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11 旅する竜は明日を往く




 磨り減ったレンガ造りの街道の上を一人の女性が歩いてゆく。連れ合いは口数の減った妖精が一羽。夜空には青白い月が浮かび、女性が往く道の先をほのかに照らし出している。闇の彼方から風が吹いて女性の長い髪を撫でていった。

 町を救った二人の英雄がこつぜんと姿を消した──そんな話が町に広まったのはそれからすぐのことだった。一人の英雄は自宅に血痕を残して消え、もう一人の英雄は旅路の闇に消えた。


「エリー、ほんとうにこれでよかったの?」


 イリスが珍しく気を遣った様子で尋ねた。


「ええ。災いの種を取り除き、集めるのが私の使命ですから。かつて多くの人々を殺し尽くしてしまった、この私の──」


 エリーの手のひらには小さな結晶のような何かが握られている。それは竜の血が人間の体内に入って、心の臓にできる結晶体だ。それこそが竜の種である。これを人間から取り除くには、その者の身体を破壊するしか術はない。

 エリーは結晶体を首掛けのポシェットの中へそっとしまい込んだ。イリスが勝手に住みかにしているそのポシェットの底には、他にもいくつもの竜の種が眠っている。今までにエリーが各地で竜を仕留めてきた証である。

 この袋が種で一杯になるまで、彼女は旅をやめない。







 拙作をお読みくださり、ありがとうございました。

 このお話を書いている途中で、ふと主人公を男性にすげ替えてみようかと思いました。町の兄弟を姉妹にして、男と女のちょめちょめを増やして、俺TUEEEなシーンをもっと増やして……とかそんな感じの王道的なお話にしようかとも考えていました。でもそうしなかったのは、主人公が野郎では気に入らなかったからです……。このお話の主人公は感情の薄いクールな人物ですが、男を描くなら正義漢・熱血漢でないと私はどうにも気乗りしません。それに天然ボケ属性もちの野郎を描いても誰得だよって感じですし……。そんなわけで主人公はクールな女性のまま、正義漢は町の兄貴に演じてもらいました。

 さて今回はこのような読み切りという形で書いてみましたが、存外に筆のノリがよかったので続編も書くかもしれません。とはいえ、他にも書き途中の作品がありますし、元々は習作&気分転換で書き出したものですから何とも言えませんが……できれば続けたいと思っています。もし続編が出来上がったときには、そちらもどうぞよろしくお願いしますね。


  2012/10/14   冬森 圭

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