No.6 リスタート
眠りから覚めても、やっぱり洞窟の中だった。
どうも夢じゃなかったらしい。
「さて、これからどうしようか・・・・」
うん。本当にどうしよう。洞窟から出るアテもないし、洞窟に住む術もない。というかこんなところに住みたくない。とっとと脱出したい。
どうしよう・・・と思っていると、ある一つのスキルについて思い出した。
「えっと・・・・『空間把握』」
一瞬、眩暈のような感覚に陥ったが、すぐにその感覚が何なのかを理解した。
「頭の中に・・・・全部入ってくる・・・・」
自分が立っている周りの地形がマップようなイメージですべて頭の中に入ってきた。
まだ熟練度が低いせいか、洞窟全体の把握までとはいかなかったが今はこれだけでも十分に心強い。
「さて・・・ここからでるには・・・・・っと、こっちか」
頭の中のイメージを頼りに進んで行く。
とくにこれといった障害もなく、地上への道なりを進んでいった。
「ていうかこれ、かなり便利だな。地図を作る作らないにしろとっておいたほうがいいスキルだったよね」
そんなことを呟きながらも、てくてくと歩いていく。
体が少女になり、身長が小さくなったことで歩くスピードも若干落ちてしまったがこればかりは仕方ない。
かなりの時間を歩いただろうか。少し疲労が溜まってきているように思えた。
「ふぃ・・・ちょっと疲れちゃったし、ここらへんで休憩するか」
と、近くにあった岩に腰かけた。そして、完全に忘れていた。自分が全裸だということを。
「ひゃいん!?!?」
自分でも驚くほど素っ頓狂な声が出た。
「うぅ・・・・自分が全裸だってこと、わすれてた・・・・冷たい・・・冷たかったよぉ・・・」
暫く、雨で地面が濡れてる日の体育の時に地面に座るような格好で座っていた。
「決めた・・・どんなに格好悪くてもいいから服作る・・・・」
異世界で初めて、心から望んだ願いが服がほしいなんて・・・・ちょっと笑っちゃうな。
そんなことを思っていると、急に頭の中に違和感を感じた。まるで頭の中に直接ミントをぶち込んだみたいな感覚だ。
そんなことを思っていると、頭の中のマップが広がった。
「あ・・・熟練度が上がったのかな。」
これで出口までの探索が楽になった。
「んー、でもまだ、出口は見えないのか。どんだけ深いところにいたんだよ。」
あの女神め、変なところからスタートさせやがってとか心の中でdisったりしながら歩いていくと遂にマップの端っこが明るく光った。
「お、そろそろ外だ!ちょっと急いじゃおうかな」
やっと見えた出口にウキウキそわそわが止まらない。ちょっと走っちゃったりもしてる。
進むごとに視界が明るく染まっていって、やはり出口はもう少しなんだな。と実感させる。
ペタペタペタっと、可愛らしい足音を鳴らしながら進む足を急がせる。
急に視界が光で染まった。と思うと、体が温かい光に包まれた。
どうやらここは森の中らしい。耳を撫でる、葉が擦れ合う音色に耳を傾け、あたりを見渡しながら確信した。
洞窟のほうを振り返り、
「やっと・・・・出れた。バイバイ洞窟。」
と呟くと、軽やかな足取りでその場を後にした。
ドジな主人公を書いてみたかっただけです。