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番外編 『白虎伝説』

 リーファとシアが出会う十三年前。

 イタガ星は満月の夜を迎えていた。

 万が一にもビースト化しないよう、月猫族達は皆、月が出る半刻前には家へと帰る。それはリーファ達も同じで、早めに戦闘訓練を切り上げた後、リーファはユージュンと共に帰宅し、夕食、風呂といつもより二時間も早く済ませてしまった。一晩中酒盛りのできる大人(ユージュン)と違い、子供(リーファ)に家の中でできる暇潰しなどそう有りはしない。早々に寝室へと向かったリーファであった。


「リーファちゃん、まだ眠くないでしょ?」


 寝室の扉から、ユーリンの頭がひょっこり覗く。

 ユーリンの言う通り、まだまだ眠くなどないリーファだ。素直に首を縦に振れば、ユーリンはそんなリーファにニッコリと微笑みかけた。そして手にしていた本をリーファに見せるよう、前へと突き出す。


「それなら、どう?一緒に本でも読まない?」


 子守唄ならぬ子守本である。

 闘うことが何よりの月猫族達に、娯楽本の文化など存在しない。総じて本とは歴代の月猫族達の強さを綴ったモノや報告書を纏めたモノなど、退屈なモノでしかなかったが、つまらなければこそ眠気も来るかと、リーファはコクリと頷いた。

 リーファからの了承に、ユーリンは嬉しそうにリーファの枕元へとやって来る。

 近くで見れば、ユーリンの持って来た本がやけに荘厳な刺繍の施された古書であることがわかった。

 表紙には『Legend of WhiteBeast』とだけ書かれており、著者名も記されていない。

「これはね」と、ユーリンの声が心地良くリーファの耳へと入って来る。


「昔々、ずぅ〜っと昔……私達月猫族がまだ“蛮族”だった頃の話を書いた物語なの。『白虎伝説』……信じない人も多いけど、月猫族皆の憧れなんだよ。リーファちゃんが気に入ってくれると嬉しいな」


 そう言ってはにかんで見せたユーリンは、ペラリと物語の一ページ目を捲るのであった――。



 *       *       *



 “白虎伝説”……『遥か昔、たった一人の白い毛色をした戦士が、野蛮な月猫族達を一掃し、月猫族を誇り高き一族へと導いた。その戦士の名を“白虎”と言った』……今でも月猫族達に語り継がれ、知らぬ者は居ない程有名な話である。

 だがしかし伝説を記した書物には戦士の名も、仲間の名も、どのような人生を送ったのかも書かれてはいなかった。ただ『白髪の戦士が仲間と共に、誇りの為闘った』『白髪の戦士がいかに強かったか』という内容だけが綴られているのみ。誰もが知っている伝説にも関わらず、真相を知る者は既に何処にも存在しなかった。それどころか、『誇張され過ぎたただの御伽話だ』と、嗤う者や信じない者すら多く居る始末である。

 それでも、かつて蛮族と成り果てた月猫族に反旗を翻し、仲間と共に命を散らした誇り高き戦士が居たことは紛れもない事実であった。


 その戦士の名は翔(シャン)。


 コレは、“最下位戦士”であったシャンの生き様(ものがたり)である――。

読んで頂きありがとうございました!!


これから暫く、番外編を書いていこうと思います。

正統続編を書くに至り、「あれ?『白虎伝説』の正史を予め読者の皆様に知って貰わなければいけないのでは?」となり、続編の執筆を切り上げ、急遽番外編を制作することになりました。


大まかな内容は続編どころか、『亡き星』の制作中から決まっていたので、ストーリーに悩むところはないのですが、月猫族の社会についての説明描写が多くなってしまうので、いかに読み易い文章を書くかに苦戦しています。

番外編なのでアッサリ書こうと思っており、文のレベルがかなり落ちていることを先にお詫びしておきます笑


続編が待ち受けているとは思えない程、のんびり書き進めていこうと思っているので、暇な方はゆったり気長にお楽しみください。

では、次話もお楽しみに!

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