最近、後輩のようすがちょっとおかしいんだが③
「うむ、書き終わったぞ」
上谷が書き終えたようだ。
「お、どんなのになった?」
「学園バトル物だな」
学園バトル物か……俺達のやりたいことを使用となると舞台はそうなるか……。
厨二臭くなりすぎなければいいが……。
「メインヒロインは後輩にしてますよね?」
「やっておる、他にも妹、先輩、幼なじみ、親友と登場さておるわ」
「それでいいです」
鈴菜はその上から目線をどうにかしろよ……。上谷が切れても知らんぞ。
「まずは見てみようか……」
「主人公が……新橋和人って、おい!」
「どうかしたのか?」
「なんで、俺なんだよ!?」
「新橋ではないぞ?偶然名前が一緒なだけで」
「そんな偶然あってたまるか……」
主人公が俺とかなんでだよ!?やりたいならせめて自分にしとけよ!
「とりあえず、読んでみろ」
「ああ」
基本的には上谷の小説の内容ははっきり言って、良かったと思う。バトル要素も程よく入れられていて、ヒロイン達も可愛い。だが問題はある……。
「なんで、俺達が登場人物なんだよ……」
上谷は俺だけではなく、文芸部全員を登場させていた。
後輩の鈴菜、妹の琴羽、幼なじみの友香里、先輩の樟葉、友人の信山と真……全員登場していた。
「上谷先輩……」
「……なんだ?」
鈴菜が上谷に喋りかけた。
そうだ、文句言ってやれ。
「分かってるじゃあないですか」
「そうだろう」
「はあ?」
何が分かってるんだ?文句じゃあないの?
「俺達が登場人物でいいのか?」
「何を言ってるんですか?いいに決まってるじゃあないですか」
「お前が何を言っているんだ!?」
「先輩には分かりませんよね……他の人は納得してますよ?」
「そんなバカな……」
他の奴らを見てみる。
「なっ!?」
別に不満そうな顔をしているやつは一人もいなかった。
それどころか満足気である。
「お前らホントにいいの?」
俺は全然良くないんだが……。
「別にね……」
「むしろそっちのほうが……」
なんで賛成ばかりなんだ?名前だぞ?個人情報だぞ?
「琴羽もなのか……?」
恐る恐る尋ねてみる。
「別にどっちでもいいよ」
琴羽はどちらでもいいみたいだが、俺以外は他賛成だ……。
なんで、そんなに乗り気なの?
「ああ、もういいや……次の人どうぞ」
めんどくさいので諦めて次に行こう……。
次は友香里か、ちゃんとメインヒロインは後輩のままになるかな……。
数時間後……。
「できたよー」
「ああ、やっとか……」
書いてる間はすることがなかったので漫画は読んでいてた。あ、ジャ○プね。
読むこと数分後……。
「まあ、いいんじゃあないか?」
「そうですね、バトルシーンも入れられていますし」
「詳しくはないので良く分からないけど、良かったと思います」
「うむ、少し侮っていた」
「はあ、良かった」
友香里の小説の評価は上々だった。
感想のない二人は待たされすぎて寝ているが、いつものことだ。
「そろそろ下校時間だし、また明日にするか」
「そうですね、まだ文化祭まで時間もありますし急ぐこともないでしょう」
「じゃあ、帰ろっか」
「そうだな、行くぞ、琴羽」
「えっ、あの二人は?」
「いつものことだ、気にするな」
「……大丈夫なの?」
「顧問の先生に怒られるぐらいかな」
「それって大丈夫なの!?」
「別に二人が怒られるだけだ、気にしてると禿げるぞ?」
「禿げないよ!!」
琴羽に禿げられても俺が困るが……。
ツルツルの琴羽を愛せるか分からん。
「我は先に帰るぞ、起こしていくなら先輩だけにしておけ」
「おう、分かった」
上谷に言われたように樟葉先輩だけ起こすか。
「先輩、起きてください、帰りますよ」
「あと、5分……」
「そんな、テンプレなこと言ってないで、起きてください」
「お〜んぶ〜」
「馬鹿言ってないで行きますよ」
「お〜んぶ〜」
「はあ、仕方無い……」
俺は樟葉先輩の耳元で囁いた。
「秘密バラしちゃいますよ?」
「な、なんことかな……」
そう言いながらも、物凄い汗をかいていた。
「じゃあ、言っちゃってもいいんですね?」
「起きるから!!起きるから!!」
普段あまり大きな声を出さない樟葉先輩だが、こいうときは誤魔化すために大きな声を出す。
「樟葉先輩、静かにしないとまた苦情来ますよ?」
「ごめんね、鈴菜ちゃん……」
この部活にはよく苦情が来る。
主に樟葉先輩か上谷だが……。
「とりあえず、俺ら帰るんで、戸締りお願いします」
「えっ!?」
「じゃあ、行こうか」
「うん」
「あ、うん」
先輩と真を置いて部室を出た。
「置いていって良かったの?」
「いいんだ、寝てた先輩の罰ってことで」
「と言っても関係なく先輩がやってるけどね」
押し付け……任せてるからな、先輩の仕事だ。もちろん、先輩だから敬ってる……。
「帰るぞ」
「うん」




