大魔王の振舞
ブックマークありがとうございます。
シャカリキにいい作品になる様に頑張ります。
貴重な時間を割いて頂きホントにありがとうございます。
「ガポガポガポ・・・」
--なんだろう?・・・何か懐かしい様な・・・そんな感じがする。
目をゆっくり開ける蜜柑。
身体が浮いているのか?身体が凄く軽い。薄明るい空は「キラキラ」神秘的に輝く。
--あれ?僕死んだのかな?
「カポッ」
口らか丸い透明な玉が現れ、小刻みに揺れながら上空に舞い上がる。
--わぁー綺麗だなぁ〜
まるでシャボン玉の様に虹色の光沢を見せる玉。
それに魅入る蜜柑。
しかし徐々にその環境が蜜柑に苦痛を与え出す。
顔が朱に染まり、そして紫へ。
--い、息が出来ない!!!
何となく今自分が居る場所を把握した蜜柑は、手足をバタつかせ揺れる上空へと身体を必死に進める。
天はまだまだ先にある。
だが空を2分割するかの様にブレる線が頭を越えた時。
「プハッ!」
息が出来る様になった蜜柑。
息を整え、顔色が元に戻る。
周りを見渡すと蜜柑が今いる場所は『湖の神殿』の目と鼻の先にある湖だと分かった。
100m先の湖の端にいるステン、エウリ、幼女が湖から頭を出す蜜柑を発見した様で、手を振っているのが見えた。
「オーイ!仮主人ー!こっち、こっち!」
大声を出し、自分達の存在を知らせるエウリ。
蜜柑は犬掻きで3人の元に身体を進めた。
20m程の所で湖の底に足が着く様になり、其処からは歩いて近寄る蜜柑。
3人の元に辿り着くと、幼女がエウリの背後に隠れ、蜜柑を見ようとしない。
それを見た蜜柑が膝を落として幼女と同じ目線を作る。
「ごめんね、凄く怖かったよね・・・僕弱いから・・・ごめんね・・・」
顔を下に向ける蜜柑。
その言葉を聞いた幼女はエウリの背後から「ヒョコ」と顔を出し、「テクテク」蜜柑に近づき、背伸びして蜜柑の頭を無言で撫でる幼女。
蜜柑は下を向いたまま幼女に少し驚くも。
--良く出来ました。
始めての『男らしい振る舞い』をそう褒められているみたいで、とても、とても嬉しい顔をしていた。
エウリがステンに蜜柑に聞こえ無い様話掛ける。
「で、どうするんだステン姉貴?」
それは蜜柑が主として相応しいだけの器を持つ人物であるのか?の問いであった。
「正直分かりません・・・」
ステンは困った様に顎に手を添える。
「じゃーどうすんだよ・・・いつもの様に殺るのかよ!・・・」」
「エウリはどう思いますか?」
「わ、私にフルのかよ!・・・まぁ~メデューサを庇おうとしたのは、事実だよな・・・」
エウリも顎に手を添え考える。
「殺りますか?」
「・・・うーーん・・・」
「ウフフ、まぁ~結論は急がなくてもいいでしょう。暫くあの御方に身を寄せましょう・・・メデューサも気に入っている見たいですしね」
「ステン姉貴がそう言うなら、それでいいぜ!」
少し晴れやかな声になるエウリ。
「ウフフ、素直じゃありませんね、エウリは」
「なんだよ!それ〜!!!」
「ウフフ、何でもありませんよ、さあ〜仮ではありますが御挨拶しにいきますよ」
「・・・・」
蜜柑の側まで歩み寄るステンとエウリ。
俯く蜜柑に2人の影が出来き、それに気付いた蜜柑は顔を上げ、ステンとエウリに視線を向ける。
蜜柑と目と目が一度合った所で、ステンとエウリが片膝を落とし蜜柑に頭を下げる。
「我が名は長女ステンノー」
「我が名は次女エウリュアレー」
ステンは顔を上げ、幼女の方に顔を向ける。
「そちらが三女メデューサ」
蜜柑もメデューサと呼ばれた幼女の方に顔を向ける。
「我らゴルゴン3姉妹、仮では御座いますが、一時貴方を主人と認め、我等は貴方の代わりに力を振るう事を此処で契約致します」
再び頭を下げるステン。
メデューサは上品に両手で少しスカートを持ち上げ、頭を軽く下げた。
それを見た蜜柑は直ぐに姿勢を整え、ステン、エウリ、メデューサに・・・
其れは其れは見事な・・・
土下座を見せた。
「こ、此方こそ、ど、どうぞよろしくお願いします」
それを見た3人は呆気に取られたのであろう、暫く沈黙、互いの顔を見合い、口に手を添える。
