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最強騎士だったけど転移したらニートだった件 (仮)  作者: さいだー
???

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85/123

えっ?

夜の町とは言っても片田舎である。


「出てきたは良いが何食べるつもりだよ?」


一応商店街とおぼしき通りはあるのだがまた一つ二つと店じまいを始めている。


そもそもが閑散としていて食べ物屋があるのか怪しい所だ。



「私に聞かないでちょうだい」


こいつが外食に行こうと言い出した張本人であるのにこの態度だ。


「お前な‥‥‥」



たたたと小走りでネムが前方を確認するように前に出る


「見て‥あそこ‥」


指差す先には一件だけ灯りをともして営業していると思われるおそらく食べ物屋があるではないか。


そちらからなんとも言えぬ香りが漂ってくる。



「いいじゃない!

あそこにしましょう!」



俺が答える前にネムとノエル二人が早足で店に向かって行く。


「ちょっと待てよ」

しかとかよ


もちろん俺も行くのだがなんだろうこのなんとも言えない気持ちは‥‥‥


二人の後を追って気持ち早歩きで追いかける。







___________________________________



店内に入ってみるとテーブル席が入り口から見て二つとその奥にカウンター席で座席が4つ並ぶ作りだ。

客の姿は俺たち以外に他にない

一人で切り盛りしているのか紺の作務衣に捻りハチマキのおっさんが出迎えてくれた。


この世界の住人にしては珍しく高圧的ではなく

むしろ腰の低い部類のおっさんだ。


手もみしながらそれでいて滑舌よくはきはきと

「いらっしゃいませ!

何名様でしょうか?」



「三人

テーブルでいい?」



「どうぞ

お好きなお席に」


それを見ていたノエルが入り口入って左の席に何も言わず座る

それに続いてネムがその隣に


ノエルの正面‥‥‥はなんか嫌だからネムの正面に俺も腰を下ろす。


着席したのを確認すると店主がカウンターの中からオーダーを聞いてきた。



「なんでもいいか?」


無言でノエルとネムは頷く


「おすすめでなんか適当に3つ」



「お客さんここら辺の人じゃないですよね?」



「ああそうだけど」



おっさんは少し考えるように目線を泳がすが

すぐにこちらに視線を向け直す

「かしこまりました!

少々お待ちください!」



そう言うとおっさんはすぐに調理に取りかかる

ところでここは何屋なんだろうか?

まあ料理が出てくればわかることか



「それにしてもここが開いてて良かったな」



よほど連日食べ続けていたギロトカゲが嫌だったのかネムがテーブルに突っ伏しながら


「そうだね‥そうじゃなかったら‥またギロトカゲの炙った肉だった‥もんね‥」


でも、と続けて顔だけをこちらに向けてニッと口角を上げる


「久しぶりに違うのが食べられる‥!」



そうねとノエルも感慨深そうに二度頷く


たしかにトカゲ肉には俺も飽き飽きしていた。

いったいあのおっさんは何を食わせてくれるのか


自然と三人の視線がおっさんに向く

視線に気づいたおっさんが一瞬ビクッと震える

「どっ、どうかなさいましたか?」


親指を立てて

「おっさん期待してるぜ!」

とプレッシャーをかけてみる。

それを見たノエルが両手で肩を抱いて「寒っ!ずいぶんとここは冷えるわね」なんて言っていたが俺は気にしない。

気にしない。


おっさんはノリが良くそんな俺のダル絡みにも嫌な顔一つせず


「お任せくださいここらの郷土料理を振る舞わせて頂きます!」



「待ってるよ」


あんまり迷惑かけんのも悪いからおっさんに絡むのはもうやめよう



ノエルとネムに向き直る。

適当な話題を振る事にしよう


「そういやさっき眠ってるとき夢を見たんだ

可笑しな夢だった」



「夢‥?」


ノエルはあんまり興味がないようだがネムはテーブルに突っ伏したまま聞き返してきた。



「そう夢


現実世界でお前達二人と学校に登校している夢だった」


言い終わるが先か後か

「なにそれキモッ!」

明らかに不快な表情、隠す気もないようで

先程よりも強く両肩を抱いている。


「だってそれあんたの願望って事でしょ?」



首を左右に軽く振ってノエルの問いを否定する

「いや、そんな願望はないよ

第一に学校に通う気‥‥‥なんてないからな」


厳密に言えば一緒に登校していたのは俺じゃない

もう一人の俺だしな



「ふーん本当かしらねー」

左目だけ半目になって覗きこむようにこちらを見てくる。

乗り出したテーブルに立派な胸を押し付けてそれが強調される。

それが視界に入って思わず目をそらす





「私は‥別にいいよ‥」




ネムの声があまりにも小声で聞き取れなかった

「えっ、なんて?」




「なんでもない‥」




「だからなんて言ったんだよ?」



「なんでもない‥!」


ムッとしたようにふんとそっぽを向いてそれ以降何を聞いても返事をしてくれなくなってしまった。


ノエルが「ネムあんた‥まさか」なんて言っていたんたがなんのことやら


ネムの機嫌は後でとるとして‥‥‥



「それでさ夢には続きがあるんだ」



「なによ?

まさか‥‥‥私達に変なことしたんじゃないでしょうね?」



「してないから!誓って指先もかすめてないから!」


まだ疑っているノエルが口元を歪ませている

「本当かしらねー?」



思わずはあ、とため息をつく


「なんか夢の最後に明日例の場所で待ってると言われたんだよ」



「なにそれ?

私達と夢の中で約束したって落ち?」



「いや違う

相手は誰だかわからなかったんだよ」



「ふーんまあ夢だしそんなもんでしょ」

そんなもんで片付けられてしまったが

確かに夢なんてそんなもんか_

なんて一人で納得していると後方から声をかけられた。



「お取り込み中すみません

失礼します!

お料理お持ちしました!」


おっさんだった

両手に調理済みであろう物の乗った皿を持って



とても良い匂いがした


でもその匂い‥‥‥




「はい!こちらギロトカゲのステーキになります!

ギロトカゲの肉はこの辺りの特産品になっております!

どうぞご堪能ください!」



「「「えっ?」」」






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