51 船内探索
フェリーの外にいたゾンビを掃討し、俺達フェリー班は船内の探索を始める。
フェリーの横に建っているフェリーターミナルの中に入り、フェリー乗船口を目指す。
建物の中にもゾンビはいたが、片っ端から大橋と阿澄が倒して行く。
通路が狭いため、井口は太っていて邪魔になるので待機だ。
乗船口から中に入りまず目に付いたのが、階段、エレベーター、インフォメーションがあり、吹き抜けになっているエントランスだ。
そこにはまだゾンビが残っていたので、茅野さんの力で倒してもらった。
配下の3人だと、潰したり噛み切ったりするので、エントランスを汚してしまうからだ。
どれくらいの期間、乗る事になるのかわからないので、なるべく綺麗に手に入れたい。
新たにゾンビが入って来ないように、入って来た乗船口を閉める。
次に向かったのは、船の後方部にあるトラックデッキからの通用口だ。
あっちはまだ入口が開いたままなので、ゾンビが侵入してくる恐れがあるからだ。
途中、男女の大浴場があったので、俺と茅野さんで確認したが暢気に入っているゾンビはいなかった。
そこを過ぎると階段室があり、下の階に続いていたので、大橋と阿澄にお願いし様子を見に行ってもらった。
井口は太ったままなので扉を通れない。
「コノゴシュジンサマハ、ホントアツカイガヒドインダヨ」
「まあまあ、井口先生。そのうち活躍する機会があるから」
井口の愚痴を、茅野さんが宥めてくれている。
しかし、いつからご主人様に?
後でエントランスのゾンビの排除と処分をさせて、ご飯を与えようと思う。
ご飯さえあれば文句もないだろう。
大橋と阿澄が、トラックデッキに通じる扉を閉め戻ってきてくれた。
やはりトラックデッキには、まだゾンビが残っているようだ。
とりあえず上の階を制圧してから、下の階に向かおうと思う。
早見さん達が来るまでには何とかしたいけどね。
先に進むとドライバー室があった。
ほとんど入口が開けっ放しだったので、確認は簡単で、生存者もゾンビもいなかった
時間的に、まだトラックの搬入をしていたのだろう。
その後も、ドライバー用の浴室、サロン、トイレ、寝台室、等も見て回るが誰もいなかった。
寝台室の奥にあった扉からは、外に出る事が出来たが、そこでも見つからなかった。
途中、トラックデッキからの階段があったが、それも2人に閉めに行ってもらった。
後方部の確認を終えて、またエントランスへ戻ろうとした時、階段の隣にあったエレベーターの対処をするのを忘れていた事に気付いた。
エレベーターを使えるゾンビがいるとは思えないが、もし黒目ゾンビがいたなら使う事が出来るだろう。
エレベーターの中にある操作盤の蓋を、大橋に無理やり壊してもらい、エレベーターを停止させた。
「ダカラワタシモ、ナニカシタインダヨ」
だからお前は、中に入れないだろ?
エントランスでちゃんと仕事をやるから。
「さあ井口よ、お仕事だ。ここのゾンビを食べながらで良いから、外に片付けるのだ」
「ヤッターオシゴトオショクジ。アリガトウゴシュジンサマ」
エントランスに着くなり、井口に命令する。
ゾンビをつまみながら、乗船口を開け連絡通路のガラス窓から次々と投げ捨てる井口。
実に楽しそうだ。
お仕事がなのか、お食事がなのかはわからないが。
俺達はその間に客室を見て回る事にする。
中央の部分に寝台室があり、こちらもドライバー室と同様に、入口が開けっ放しだったので先に確認を行う。
外側にある客室は扉が閉まっているため、後で何かあるかわからないので、一室一室調べる事にした。
まずノックをし、物音がしたら大橋と阿澄が対応する。
物音がしない場合は、俺と茅野さんで中の確認を行う。
それを一室一室、順に行い、何事もなく順調に調べていった。
しかしちょうど角の部屋、特等室と書かれた部屋で、中から物音がした。
声をかけると、内側から扉をバンバン叩く音が聞こえて来たので、間違いなくゾンビだろう。
扉の前に大橋と阿澄がスタンバイし、大橋が力ずくで鍵のかかっている扉を開ける。
中にいたのは、スーツで着飾った中年のオバサンだった。
ハイヒールのヒールの部分が折れていて、ぎこちない動きで近寄って来る。
不運にもゾンビに捕まって、噛まれた後に部屋に逃げ込んだのだろう。
大橋と阿澄に押さえてもらい、茅野さんに滅してもらう。
俺が停止しても良いが、時間がかかるのでこっちの方が手っ取り早い。
倒れたゾンビをエントランスまで運び、客室の確認を再開する。
あれ?ちょっと待てよ?
これ、ゾンビに命令して外に出てもらえばいいんじゃね?
今度からそうしようと思い、この階の確認を続けるが、生存者もゾンビもいなかった。
上の階に逃げたのだろうか?
それとも外にいたので全員?
そんな事を考えながら、5デッキの確認を終え、エントランスの階段から6デッキに向かうのであった。
あっ、井口を忘れてた。




