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No.7 クロス

今回は別視点からです。

森の近くの都市にある、主に煉瓦や石などで作られた建物がまばらに並んでいる、活気にあふれているある。

その国の中で、一際目立つ建物の一室が酷く賑わっていた。

それはお祭りのような賑わいではなく、切迫感の詰まった賑わいだった。


「ギルド長!報告です!つい先ほど、森の中から膨大な魔力の膨張を確認しました!」


「原因は?」


「不明です!しかし、一瞬だけ膨張を見せた後、萎むように小さくなっていきました!」


「魔獣の出現の可能性があるな。どのくらいの魔力量かわかるか?」


「この魔力量だと・・・・Sランクはくだらないと思います!」


「Sランク・・・・」


Sランク。かつてSランクの魔獣単体で一つの王国を滅ぼしたことがあるという。それが近くの森に。


「これは・・・・マズイな。森のどの程度かわかるか?」


「はい。推測では森の深部だと思われます。」


深部・・・。あそこは獣が寄り付かない場所だ。人間でさえも近寄りたくない雰囲気を醸し出している。


「深部・・・深部か。たしかにあそこは魔獣が生まれてもおかしく無い雰囲気だな」


しかし、魔獣が生まれそうな雰囲気を醸していても、森自体の脅威は低かったはずだ。今まで、強力なモンスターが出没したり、ましてや魔獣が生まれたなんて聞いたことがない。


「騒ぎにならないよう、緘口令を敷いておいてくれ。それから。森に関する依頼は全てキャンセルしておいてくれ」


「は、はい!今すぐ!」


慌てて出ていくギルド員の背中を見ながら、はぁ、とため息をついた。


「森の深部・・・・Sランク魔獣・・・」


暫くの間、忙しくなりそうだ。そう思いながら、煙草に火を付けた。


――――――――――――――――


サワサワサワ。と、草を踏みつけるような音が聞こえる。その音を出している小さな体が、先程からキョロキョロとあたりを見回しながら、グルグルと歩き続けている。

そう。この小さな体の持ち主は、天然の迷路じみたこの森で迷ったのだ。

正確には行く当ても無く彷徨っていたら、そのまま迷ってしまった。


「ここ・・・さっき通った所・・・?」


小さな体の持ち主が、透き通るような可愛らしい声で言った。

先程とは違う場所なのだが、周りには木しか無いせいで同じところを回っているように思えるらしい。


「一体ここはどこなんだ・・・・?いや、森なんだけどさ・・・・」


小さな体の持ち主は本格的に迷い込んでしまったらしい。


――――そろそろ、助けてやるか。


久しぶりにこの森に入ってきた生き物だ。ここで朽ちるのを見ているのも、後味が悪い。

喋るのは久しぶりだ。喋る感覚を、しっかりと体が覚えているだろうか。

そんなことを頭の片隅で考えながらこう言った。


「――――私はこの森に住む者だが、助けは必要か?」

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