2 あのコのいつものお店って??
いつも読んでいただき、感謝です。
ここが、今日から通う、古河高校……
私と同じく、ひむちゃんも校舎を見上げて、 「校舎、大きいねー。 私たちの人数を考えたら、もったいないよねー」 なんて、つぶやいてる。
「だねー」 私も同感。
だって、私たちの学年、中学からの持ち上がりで12人しかいないもん。
「はいはい、ひむかさんも、ひいかさんも、教室に急いで!」 校門をくぐったところで、聞き忘れもしない、凛とした声が……まさか!!
「あれっ?! 冴先生!! どうしてここに?」 ひむちゃんは、ぽかんとしてる。
だよね~~、そうなるよね~~。 中学の時の担任が何でここにいるの? 変でしょ!!
「詳しい話は後で。 とにかく急ぎなさい」 質問する時間、無いや。
「おいおい、入学早々からギリギリを狙ってるのか?」 あ~~あ、早速、浩史君に冷やかされちゃった。
「座席はまだ決まってない。みんな適当に座ってるだけだから、ひむかもひいかも空いてるところに座りなよ」 きゆりちゃんに促されて席に座ると、冴先生が教室に入ってくる。
「起立! 礼!」 ……って、俊明君、まだ委員長に決まった訳じゃないよ?……これはもう、条件反射みたい。
「おはようございます!」 そしてみんな、自然に彼の号令を受け入れてる、あはは。
「おはようございます! はい、着席。 出欠はみなさん揃ってるのが分かったので省略します。 自己紹介は……もう良いですね? 先生も、みなさんも、中学の時と顔ぶれが変わってないんですから、お互い、良く知ってるでしょう」
えっ?! 冴先生まで持ち上がりなの?! 中学の時と何か変わってくれないと、中学生気分、抜けないよぉ。
「私は今日から高校の先生です。 知っての通り、みなさんの下の学年には誰もいないのですから、みなさんが卒業した後、中学校に……一人もいなく……休校に……。 ……高校で……のは……初めて……みな……同じ……ような……」
ぼーっと、遠くに座ってるひむちゃんの横顔を眺めてたら……だめだだめだ……頭が……。
・・・・・・
「では早速、座席を決めましょう。 くじ引き、でいいですね?」 待ってました!! おめめパッチリ!!
ひむちゃんの隣になれますように!!
私は右手からオーラが出てるような想像をしながら、目をつむってくじを引く。 エイッ!!
10番かぁ……えっと……
いつもドキドキするんだー、この瞬間。
「はい、みなさん引き終わりましたね。 では、くじの番号と同じ番号が貼られた椅子に座り直しなさい」
「ひいかはここ……あ、ひむちゃんの隣だ、やったぁー」 ひむちゃんを右隣に見付けて、ガッツポーズ。 これで今日の私の仕事、終わりっ。
「みなさん、座席は決まりましたね。 では、すぐに講堂で入学式を行います。 移動です」
・・・・・・
式が終わると、教室で役決め。
役員……何かしらの役に当たるだろうなぁ。 どうしよう……なんて迷ってると、ひむちゃんが真っ先に風紀委員に推薦されて、引き受けてる。
何を任されても笑顔なんて……見習わないと、私も。
そんなこんなで次々役が決まっていって…… 「今年もスカッと決まりましたね。 このチームワークがみなさんの良いところです!」 今回もあっという間に決着。
結局、私は副厚生委員に……正厚生委員になった朝子ちゃんを、全力サポートだよ。
その夜、私はスケッチブックを取り出し、イラストを描くことにしたの。
実は私、中学の時は絵画サークルに入って、古河町で活動してる画家の先生に、絵を描くノウハウを教えてもらってたんだ。
画風は、リアルに近い写実的なものから、アニメ調のものまで、幅広く。
今は進学で一旦サークル活動は休止してるけど、高校でも同じ先生に教えてもらうつもり。
その休止期間に出された課題があって、その一つが、『進学当日の決意を、絵に表しなさい』っていうもの。
新しい学校で、新しい担任で、新しいクラスメイトで……だったらまだしも、まさか担任まで中学と変わらないなんて……環境の変化に助けを求めるの、無理じゃない。
結局、積極的に学校行事に参加する、そんな雰囲気の絵をスケッチ風に……アイデアに面白み、無いよね、私……。
翌日の昼休憩。
私は手作り弁当を持参して、教室で食べる事に。
勿論、ひむちゃんに合わせての事なんだけど、教室派って、こんなにいるの? 見渡すと女子ばっか9人が、そのままそっくり教室に残ってる。
「男子ってさぁ、学食とか好きなのかなぁ。 それともここ、女子率高いから、肩身が狭くて残りにくいのかなぁ」 昨夜の残り物を詰め込んだお弁当をパクパク食べながら、ふと思いついた事を、ひむちゃんに投げかけてみた。
「さぁ~~。 女子には分からないよね~~。 もしかしたら、中学の時は学食なんてなかったから、新しいものに飛びつくことがカッコいい! なんて思ってたりするのかな?」
男子は新しいものに目がない、かぁ。 ひむちゃんらしい答えだなぁ。
「お腹がペコペコなだけだろう。 学食だったらがっつり食べられるから、じゃないの?」 私たちの会話を横から聞いてたきゆりちゃんがツッコんで、皆で大笑い。
下校時間。
ひむちゃんと一緒に帰ろう、って準備してたところに、 「ひいちゃん、ごめん。 今日は先に帰ってて~」 って、両手を顔の前で合わせて、ごめんポーズをとりながら謝るひむちゃん。
「ひむちゃん、この後、何か用事?」
「うん。 さっき、祐子ちゃんを誘ったの。 いつものお店に行こ~~、って」
「いつものお店?? 祐子ちゃんと一緒に行く、いつものお店?? 一体何処なの??」 ひむちゃんと祐子ちゃんの共通点、思い付かないなぁ。
「うん。 文房具店だよ」
「文房具店?? サークルで小説を書いてた、ひむちゃんならともかく、祐子ちゃんにそんなイメージ、湧かないなぁ……」 私にはまだまだ、クラスメイトの知らない側面が残ってるみたい。
「高校入学記念に一つ、テンションあげあげなもの、買いに行くんだ~~」
「?? 何を買うの~~」 そしてまだまだ、ひむちゃんにも知らない側面が残ってるみたい。 まだまだだなぁ、私。
本編の第4~6話をベースに、書き上げました。
☆今回気を付けた点☆
地の文を一人称で、って決めたけど、主人公の心の声に括弧( )をつけるべきかどうか迷いました。
括弧を使う場合と使わない場合の明確な違いを打ち出せなかったので、括弧は使わない方針で書き進める事にしました。
☆追記☆
軽微な矛盾点を訂正しました。('26/6/4)




