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7-3 間話・助けたいと思った婚約者〜オズバルド視点

 ヘルムはロニーという亡くなった少年の生い立ちを知り、ラテンタール嬢が親戚だと分かったからか、余計に親身になっていった。……私は相変わらず会えない日々を送っているというのに。

 ヘルムから話を聞かされているとはいえ、私だって彼女に会いたいというのに。

 尚、父上の手の者から齎される調査の進捗状況によると、どこから金を調達しているのか疑問に思う程、伯爵と後妻と養女の金遣いが荒いようだ。

 三人それぞれの報告によれば、使用人達は疑問にすら思っていないらしい。

「また、新しいドレスかぁ」「奥様は大きな宝石の付いた首飾りみたいよ」

 などという会話が使用人達の間では頻繁に行われているらしいが、金の出所を使用人達にそれとなく尋ねてみても「さぁ知らない」 の一言で済ませてしまうとか。

 勝手に税金の支払い額を上乗せしている、という確たる証拠が無いので疑惑があっても黒だと断言出来ないようだ。尤も領地の収入から割かれる伯爵家の予算、更に個別の予算から考えれば絶対に増税を課しているはずだが。


「やはり、気になるのは前伯爵と伯爵家の嫡男の動向だ」


 父上の言葉は言われずとも私も考えていた。

 領地の増税。

 という事は領地に居るはずの前伯爵と嫡男が知らないというのは有り得ないからだ。

 知らないフリをしているのか、知っていて諫言をしているのか……抑々前伯爵は兎も角、嫡男が領地から出てこないのは何故なのか。

 父上は影を喚んだ。


「ラテンタール伯爵領に行き内情を調べてこい」


 顔を見れば、父上に仕えて十二年経つ手練れだった。少し安堵しつつ数日が経過した時、ヘルムが深刻な表情で父上に聞きたい事がある、と切り出した。


「どうした?」


「料理長の事なのですが」


「ああ、それか」


 ラテンタール家に関する報告は、私が婚約者であることから、父上は必ず私を同席させてくれていた。

 という事は料理長とはラテンタール家の、という事だろう。我が家の料理長に問題があるわけがない。毎食美味しい食事しか出さないのだから。


「公爵様に尋ねていいって聞いたので」


 ラテンタール家に潜んでいる使用人達から、という事だろう。


「料理長は、ラテンタール伯爵の後妻に収まった女の愛人だな」


 なんだよくある話か。

 ヘルムが「愛人⁉︎」 と驚く。

 今更こんなことで驚くものだろうか。


「大した事ではないだろう」


 父上もヘルムの驚きように首を傾げた。


「いやだって、あの後妻、伯爵の後妻に収まったのに愛人を迎え入れるなんて大胆なことをするなって」


 ああ、ヘルムって割と真面な思考をしていたのか、と納得した。それとも普通の感覚というか。


「そりゃ、何にも考えてないから出来るんだ」


 父上、容赦ない一言だな。

 まぁそうだろうけど。アレコレ考えられる頭があったら、夫に愛人の存在がバレたらどうしよう……などと考えるのが普通なのだから。


「ああ確かに。アレコレ考える頭などなさそうな感じですもんね」


 ヘルムが納得していた。


「ついでに言えば後妻の娘である養女は、ラテンタール伯爵の娘ではなく、料理長の娘だな。養女が後妻そっくりだからラテンタール伯爵も気付いてないし、知らないのだろうね。更に面白いのは、その後妻の目を掻い潜りながら料理長は何人かのメイドに手を出している、というものだがな」


 父上のついで話の方が強烈で言葉を失った。

 あの養女は伯爵の娘じゃないのか! じゃあもう少し邪険に扱っても許されるんじゃないか⁉︎ 一応、ラテンタール嬢と血の繋がりのある令嬢だから、とそれなりに優しくしていたが、何の関係もないならラテンタール嬢に嫌われることもないと思う。

 チラリとヘルムを見ればヘルムも言葉を失っていた。料理長に何かあるのか知りたかったらこんなとんでもない話だったとは思わなかった……という顔をしていた。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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