あるギルドマスターの呟き
初めて投稿しています。
更新頑張ります。拙い部分も目に付くと思いますが、気長に見守って頂けると喜びます。
私はリドリー。
かつてはS級冒険者として世界をまたにかけて活躍していました。
今は引退して後進の育成をしながらギルドマスターとして余生を謳歌しています。
冒険者ギルドとは国境に縛られず。
冒険者が国を超えて活躍出来るように。
理不尽な不利益を被ることがないように。
という方針に基づいて運営されています。
反面、冒険者が横暴に振る舞うことがないように抑制することも私たちの大切な仕事です。
各国の法律と冒険者の権利を折衝して大憲章を制定し、さらに各国での行動の注意点を周知する。
大まかに言えばこういう事ですが、物価や素材に対する価値も国をまたげば変わるもの。
それらを適正にやり取り出来るようにする事も大切です。
そして、冒険者ギルドは公表はしていませんが、合議制になっています。
ギルドマスター総勢80人から成る組織で、各国の情勢に習熟した者が担当する事になっています。
担当する国の国力やギルドの財政に影響されることなく、全ては冒険者のために行動する組織。
それが冒険者ギルド。
まぁそれを知るのはギルドマスターのみですね。
回りくどい言い方になりましたが…
全ては頭の固いほかのギルドマスター達に向けた皮肉です。
ええ。
私が数年前から提案しているトワイス共和国の外れに出来たソフィー・バザールという場所への冒険者ギルドの新規展開。
やれ、そんな場所に作っても人が集まらず廃れる。
だの。
冒険者ギルドも利益度外視ではやって行けない。
だの。
と言ってくれた他の幹部への皮肉なんです。
ほら、実際にこの町に来てみれば分かります。
とても整った綺麗な街並み。
どこの飲食店からも漂う食欲に訴えかけるこの香り。
町のお店に並ぶ商品の数々。
私が現役の頃には…
いえ、ギルドマスターになってからも。
数十…
コホン…。
長い人生の中で1度も見た事のない見事な物ばかりです。
しかもこの価格…
正気ですか?
町ごと買い占められますよ?
あ、その辺はトワイス共和国と既に対策済でしたか。
失礼しました。
まぁ、辺境という事で貴重な魔物素材も山のように溢れてます。
魔境と呼ばれる森は…
流石にS級冒険者が束になっても進めないでしょうが。
町を囲む平原でも魔物討伐だけで十分な収益を得ることが出来るでしょう。
そして最近増加している依頼。
私がここに来ることが出来るキッカケをくれた依頼ですね。
この町への護衛依頼です。
トワイス首都のギルドまでこの辺境近くの村から大変な労力をかけて依頼する者が続出したのでようやく来る事が出来ました。
辺境近くのギルド支部もこの町、ソフィーへの護衛依頼が溢れてとても回らなくなってきたと報告されていました。
いざ来てみればこの有様。
なぜ…
なぜもっと早く来る事が出来なかったのか…
その後悔は尽きませんが…
今は建設的に思考するべき場面です。
一通りの視察も終えました。
早速ご挨拶に参りましょう。
リミルという方がこの町の差配をされているそうです。
しかし、リミル様にご挨拶をしようとした所、ルーク様という方の代わりを務めていると言われました。
連絡をしてくれたそうで直ぐにここに来てくれるそうです。
本当に僅かな時間で現れたその男性は普通の人間のようでした。
失礼ながらリミル様の方がよほど強く聡明に見受けますが、リミル様のルーク様への接し方で私は悟ります。
これは絶対に逆らってはならない。と。
リミル様の態度は崇拝に近いものです。
リミル様にそのような態度をとらせるこの方が只人であるはずがありません。
幸いおくびにも出さない態度で丁寧にご挨拶からご相談までつつがなく終えることができました。
ルーク様もこのギルド支部の新設の意図を汲み取り、大いに賛同してくださいました。
その後、私がルーク様を読み誤っていなかった事はすぐに証明されました。
新しいギルド支部の予定地にどうか。と案内された場所は何も無く近場に作業場などしか無い殺風景なところでしたが、冒険者ギルドとしてはむしろ歓迎です。
活躍拠点である平原や街道が近く、作業場からの雑用依頼も数多く出して下さるとのこと。
効率を重視する冒険者にはうってつけでしょう。
残念なのは…
あの美味しそうな料理や快適そうな宿が遠いことでしょうか…
まぁ、我々の本分は冒険者が活動しやすい事。
そのための職員の犠牲は折り込むものでしょう。
と、意気込んだのですが…
ルーク様は事あるごとに宿はどういう形が良いか。や、食事はどういう物が好まれるか。職員の住居はどうするのか。などを聞いてきます。
聞いてどうするのでしょうか?
そう思ってギルド職員の待遇、冒険者のランクから収入の目安などを答えました。
ただ、冒険者ギルドの建物はどういう形が望ましいか。という事にお答えした後…
意気込まれて、地面に手をつかれました…
そこから先のことはよく覚えてません…
いや、覚えてはいるのですが、私の頭が理解してくれません。
見る間に土地はならされ、整形され、そばに作った畑らしき場所には、種を植える毎に木が一瞬で生えて来ました。
その木は…グレートウッド…
魔境の奥地に自生すると言われる超高級素材に見えます。
植えては生えるその木を使って、みるみる建造される…
…えーと冒険者ギルド?で、いいのかしら?
加工は空中に浮かべて行われています…
再びルーク様に声をかけて頂いて我に返った時には全てが終わっていました。
ソフィー・バザールギルド支部を中心として町中と同じような町並みが並んでいます。
私はあらためてこのお方にだけは決して逆らうまい。
そう心に誓ったのでした。
読んでいただきありがとうございます。
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