表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世紀末救世主になれないおっさんは目が死んでる  作者: 海光蛸八
最終章 約束
72/73

紡いだ光

シェルター99を脱出したマコトは譲治の言われた通り、ジャンクタウンに向かった。話を聞いたアンドロイドの少女とタクヤは譲治の死を悼んでから、信頼と実績のある行商隊にマコトを同行させてくれた。別れ際、彼女は今後もマコトの力になると約束してくれた。

 

 シェルター37に戻ったマコトは、譲治から受け取った基盤で浄水器を修理した。その後、閉ざされていた扉を開いて無料で水を配給することを提案した。それが今の自分にできる、精一杯のことだと思ったからだ。管理官は初めは反対したが、マコトの熱意に押され、やがてはその提案を飲んだ。手始めに公園の干上がった池が清らかな水で満たされた。


 配給には行商隊が使われた。アンドロイド少女の力添えもあり、きれいな水が急速に地域全体へと浸透していった。人々は清められた水を飲み、体を洗い、作物を育て、家畜を飼った。略奪せずとも水が手に入るようになり、この地域の野盗と呼ばれる存在は、徐々に数を減らしていった。


 マコトがシェルター37に帰ってきてひと月。ほんの少し、限られた地域でだが、世界はいい方向へと傾きつつあった。

 

 しかし、問題がないわけではない。


 浄水器が再び壊れてしまえば、また元の混沌に還るだろう。

 無料の水を、遠方で売買して儲けようとする輩も出てくるかもしれない。

 蒸留水配給の利権を狙い、シェルターに攻め込む輩がでるかもしれない。

 水だけでは足りぬと、再び略奪を始める者もいるかもしれない。

 彼女たちの権威が強まるのを恐れ、陥れようと画策する者が出るかもしれない。


 だが今は――。


 大人も子供もきれいな水を飲み、笑っている。

 たとえそれが一時のことであろうとも。

 譲治が託し、マコトが紡いだ光は。


 しっかりと、彼らの心に刻まれている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