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あのコの一番そばで、私、輝くっ!  作者: そるみ
第7章 私、あのコを救い出す、きっと!

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68 私に夢を見させた意味は……

いつも読んでいただき、感謝です。

このエピソードより、最終章に突入です。

 「これが……ゆらが言ってた、絵日記帳の世界線での真相……」

 内容があまりにも強烈過ぎて、私、目が覚めちゃった。

 でもこれで、絵日記帳に書かれてた数々の記述が、一つ残らず腑に落ちたわ。

 絵日記帳を手に取ってみる……ここに書かれてるものは全て、あの世界線では現実だった……現世の日向さん以外の人たちには認識できなかったものだったのね。

 無名神によって現世から切り離されたものの一部、って事になるのかな。


 今回の夢は、絵日記帳を書いた現世の日向さんの視点で、手紙にあった[然るべき時]に、星月の力を借りて、五次元の世界に切り離された長森島へ向かう話ね。

 映し出された無名神の生前の姿、月美さんそのものだったわ。

 彼女が因果律を次から次へと改ざんし、子孫を残せなくなる呪いを人間にかけて滅ぼそうとした……滅茶苦茶になってしまった世界を、別の姿に組み替える役目を担った神さまが、私にこの夢を見させた、って事かな。

 その神さまの裁きの結果、無名神と初代の日向さん、つまり、月美さんとゆらが、この世界でこんな境遇に置かれた、って事?

 ゆらと最初に会った時、 「ある世界線で、私のお母様が大きな過ちを犯して……それをかばった私も、神さまから罰を受ける事になった」 って言ってた事からしても、そう考えるのが妥当よね。

 月美さんは旦那さん、つまり安民さんが無残な”事故”に巻き込まれた一件を、自然界の怨念が惹き起こした人間への復讐だって決め付けて闇落ちし、無名神になった……感情の負の連鎖が招いた悲劇……不幸だったのは認めるわ。

 でも、復讐心でやった事は……全ての人間が消え去った地域から順々に、五次元の世界へと切り離して聖域化し、地球と、他の生きとし生けるものを解放していく……一見、壮大な地球救出計画に聞こえるけど、歪んだ正義感ね。

 もしそのまま、現世の日向さんが無名神の下に辿り着けなかったら、世界は全て五次元へと消し去られてしまったのかな。 


 絵日記帳での[お母さん]は、やっぱ明美さんだったのね。

 姿形は初めて見たけど、落ち着いた感じの、意志の強そうな人だったわ。

 例のウサギのぬいぐるみも、確かにあの明美さんの家から持ち出してた。

 最初のシーンで、現世の日向さんがそこを出発してたところから見ても、実際に二人で住んでたのね。

 宮司さんに向かって、『私、この子を育てたい!! 私の手で、私の愛情で、立派に育てたいの!!』 って言って日向さんを引き取った明美さん……この前の夢と一致するわ。


 面白いのは、生まれる前の日向さんに月美さんが施した秘術によって、星月が秘めた[五次元の世界を見せる力]を与え、更に条件を満たして透明化すれば、五次元の世界へと足を踏み入る事すら出来るようにした事ね。

 時間の猶予を与えるような方法を取った事で、月美さんは始めからゆらに計画を頓挫させられるような隙を作ってた、って事よね。

 ある意味、自分の過ちを自覚してたんじゃないかしら。


 あの多忙な木柚梨が、素人に登山のコツと心得を教えるだなんて、一体どういう話の流れで実現できたのかしら……そこはちょっと興味があるわ。

 私が会えなかった、ちかねさん、宮司さん、そして、シレっとかわされちゃったみづるさん……日向さんは学校内に留まらず、地域の色んな人たちから、試練に向かうのに必要な技や心得を教わったのね。

 まるでロールプレイングゲームのようなお膳立てだわ。


 そして、絵日記帳の世界線の私……今も貴女の髪形の真似を続けてるのよ、私。

 現世の日向は[ひいちゃん]って呼び、向こうの私は[ひむちゃん]って返してた……そこにも二人の親密さを感じたけど、もっと響いたのは、 「いつも側にいて私を支えてくれた」 って言葉。

 そっか、向こうの私は、日向さんにそこまで言わせるほど、尽くしたんだね。

 そして、 「ひむちゃんの一番そばで、ひいか、輝けたって思うの」 って返してた……この言葉には、尽くした相手に自分の存在を認めてもらえた喜びが込められてる、って感じたわ。

 ゆらも[心を許した友達]って言ってたし……どうして私、今の今まで日向さんと出会えなかったのかなぁ。

 「お母様の娘になって、その愛を一身に受けたい」 って、ゆらが言った事、叶えてあげたいな。

 でも、どうやったら……。


 丸一日、どうすれば道が切り開けそうか思案を巡らせてみた結果、一つの案に辿り着いたの。

 まず私が考えたポイントは、キーになり得るのは誰なのか、ってとこ。

 どうして神さまは私に絵日記帳を与えたのか、って考えてみたの。

 そこにはきっと、何らかの意図があるんじゃないか、って。

 絵日記帳が開放されていった過程を思い出してみると、私が祈った相手がみんな、月美さんに繋がってる人たちだった、って気付いたの。

 巌さんは親友の元夫、安民さんは亡き夫、ちかねさんは姪、明美さんは親友、私はちょっと分かんないけど、宮司さんは父、ママは神社の元巫女、日向さんは娘、そして、月美さん本人。

