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最強騎士だったけど転移したらニートだった件 (仮)  作者: さいだー
???

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97/123

スープ

彼女の案内で岩肌にぽっかりと空いた大穴に案内されると

彼女は手際よくに数名の部下(?)に指示をして

火を起こすとどこから持ってきたのか倒木をその横に置いて椅子の変わりにしてあっという間に暖をとれる空間を作り上げた。



「ここに腰をかけると良いぞ」


彼女はそう言って倒木の方に腰に手を回してエスコートをしてくれた。


「ああ

ありがとう」


なんか立場が逆のような気もしなくもないが

それにしたがって倒木……もとい即席の椅子に腰を下ろす。


「それとだ

そんなに濡れている服を着ているのは良くない

風邪を引いてしまうぞ?


そうだ!今すぐに脱ぐんだ!

さあ!さあっ!」



なんだこの子……怖い


まだ視界のぼやけがおさまっていないから彼女の表情をしっかと

確認することはできないがその言動は鬼気迫るものだった。


「いや……大丈夫だ


このまま焚き火に当たっていればすぐにでも乾くさ

だからおかまいなく」



「そうはいかない!


僕の目の黒いうちは見過ごす事はできないんだ


ああもう!見ていられない


さあ全て脱ぎさってこれを着るんだ!」


そう言うと彼女は自分の羽織っていたコートを一瞬で脱ぐと

俺に差し出した。


コートを差し出す彼女の右手とコートの隙間から白く柔らかそうな物が見え隠れしている

そうまるで柔肌のような……ん柔肌?


「あーっ!

マーシャいけませんよ!

まーた全裸になってしまって……はしたないです!

最低です!」


横から少年?が割り込むようにして体を滑り込ませてきた。


なに?全裸だって?!

必死に少年?越しに覗き混もうとするもよく見えない

くそっ!邪魔だ少年!


こんな一世一代のチャンスだって言うのに少年?の妨害と視界のピントが合わないせいで……

きっと一生後悔しても後悔しきれないだろう……



「さあ早くこの服を着てください


ってあなたもなに覗いてんですか!?

さてはあなた物好きですね?」


少年?が几帳面に畳まれた服を差し出すが「いやだ服は嫌いだ」

と突っぱねた


「そんな態度だとまたあのお方に叱って頂くしかないみたいですね」



「気が変わった

服を着る気はないがこのコートは羽織っておくことにするよ

それでいいね?イーシャ」


言うや否やそそくさとコートを羽織ってしまった

くそっ!こんなまたとないチャンスを逃してしまうなんて……

しかしこいつ全裸の上にコートだけを羽織っていたのか

性癖がなんやかんやいっていたが露出狂なのか

と言うことはまたチャンスは廻ってきそうだな



「はあ……仕方ないですねマーシャは

なぜそんなにも身に何かを(まと)うのを嫌うのでしょうか……」


呆れたようにうなだれていたかと思ったら思わず無意識に目を反らしてしまうような目付きでこちらに向きかえり



「さてあなたもいつまでそうしているのですか?

マーシャの裸の何が良いのかわかりませんが

早く着替えたらどうです?」


はいとマーシャに渡そうとしていた手とは反対に持っていた衣服を手渡してきた



「あ、ありがとう


いや別に覗いてなんか……いないぜ

ただ目に入っただけというかなんというか……」


なんともバツが悪い

逃げるように陰で着替えてくると伝え回れ右をして洞窟の奥に進む



「そうですか

ではこちらでなにか温まれる物を用意してお待ちしております」




さて着替えようと、手渡された物に目を向けると一つなぎの白い装束のようなものだった。

この場合ローブと言った方が正しいのかもしれない。


びしょびしょに濡れてしまった服を脱ぎ捨てローブを身に(まと)ってみると膝ちょっと上までの丈しかなかった。

どうも落ち着かない

下がスースーする

女子がスカートを履いている時はこんな感じなのだろうか

まあ濡れてしまった服が乾くまでの辛抱か



「じきに慣れるさ」


急に声をかけられたもんだからぎょっとして

きゃっ!なんて声をあげてしまった




「そんなに驚く事はないじゃないかい?


さあ着替えたのなら早く体を温めると良い

君はとても顔色が悪いからな体調があまり良くないとみた!


ギロトカゲのスープも用意させているぞ


君の服も預かろう乾かしておくとするよ」

と言ってこちらに右手を差し出した。


いろいろ突っ込みどころ満載なのだが

マーシャの見立て通り体が気だるいせいで突っ込むのもめんどくさい

だから大人しく従う事にしよう



「ああそうさせて貰うよ」

マーシャに脱いだ衣服を手渡して焚き火の最前列

特等席に移動する。


石を積んで作られた即席のコンロに鍋をかけていたイーシャがこちらに気づいて声をかけてきた。


「なかなかお似合いではないですか


もう少しでスープが出来上がります

ちょっと待ってくださいね」



ああと返事をしてからゆらゆらと激しく揺れる炎に目を向ける

外は大荒れらしく洞窟の奥まった行き止まりの部分に布で幕を張って臨時の休憩スペースとしているのだが風が入り込んできているようだ。




あいつら大丈夫かな……揺れる炎の狭間に俺に手を差し出してくれた

差しのべてくれた女の子の姿を見ていると自然と瞼がスーッと落ちてくる。

それは意識しても止められない

がなんとか眠らないように耐えて船をこいでいたら

「はいどうぞ」と湯気の立ち上る器を顔の前に突き出されていた。


「ギロトカゲのスープです

とても温まりますよ!」




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