↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
65/225

1-2 彼氏と友人

浮気の描写あり。失禁の表現あり。浮気した男性に対してされた女性のキツイ発言あり。浮気した男性の見下し発言あり。浮気相手は掠奪好き発言あり。

苦手な方は読まないことをお勧めします。

「コウセイ。別れましょう」


 セトカは白黒ハッキリ付けたいタイプなので、連絡を取らずに自然消滅というフェードアウトは選択肢になかった。というより、小学生の頃、中学生の頃、高校生の頃……と大きくなるに連れて連絡を取り合わない友人が増えることで、何となくこうして大人になっていくのか。などと感傷的になると共に、せめて恋愛ごとに関しては、ハッキリと「お付き合い」と「別れ」を決めたかった。

 セトカが最初に付き合ったのは中学の時。一年半で手を繋ぐのがやっとの初々しいものではあったが、相手から受験勉強に力を入れたいから別れを切り出された。セトカはそれなりに好きだったが、仕方なく受け入れたのだが、それから一ヶ月も経たないうちに、彼に新しい彼女が出来たことが噂になっていた。その噂を聞いて思ったものだ。受験勉強はどうした? と。

 しかし、きちんと「別れ」を切り出されていたので気持ちを切り替えることが出来たのはセトカにとって、幸いだったかもしれない。

 というのも、友人は部活や受験勉強が忙しくて塾で知り合った他校の彼と自然消滅してしまったからである。その友人は中学卒業まで、その彼のことを引きずっていたので、セトカ自身は彼からきちんと「別れ」を告げられたことに対して友人には悪いが、気持ちを切り替える意味で良かった、と思ったものだった。

 尚、その友人は別の高校に行ったが、風の噂では新しく高校で彼が出来たそうなので良かった良かったと思ったものである。


 そんなわけで、この経験からセトカが今まで「お付き合い」をした相手とは、セトカからということもあれば相手からということもあったが、きちんと「別れ」をしてきた。

 そして今回のコウセイに対してもセトカは「別れ」を切り出した。コウセイは人懐こいし、人付き合いが多いから距離の近い「女友達」がいたし、それどころか「元カノ」ともその後の付き合いが続いていたので、もしかしたらセトカが知らないだけで二股とか有り得たかもしれない。

 とはいえ、コウセイに押されて流されるように付き合い、そのまま二年が過ぎていたのでコウセイが好きか、と問われれば、微妙な所ではあったので二股されても、怒るかもしれないが悲しむことはなかったと思う。知らないから言えるのだろうが。

 さておき。


「別れる? なんで」


「コウセイと私の価値観の問題。私、三十歳過ぎてから落ち着いた交際をしたくなったのよ」


「結婚ってこと?」


「いいえ。結婚は別にしたい、とも、したくない、とも思ってない。どちらでもいいの。ただ、コウセイの人付き合いの良さとか人懐こさは良い点だけど、私から見ると落ち着きがないように見えてしまって。私は、落ち着いた人とお付き合いしたいだけ」


 コウセイは何を考えたのか分からないが、少し考えると「嫌だ」 と断った。セトカはコウセイと似合う交際を好む女性もいる、と説得しようとして失敗に終わり。結局、そこからズルズルと更に一年が過ぎた。


「セトカ、結婚しよう」


「は?」


 一年が経つがやはりコウセイは変わらず、セトカも価値観の違いに悩まされていた時に、コウセイからプロポーズをされて思わず「何を血迷っているの?」 と尋ね返した。コウセイは「本気だ」 とムスッと不貞腐れながら結婚準備をしていこう、と続ける。

 セトカは結婚に憧れはなく、本当にどちらでも良かったが、そう言ってくれるのであれば……と式場選びや日程決めなどを二人で話し合い出した。同時に結婚するから一緒に住もう、とコウセイのマンションで同棲することをまたもセトカは押し切られた。

 ここでようやくセトカは自分が押しに弱い女だと気づくが遅い。話もそれなりに進んでいるし、同棲も始めた。互いの親にはもう少しして休みが取れたら挨拶に行くことにする、という所まで決まっていた。

 コウセイとセトカの休みが合わないので合わせられるように互いに有休を取得する日程を決めていた。

 そうして何となく二人で結婚という道へ足を進め出した所で、ある日残業が早く終わったので早めに帰宅したセトカは、同棲している二人の部屋にセトカが履かないハイヒールの靴を発見した。

