きっかけ
夜も遅いから馬車で走るのは危険だとノエルが言い出して小屋の前で一晩明かす事になった。
今までなら夜だろうがなんだろうが
進めしかコマンドがなかったはずのノエルだが
それは彼女なりにセイラを心配している証しだろう。
今はモンスターが寄って来ないように火を炊いて
その回りを囲むように座り
買い込んだギロトカゲの燻製を串刺しにして火で炙り食べている所だ。
トカゲと言ってもドラゴンの小さいサイズ-全長1メートルほど-らしい。
これがなかなかの美味。
ほんのり塩味でササミに近い食感だ。
「このお肉‥おいしいね‥!」
「そうね!
日本に戻ったらみんなに教えてあげたいわ!」
などと女子2人が話しているが
食べている肉がトカゲだなんて知ったら
悲鳴をあげて吐き出しそうなので黙っておくとする。
ユニはというとその辺の草をムシャムシャと頬張っている。
「そういえば最初2人に会った時この小屋で会ったけど
なんで小屋にいたんだ?」
そう。
ずっと疑問だった事だ。
俺はkに行くように勧められてここここにやって来たのだ。
kを知らない彼女達はいったいどうやってここにたどり着くついたのか?
モシャモシャとトカゲ肉を頬張りながらノエルが答えてくれた。
行儀悪いよ?ねぇ?
「魔法陣っていうの?
ゲームからこっちの世界に送られる時に現れた変な文字の光
あの光に吸い込まれた時
神殿を目指しなさいってアナウンスがあったじゃない!
あんたもそれ聞いてを来たんじゃないの?」
ネムも同調するようにコクコクと頷いている。
「いや俺は違う
最初俺は市場に転送されたんだ
そこでkと名乗る奴と知り合って神殿を目指すように進言されたんだ」
ふんと鼻で笑ってからノエルが口を開く
「またk?
あんたの言う架空の人物でしょその人」
「いやkは存在している‥‥‥」
‥‥‥
話すべきか否か迷いつつも話さなければ話が進まないと意を決して
秘密を話す事にする
「‥‥‥実はなドラゴンを倒したのも、
マーダーコングを倒したのも俺じゃない‥‥‥
kなんだ」
食べるのをやめ
持っている串刺しになった肉を胸の上に乗せてから
「確かにあんたがドラゴンを倒せたとは思えない‥‥‥
けど
kなんて人物は絶対にいないわ
だって今まであんた以外誰も見てないのよ?
それにあんたの話から推測するに都合の良い場面にしか現れない
出てきたり消えたりまるであんたの妄想ね」
言い終えるとまたモシャモシャと肉を食べだした。
妄想か‥‥‥
なにも言い返せないが実際にkはいる
でないと俺は‥‥‥
「今日の所は先に寝かせてもらうわ
何かあったら起こしてくれ」
馬車に向かって歩き出す。
「ちょっと!馬車の中は私とネムで寝るからあんたは外よ」
やれやれ
「あーわかったよ」





