21 配下の強化
取れる物も取ったので、早見さんと内田さんを一旦車に帰し、大橋と阿澄の様子を見に行く。
そこでは配下ゾンビ対赤目ゾンビの激しい戦闘が繰り広げられていた。
赤目ゾンビは様々な体格がいて、俊敏に動くタイプや丸まると太ったタイプ、中には3mはあろうかという大型タイプのゾンビもいた。
食べれば体格も変わるのだろうか?
配下の二体にはそのままでいて欲しいなと思いつつ戦闘を眺める。
二体とも小さい体を利用し、相手の攻撃を蝶のようにかわしながら、蜂の一刺しのように首筋に噛みついていく。
ん?蝶のように舞、蜂のように刺す?
めっちゃ動き良くなってない?
俊敏タイプより早く動き、太ったタイプと互角の力を持ち、大型タイプのパンチを受けても平然としている。
二体をよく見てみると違和感が。
「あれ?目、紫になってる?」
前は赤だった目の色が、今は少し黒みがかかり紫色になっている。
やはり食べる毎に強くなって、身体的な変化があるようだ。
これなら喋る方も期待ができるかもしれない。
と、そこへ二体と同じように紫色の目をしたゾンビが現れた。
明らかに身体の作りが他とは違う。
鍛え上げたプロレスラーを更に倍にした感じだ。
「ヒケ。ソイツラハ、オレガアイテスル」
向こうにも紫がいたか。
しかも喋る事ができ、知能が高く統率力もあるようだ。
紫目ゾンビが配下の二体に向かって走り出す。
「死者の王が命じる。貴様は停止せよ!」
「ガッ!ナンダコレハ、カラダガウゴカン!」
いきなり止まったのでその場にいた紫色の目をした三体が驚く。
紫目ゾンビは自分の能力を把握してそうなので、変わったばかりの二体にはまだ荷が重いだろう。
「俺が停止させてもらった。お前は誰だ?」
「オレカ?オレハ・・・ダレダ?」
「人間だった時の記憶がないのか?」
「ニンゲン?オレハ、ニンゲゲゲゲゲッ」
頭を抱え壊れたように喋る紫目ゾンビ。
警戒レベルを上げる。
頭を抱えるだけだがそいつは動いたからだ。
「ニンゲン、ユウビン、トドケル、マイニチマイニチ、ウガアァァァァアッ!」
近くにある郵便局で働いていたのだろうか。
制服は破けて上半身は裸になっているので、一目では気付かない。
郵便局員であの姿か。
もっと強い奴が紫目ゾンビになったらと思うとゾッとする。
配下の二体がムキムキになったら・・・考えたくないので後にしよう。
紫目ゾンビ改め郵便ゾンビは暫く喚いていたが、いきなりピタリと止まる。
「ガアアァァァッ!」
自我が崩壊してしまったのか、他のゾンビと同じ様な奇声を発する。
「アナタニハヤラセマセン」
「ワタシタチガゼッタイマモル!」
大橋と阿澄が俺を守るよう前に立つ。
おっ!喋れるようになってる。
「ムキムキにならないよね?」
「イマノトコロハダイジョウブデス」
大橋が答えてくれた。
さっきいた俊敏タイプは人間と変わらなかったから、そのタイプかもしれないな。
そうすると太ったのは力タイプで、大型は守りタイプなのかな?
郵便ゾンビはあのガタイからして守りタイプ
だろうな。
配下の二体が俊敏タイプなら攻撃力は低いだろうから、あいつとは相性が悪そうだな。
と思ってたら大橋が右足の腱を齧り取り、阿澄が左足の腱を齧り取る。
ゾンビの歯は特別製か!?。
いくらゾンビでも、体を支える足の腱が無くなれば立っている事はできない。
膝をつく郵便ゾンビへ、今度は左右から肩に齧りつき腕の動きを封じる。
郵便ゾンビは二体のスピードについていけないようだった。
最後は背後から二体で首筋に齧りつき、郵便ゾンビは倒れた。
誰だ相性が悪いなんて言ったのは?
完勝じゃないか。
紫目になっただけでこんなに強くなるとは。
俺もゾンビ食わなきゃいけないかな・・・