 「ただいま」 と口にも出さず無言で部屋に入り居間に辿り着く。そこは人自体は居なかったが、人の痕跡は見つけた。コウセイの服と女性の服……下着も含めて脱ぎ散らかしてソファにあったからだ。

 隣の二人で使用している寝室からは男女の艶めいた声。男はコウセイ。女の声も聞き覚えがあったが直後にコウセイが「メイコ」 と相手の名を呼んで理解した。


「ねぇコウセイ。本当にセトカと結婚するの?」


「だって悔しいだろう? 俺、自分から別れを告げても告げられたのは一度も無かったのにさ、セトカはあっさりと別れるって言うから。結婚したいから他の男かなって思ったら、そうじゃないって言うからさ。本当に俺が好きじゃないから別れたいってことじゃん、それ。なんか悔しいからセトカと結婚して、セトカが俺を好きになったかな。って思ったら離婚すればいいかなって」


「ふぅん。まぁ私は別にいいんだけど。だって私、人の男にしか興味ないし。セトカと結婚している間ならコウセイと関係を続けるわ」


 なんて会話が聞こえて来たことから、セトカは溜め息を大きく吐いた。寝室の扉をデカい音を立てて開けて、二人が揃って目を見開いた所で言ってやる。


「おあいにくさま。私とコウセイは結婚取り止めだし、コウセイのことはズルズルと流されただけで好きでもなんでもないから。好きに関係を続ければ? あ、取り敢えず私は自分の服とか必要な物とか最低限持って行くために荷物作りするから、そのままベッドから出てこないでね。二人共邪魔だから」


 言いたいことを言って寝室の扉を閉める。


「ちょ、ちょっと待ってセトカ!」


 慌てて裸のコウセイが顔を出す。


「言ったよね。ベッドから出て来んなって。そんな粗末で他の女に使ってたモノを見せつけつつ、顔を出すなよ、顔だけ男が」


 コウセイの下半身をゴミを見るように言った後で、顔以外取り柄がない、とハッキリ突き付けて寝室へ戻れ、と指を差す。コウセイが真っ青な顔で寝室に戻ったのを見て、一人がけソファを扉前に置いた。つまり二人を閉じ込めた。

 それから高校の頃からの親友に電話をかけて、あらましを話すと「夫と一緒に直ぐ行く」 と叫ばれた。彼女の夫とも何度か顔を合わせているので荷運びをお願いしよう、とセトカは親友が来るまで荷物整理を始めた。

 寝室にもセトカの荷物はあるが、あの部屋に入る気もなければ、思い入れの強い荷物はないので不要だと判断。

 セトカが悠々と荷物整理をしている間に今度はメイコが寝室の向こうから「トイレ行きたい!」 と叫び出したので、セトカはアッサリと代替案を出した。


「ベッドの上か窓からベランダに出てすれば?」


 嫌ぁあああ、という声はしたが、一切無視してセトカは荷物整理を終えた。やがてやって来た親友夫婦に荷運びをお願いしつつ、荷物整理が終わったので寝室の前のソファーをどかしてあげた。

 号泣しながら出て来たメイコはベッドの上で粗相をしたらしく臭いがしたし、同じくらい号泣していたコウセイは服を着て土下座した。


「セトカのこと、本当に好きで結婚したいんだよぉ!」


 結婚したい程好きなら浮気するなよって話だ、とセトカは思う。それともあれか? セトカがコウセイを未だに好きじゃないという発言にショックを受けて自分の本心に気づいたとか? そうだとしても最低だが。


「するわけないでしょ。私、浮気も不倫も嫌いなの。じゃあね」


 そのセリフを最後にセトカは親友夫婦と一緒にコウセイの部屋を出た。

 その後の二人については、セトカは気にする必要もないので、知らない。彼女の心情にとってもそれでいいことだろう。強がってはいたが、結婚しても良いかなって思うくらいにはコウセイを好きだったのだから。

 このことが原因で、セトカはその後四十五歳で死ぬまで独り身を貫くのである。


 しかし、セトカ自身知らない事だったが、転生してネスティーとしての人生を歩み始めたのだが。

 異母妹であり世間では養女扱いのシッティーは、セトカに恋愛を避けさせる原因となったメイコの生まれ変わりであった。シッティー自身も前世の記憶は無いが、因縁とは時を巡り世界を超えても繋がるもの、らしい。

お読み頂きまして、ありがとうございました。


本章は今話で終了です。

第三章【平民始動編】まで、少々お待ちください。

第三章からオズバルドによる【不器用で空回りな】溺愛が始まる予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。