69 早見さんが通る
一方その頃、フェリーに残っている面々はというと。
「行ったな」
「はい!行ったッス!」
「よし。作戦決行だ」
杉田さんと佐倉さんが怪しげな行動をしていました。
2人は隠してあった車に乗り込みます。
杉田さんと藤原さんで整備していた、真っ黒な車体のハマーです。
そこには既に悠木さんが乗っており、後ろの方で作業をしていました。
「悠木。準備は良いか?」
「ああ。問題ねーよ」
「それじゃ出発するか」
杉田さんが運転席に乗り込み、佐倉さんが助手席に座ります。
トランクの部分には悠木さんと、悠木さんの荷物が置かれています。
出発しようと進み出した時、車の前を通る人影が現れました。
「杉田さん?何やっているんですか?」
車の前には、優しい笑顔を振りまきながら、私が立っていました。
怪しい行動をする3人を物陰から隠れて見ていたのです。
「早見さん、いや、これはな」
「福山さんを追いかけるッス」
杉田さんは言い淀みますが、佐倉さんが答えてしまいます。
色々コソコソしてたのは、こんな悪巧みをしていたからなのですね。
「へぇー。私には内緒ですか。そうですか」
「まあまあ、織ちゃん。皆も心配なのよ」
「雪ちゃん。だからって」
「織ちゃんも行きたいんでしょ?」
「それはそうだけど」
「それじゃ一緒に行きなさいよ。ここは私がなんとかするから」
「でも」
「はいはい、乗った乗った」
悩む私を、いきなり現れた雪ちゃんが強引に後部座席に押し込みます。
「福山さんによろしくね。それとこれ。必要でしょ?佐倉さんにはこれね」
雪ちゃんが私に銃を渡してきました。
佐倉さんには雪ちゃん愛用の刀です。
「これは受け取れないッスよ!」
「いいのよ。あなたはもう私の弟子なんだから。その代わりちゃんと返すのよ」
これはちゃんと帰って来なさいという、雪ちゃんからのメッセージでしょう。
「あとこれも」
雪ちゃんが出して来た?連れて来た?のは久野ちゃんでした。
襟を掴んでぶら下げてます。
久野ちゃんはジタバタ暴れてます。
「嫌です!行かねーですよ!」
「この子、私の邪魔ばかりするのよね。だから連れて行ってちょうだい」
「いーやーでーすー!面倒くせーでごぜーます!」
「うるさい」
「ぷぎゃっ!」
雪ちゃんは暴れる久野ちゃんを睨んで黙らせます。
こんな扱いで良いのでしょうか?
雪ちゃんがこんなに怒るとは、よっぽど邪魔されて頭に来たのでしょうね。
「俺は別にいいぜ。戦力があるに越した事はないからな」
「あたしもッス!」
「俺もいーぜ」
「しょうがないですね。久野ちゃん、行きましょう」
「お前ら人でなしか!?でごぜーますよ!」
久野ちゃんは諦めて車に乗り込みます。
それでは出発ですね。
今回は行くつもりがなかったのですが、雪ちゃんが言うなら仕方ありません。
今回は行くつもりがなかったのですが、雪ちゃんが言うなら仕方ありません。
大事な事なので2回言いましたよ?
こうして私達5人は、仙台の街へと繰り出すのでした。
「ゾンビいないッスね」
「そうだな。福山達が蹴散らして行ったんじゃないか?」
「そうですね。倒れているゾンビは所々にいますしね」
「車も避けてくれてるから走りやすくて良いな」
「ゾンビがいないなら快適で良いッス」
佐倉さん、フラグを立ててしまいましたね?
ビルの影からワラワラとゾンビ達が出て来てしまいました。
「敵さんのお出迎えだ。早見さん、運転代わってもらえるか?」
「はい。良いですよ」
そう言って杉田さんは車から降ります。
佐倉さんも、雪ちゃんから借りた刀を手にゾンビ達へ向かいます。
悠木さんはサンルーフから身を乗り出し、ボウガンを構えます。
私はいつでも車を発進できるよう運転席に乗り込み、窓を少し開け銃を隙間から出します。
あれ?一人足りませんね。
と思ったらグースカ寝てました。
「久野ちゃん、出番ですよ」
「はっ。ご飯でごぜーますか?」
「あながち間違いではないですね」
「何だゾンビでごぜーますか。チャチャッと終わらせるですよ」
車から颯爽と出て行く、最年少の久野ちゃんに頼もしさを感じます。
私は悠木さんと車から援護をし、杉田さんと佐倉さんでゾンビを倒していきます。
久野ちゃんは防御力を生かして、2人が危ない時には盾になって助けています。
なかなかバランスの良い編成ですね。
雪ちゃんはこれも考えていたのでしょうか?
流石、皆のお姉さんですね。
ものの数分でゾンビ達を倒し終えた私達は、コンビニの駐車場で休憩する事にしました。
「福山達が倒したとは言えゾンビが少なくないか?」
「それはあたしも思ったッス」
「どこかに集まっているのでしょうか?」
「あいつらが向かったショッピングモールはヤバい事になっているかもな。そろそろドローンを飛ばしてみるか」
「お願いします」
ショッピングモールに集まっている可能性があるとみて、悠木さんがドローンを準備します。
あの人達の事だから大丈夫だと思いますが、どうか無事でいて下さいね。
私達は心配になりながら、福山さん達の後を追いかけるのでした。




