優秀ではないか」
「はっ‼それと共にこの報告をもって引退し、かの地にてリミル様とルーク様に忠誠を捧げて生きると書かれておりました」
「………は?」
「報告は以上です‼」
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