紫苑 9
朝、ママからのメールに気付く。
シオンは夜の間ずっと騒いでいたようだ。
やはり、脳にも転移してる...。
でも、そう考えると、今までの行動の変化とつじつまが合う。
けいれんが出ないだけいいか。
そうか、アセプロ。
以前は、てんかんの閾値を下げるって思ってたけど、ほんとは発作を抑えてくれるものね。
電話をすると、シオンの鳴き声が聞こえた。
そのアセプロも効かなくなって来たか...。
「昨晩、主人と相談しました。今日、お願いします」
ママは涙声で言うと、さらに続けた。
「主人が仕事から戻る夜にお願いしたいのですけど、この鳴いているのを見るのもつらくて...」
アセプロをもっと追加するか。
でも、すでに飲んでいる分もあるから、場合によっては一気に効いてそのままってこともあるかも。
「わがままかもしれませんけど、主人が戻るまで...」
どうする...。
...。
「確か、咳止めで渡した液体の薬が残ってましたよね。それを飲ませてあげてください」
ベトルファール単独での効果は期待出来ないけど、アセプロと合わされば効いてくれるはず。
効果はしっかりと出てくれた。
内服後、穏やかに眠った様子だった。
でも、ベトルファールの効果の持続は短い。
残っている薬の量では、夜まで保たないだろう。
きっと、ママひとりで不安だろうから、午前の診察が終わったあと、薬を持って出かけることにした。




