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ランスのさだめ  作者: ベギラマ雄子
王位継承編
1/17

プロローグ


 その者は、燃え盛る炎の中で四肢を縛られ柱に(はりつけ)にされていた。火刑である。


「違う、私じゃない!魔女なんかじゃないいいぃぃぃ!よく見ろ!人間だ!普通の人間だぁぁ!火を消せ!縄をほどけ!」


 人が発声しているとは思えない叫び、時間が経つにつれて激しさが増す。


「あああ゛あああ゛つい、ししししぬぅぅじにたくなあ゛ぃぃぃいあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぃぎああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


 突然、しんと静まり返った。パチッパチッと薪が()ぜる音が異様に響く。鼻がもげる様な異臭が漂い、重苦しい空気の中、立会人のカリオストロ修道士が口を開いた。


「クラリス君、死亡確認と…民衆の方々にも処刑執行の証人となってもらいましょう」


「はい」


 クラリス修道女が処刑執行者に目をやると、柱を回し黒焦げになった遺体の向きを変え、民衆に晒した。


「魔女は処刑されました。皆がその証人です」


 どこからか流れてきた真っ黒な雲が空を覆いつくし、陽光を遮断して辺りを暗くする。

 雨が降り始めてきた。

 罵詈雑言(ばりぞうごん)を吐き散らしながら帰り始める民衆。

 遺体は灰になるまで燃やされた。

 その日、雨が止むことはなかった。


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