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7-2 間話・助けたいと思った婚約者〜オズバルド視点

 父上の本気が凄いのか、父上の手の者が凄いのか。

 数日でロニーという少年の生い立ちを把握した。

 父上が受けた報告を、ヘルムに話す場に立ち会ったのだが、ヘルムが居た孤児院を探り、そこからロニーが孤児院に行った経緯を調べたらしい。


「簡単に言えば、あの孤児院の近くでロニーは生まれ育った。ヘルムとは住んでいた地区が違ったから孤児院で出会うまでは知らなかったのだろう」


 そんな切り出し方で父上がヘルムに話す。


「ロニーはネスティーの祖父である前伯爵の弟の孫だった。前伯爵の弟は成人して城で文官になった。その頃に城に仕えるメイドの一人と恋に落ちて結婚。生まれたのがロニーの母だった。

 ロニーの母が年頃の娘になると、どうも質の悪い男に騙されたようだな。前伯爵の弟は顔立ちが整っていたのだが、その妻となったメイドも可愛らしい顔立ちだったようで、ロニーの母は可愛い顔立ちに明るくて愛嬌の良い娘だった。

 両親は質の悪い男に引っかからないように目を光らせていたつもりだったみたいだが、そんな両親の心配を他所に誰くれとなく愛想を振り撒いていたロニーの母は、顔の良いクズ男に引っかかり……結婚前に妊娠。同時にロニーの母を弄んだクズ男は行方を晦ませて、ロニーの母は結婚せずに子を産んだ。

 これがロニーで、ロニーの母とその両親でロニーを育てていたんだが、ヘルムと同じように流行り病でロニーの祖父母も母も死んでしまった。それでロニーは、あの孤児院に行った。後はヘルムが知っている通りだ」


 淡々とした父上の話に、ヘルムは「じゃあロニーとご令嬢は……親戚」 呆然と呟いた。


「ヘルムが気付いてくれたから、亡くなったとはいえ、ネスティーの身内のことが分かった。感謝する」


「いえ、こちらこそありがとうございました」 頭を下げてヘルムが礼を述べる。だが父上は首を横に振った。


「それだけではない。今回調べてみて分かったことだが。前伯爵は一番目。二番目と三番目が男で四番目が女。つまり弟が二人に妹が一人、前伯爵には居る。ロニーの祖父は三番目の生まれなのだが……前伯爵以外の三人はとても見た目が整っていてな。

 で。

 どうも、平民になった弟の家族や嫁いだ妹の家族と時々会っていた時に、ラテンタール伯爵は、疎外感を抱いていたようだ」


「疎外感?」


 父上のいつもはスッパリとした物言いが、何故かグダグダな言い回しになっていることに私は首を捻って問い質す。


「要するに、従兄弟達はみんな見目麗しいのに、自分だけが父親に似て平凡というかそれ以下の顔立ちであることに、勝手に敗北感を覚えたというかなんというか」


 なんだそれは。

 誰かに顔について嘲笑されたとか、馬鹿にされたとか、そんなことがあったとしたのなら兎も角、父上の説明ではそんなことは無かったということだ。

 要は勝手に卑屈になった、という事だろう。ラテンタール伯爵の思い込みというやつだ。

 ……ってまさか。

 私がハッとすれば父上が頷いた。


「まさか、ラテンタール嬢が伯爵に疎まれているのは、伯爵の勝手な思い込みによる卑屈さが、そっくりに生まれて来たラテンタール嬢に対する鬱憤晴らし、ということですか」


 私はそんなまさか、という気持ちで父上に尋ねたけれど、父上は「そのまさか、だな」 と肯定して。私は、あまりのクズさに吐きそうになった。


 そんなの、あんまりではないか。

 ラテンタール嬢に八つ当たりなど愚かとしか言えない。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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