笑い声を押し殺しステンが蜜柑の手を取り立たせる。
顔を上げ、立ち上がった蜜柑。
「ありがとう・・・所で契約って何するの?」
「うーん、そうですね・・・来るべき有事の際に御身の力を御貸し下さい」
「えっ?・・・」
悩む蜜柑。
そんな蜜柑のローブを掴み引っ張るメデューサ。
「あ、うん、分かったよ、それでいいよ。でも・・・きっと僕、役に立たないよ・・・」
「ウフフ、いえ貴方はきっと立派な御方に成られますよ」
「あはははは・・・が、頑張ります・・・と、ところで契約ってこれだけでいいの?」
「本来なら契約魔法を交わすのですが・・・暫くはお預けですね、未だ完全に認めた訳ではありませんので・・・」
「あ、うん、分かった!3人に認められる様に頑張るよ」
「あ、そうそう、血を頂けますか?」
「・・・えっ?!・・・」
血の気が引く蜜柑。
「ウフフ、召喚する為には貴方の血が無いと、私達貴方の元に向かう事が出来ませんので・・・」
「・・・ああ、そういう事ですか・・・」
そんな理由があろうと本当は嫌な蜜柑の顔は引き攣っていた。女性の頼みをNOと言えない人間それが蜜柑であった。
「では、失礼します」
ステンは指の爪で蜜柑の首筋を軽く付き、首筋から血が流れるのを確認すると。
蜜柑の首筋を舐め血を体内に取り込む。
普通の女性にそれをされたら発狂していただろうが・・・ステンの顔は化け物だ。流石の蜜柑も興奮したりしなかった・・・
ただ・・・女性なのに・・・何でこんな顔に成ったんだろうか・・・
そんな事ばかりを考えていた。
ステンが終わり、次にエウリが蜜柑に近づき、蜜柑の手を取った。
エウリは優しく蜜柑の小指を噛み、少しづつ力を入れる。
これも興奮したりしなかった・・・ただ・・・不憫で・・・
エウリの後はメデューサが近づいてきた。背が届かないメデューサの為に蜜柑は膝を落とす。
メデューサもエウリと同じく小指を軽く嚙む。恐らくそれは、蜜柑に痛みを味合わせたくない、優しさなんだろうと思われた。
そんなメデューサの心遣いに、優しい顔を作る蜜柑。
どうして・・・こんな子供まで・・・
そう思うと自然に蜜柑の目に涙が溢れ出した。
メデューサも終わりステンが近づく足が見えた。
膝を上げステンの顔を見て「これから宜しく」と言葉を掛けようとしょうとしたのだが・・・
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
ステンの顔を見て蜜柑から言葉が出ない。ステンはそんな蜜柑にニッコリ微笑むと。
「ウフフ、殿方にはこっちの方がお好みでしょう」
ステンの問いに答える様に、驚く顔を維持しながら、高速に頭を上下する蜜柑。
蜜柑が見たステンは、この世の物とは思えないくらい美を結集した顔であった。
髪は紫で足迄伸び、瞳も薄紫、透ける肌に、女神の様な着物、豊満な胸に、無駄が必要な処には無駄を作り、無駄が必要無い処には全く無駄が無いスタイル、顔は今まで見てきた誰よりも美しく、そして危険な香りがした。
それを見たエウリが頭の後ろで腕を組み。
「あーあ!いいのかよ!ステン姉貴!」
「ウフフ、あら?何か不都合でも?」
それを聞いたエウリが組む腕を解き、肩を落とす。
「はぁ~メデューサも、もういいぞ!」
頷くメデューサ。
エウリの合図で、エウリとメデューサの爛れた皮膚が再生する様に違う容姿を曝け出す。
エウリの髪は金色に輝き肩までの長さ、肌は小麦色、瞳も黄金色に輝き、男性を思わせる整った服、胸はそこそこ、スタイル完璧、太陽を思わせる親しみ易い雰囲気であった。
メデューサの髪は白く地面まで着きそうな長さ、肌も病人の様に白く、瞳は灰色、可愛らしいワンピースらしき服、胸はまな板、スタイルは若干痩せ気味、今にも倒れそうな弱々しさを醸し出していた。
3人は3人共超が付く程の美を持つ人物であった。
それを見た蜜柑は後退さる。
しかし直ぐに・・・
姿勢を整え。
土下座して見せた。
「血を吸って頂き!ありがとうございます!!!」
「「「・・・・」」」
3人に沈黙が生まれる・・・
蜜柑のその声は今までの生涯を通して一番腹の底から出た言葉であった。