 それで、月美さんがキーじゃないかな、って。


 無名神と初代の日向さんを裁く為に、神さまはこの世界線の私に絵日記帳を与え、二人の運命を委ねられた……ゆらと出会った時に聞いたその話をそのまま受け取ると、あの夢にその解法が隠されてるんじゃないか、って思えて。

 解法って言えば、最後のシーンで初代の日向さんがやってた儀式みたいなのが、におうのよねぇ。

 穢れを祓い清める役割を果たしてたみたいだけど、罪も穢れのようなもんじゃないのかな、って私は考えたの。

 あれと同じような儀式を再現できたら……。

 そこに辿り着くまでの道のりには色々な壁がありそうだけど、まずは月美さんね。

 私が見た夢を月美さんに信じてもらいたいんだけど……それに有効だって考えたのが、『私が知ってるはずがない』って月美さんが思うようなプライベートな過去の出来事を、夢で知った事を使って、ずばり私が言い当ててみる、っていう筋書き。

 それで私の言う事を信じてもらえるようになってくれれば、提案を受け入れてくれるかな。

 まずはそこを目指してみよう。


 私はリビングに降りると、本を読んでくつろいでるママに相談を持ち掛けたの。

 「ママ、巫女さんたちへの舞の指導、順調にいってる?」

 「あら、そっちの事を心配してくれてるの? 正直言うと、今年は不慣れな子ばかりでちょっと苦戦してる、ってところかしらね」

 「ママが上手く教えても、覚えるの、難しいんじゃないかなぁ、あの舞は」

 「あの舞って……火雷、観た事あったの?」

 「うん……って言っても、実際にってわけじゃなくて、夢の中でなんだけど」

 「実際に観た事がないものを夢の中で見るなんて……普通に考えたら不思議な事よ?」

 「ま、私にしか見えない絵日記帳を拾ってから不思議な事ばっか起こってて、もう既に普通じゃないんだけどね」

 ちょっと愚痴っちゃった。

 「そう言えばそうだったわね。 ところで、火雷が夢で見た舞って、どんな感じだったの?」

 「えっと……ママが前に私に見せてくれた浦安舞を、日向さんっていう、月美さんの娘さんが舞ったんだけど、それが凄く優雅な動きで……思わず見惚れてしまっちゃうほどだったの」

 「へぇ~~、そこまで舞に詳しくない火雷にそう思わせるなんて、凄いわ。 一度見てみたいわね、この目で」

 「ママ、さすがにそれは無理よ……夢の中での話だもん」

 「冗談よ。 ちょっと教えるのに疲れてて、うらやましいって思っただけだから。 でもこの前、月美ちゃんから聞いた話だと、娘さんは今、病院に入院中なんだって?」

 「そうなの。 実は私、つい最近、クラスメイトと一緒に、病院に日向さんをお見舞いに行ったの。 今の彼女はとてもそんな事なんて出来そうにない状態だわ。 でも、夢の中の日向さんは元気そのもので、しかも、私と親友関係みたいなのよ」

 「へぇ~~、火雷と親友だなんて……色々と起こるものね、夢の中だったら」

 「何、それ。 まるで私に親友なんて出来るの? みたいな言い方じゃない、もう。 そうそう、色々と起こるって言えば、誕生日よ。 ママ、私を産む直前に、神様からの啓示みたいな夢なんて見た?」

 「神様からの啓示?? って、一体どんな内容なの?」

 あはは、ママ、興味津々だね。

 神託を信じる素因を持ち合わせてる、っていう無名神の評価、妥当かもしれないわ。

 「えっと……私の出産予定日を日向さんより前に繰り上げさせた、みたいなのだけど」

 「何それ? 順調に予定日の6月3日に産んだのよ。 そんな夢は見なかったわ」

 「そうよね、あはは。 ま、あくまで夢の中での話だから、あまり気にしないで。 ところで、ママにお願いがあるの。 私、月美さんにどうしても直接会ってお話ししたい事があるんだけど、話を通してくれないかな?」

 「そんな事だったら明日、早速月美ちゃんに伝えておくわ。 で、何時が良いの?」

 「今度の日曜日。 時間は月美さんの都合で決めてもらえば、私の方が合わせるわ。 ママ、お願いね」

 「うん、分かった。 どんな用事かは詮索しない事にするわ。 ちゃんと話しておくからね」

☆今回気を付けた点☆

ここからは日向を救い出すゴールを見据えて、話を組み立てていきます。

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