第二章 6 『お勉強会、再び(王族編)』
今回も少し情報多めです。
私とカルシュは、カルシュの部屋に帰ってきた。
階段から私とカルシュの部屋はカルシュのほうが近いため、私は勝手にたまり場に認定している。
「王族王族ってたくさん言ってたけど、王族ってこの国の王様のことだよね」
「まあ私達のいることエルメッテは王国ではなくて帝国だから王様って言うより皇帝様だけどね」
「その帝国と王族の違いってなんなの?」
私のイメージでは帝国というものは皇帝の暴政のイメージだ。
たくさん戦わせ、民を貧しくさせる――とまでは言わないが、権力に物を言わせかなり好き勝手するイメージなのだ。申し訳ないが。
「王国と帝国の違いはね、王国は王様が治めている国がひとつなの。でも帝国の皇帝様は複数の国を治めているんだよ」
「複数?普通国って一つに一つの統治者がいるもんじゃないの?」
「それなんだけどね」
どうやらカルシュの話では、王国は一つの地域を治めている国ということらしい。それにたいして帝国は複数の地域を治め、もともとバラバラだった国をエルメッテ帝国という名でまとめ上げ、それを治めているのが皇帝らしい。
そりゃ絶大な権力を持っているイメージが染み付いているものだ。
規模が違ったのか。個人的にはまとめ上げるのが大変そうだから国のほうが平和で内乱とかなさそうだが。
「皇帝様はエルメッテではもちろんのこと、他の王国、帝国でも発言力のある御方なんだよ。エルメッテに皇帝ありって言われるくらいなんだ」
「そりゃすごいね」
「今までの歴史にいた皇帝とは違って、今のエルメッテの皇帝様は見聞がとっても広いんだよ。異なる民族をまとめ上げるその才能には誰にも真似できない」
カルシュは随分皇帝様とやらを信じているようだ。
話を聞いていたら無理もないことだった。
どうやらエルメッテができる前、それぞれ周りには4つの国が争いを繰り返していたらしい。
その国たちは他の帝国からも圧力をかけられ、かなり苦しい状況に追いやられていたそうだ。
それを救ったのが初代皇帝。初代皇帝は4つの国を一つのエルメッテ帝国とし、統治を始めた。
その統治とは今までにあった上から権力と軍力に物を言わせ、無理やり従わせるようなやり方とはまた異なった方法だったらしい。
4つの国のなかにもまた異なる種族の者たちがいた。
その種族たちや村長、その他の代表者たちを集め、定期的に会議を開き、意見を集め国を作り上げていったらしい。
それでも反対し、付き従わないものも少なからずいたそうだ。
そこで初代皇帝はその時初めて武力行使をした。
国が4つに別れていた頃に圧力をかけ、国々をいじめていた帝国の皇帝をエルメッテ帝国軍の名のもとに滅ぼしたそうだ。
初代皇帝はその正しく明確な指揮を見せ、帝国軍は見事に勝利を治め、国民たちはみんな初代皇帝をたたえた。
そうして国民の信頼も勝ち取りつつ、一気にエルメッテという名を世界に広め、帝国軍の力を諸国に思い知らせる結果となった。
それでもそれを良いと思わない国もある。
そんな国からの侵略が多く、さすがの帝国軍も初代皇帝も疲れてくるというものだ。
そんな初代皇帝が殉職し、エルメッテは初代皇帝がもともと推薦していた2代目皇帝をトップにまた快進撃を進めたそうだ。
皇帝は暗殺されたり、突然死したりと不運に恵まれることがほとんどだそうだが、今では国のほとんどの人が皇帝を誇りに思い、付き従うらしい。
今の皇帝は7代目、国はかなり安定してきた中での世代交代だったそうだ。
現代皇帝はその泉のような知識の力で外交をより活発なものとし、エルメッテというのは他国にとって必要不可欠な貿易相手としたそうだ。
現代皇帝はエルメッテ帝国軍に目をつけた。
エルメッテ帝国はその戦いの強さでも定評のある帝国だという。
それを活かし、今まで魔物や魔獣、盗賊などに邪魔されていた貿易ルートを守っているのだという。
逆らったり気に食わない国があればその国の貿易ルートを守らなければいいのだ。
そうすれば他国との流通に問題が出てくる。
輸入、輸出がはびこるとそれはその国の経済に直結するというものだ。
逆にエルメッテに協力的であればエルメッテの力で新しく国交を結べたりその国が侵略されるようなことがあればエルメッテに守ってもらえることもできたりと、いいこともあるらしい。
現代皇帝はそうやってエルメッテという国を他の国からの依存度を高めることでより高い地位に押し上げた偉人らしい。
「この国で王族っていうのは初代皇帝様の血を引いている人たちの名前だよ。その中にも宗家と分家があるんだけどね」
「王族直結の家系かそうじゃないかってこと?」
「そうだよ。宗家は王族直径の家系。つまり現代皇帝様の御両親だったり、御兄弟だったり。宗家の人たちは場合によっては皇帝の継承権が与えられる。分家の人たちは初代皇帝様の御兄弟の子どもたちのこと。この人たちに皇帝の継承権は与えられないんだけど、王族として色々な権利があるし、それぞれが皇帝様を補佐する役職に就いているんだよ」
やはり皇帝の継承権というものはデリケートな問題なのか。
でもだとしたら宗家の中から皇帝になりたくて反乱を起こしてくるやつがいたりするのだろうか。
「皇帝に反乱する人はいないの?俺が皇帝になってやるーって」
「そんな馬鹿なことをする人がいるかと聞かれればそんなやつはいない、って言いたいところだけどいるんだよね、そんなことをする愚か者が」
「散々ないいようだな」
「でも大丈夫だよ。皇帝様には魔法帝の人たちがいる。皇帝の人の話しか聞かない最強軍団が常に皇帝を守ってる。魔法帝が裏切ることはないし、魔法帝にも暗躍部隊がいて情報戦とかでも圧倒的魔法帝が勝つからね。謀反を起こされたとしても一瞬で鎮圧されたことしか無いよ」
どうやら魔法帝の守りは鉄壁らしい。
「それに皇帝自体も超実力者だからね。一人でも国に侵略できるくらいの力はある」
「そういえば、王族ほど魔法への適性が高いみたいなこと聞いたな」
「そう。皇帝になれば国の守護獣様からのご加護も得ることができるし、皇帝様はエルメッテ最強なんだよ」
どうやら皇帝様は最強らしい。
「それで歴代皇帝様たちについてなんだけど――」
お勉強会はまだ続くらしい。
次回もこんな感じが続きます。




