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王宮の獣護  作者: 夜夢子
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序章 帰還

冷え切った夜風が、王都の石畳を撫で、一人の獣が、透き通るような白髪を揺らし、琥珀色の瞳を闇夜に淡く光らせながら、帰還する。

獣――フーリェンは隣国の辺境での偵察任務を終え、重い報告を胸に抱えて静かに城門を潜り抜けた。


「おかえり、フー」


穏やかな声が背後から響いた。振り返ると、自身の主である、第四王子ルカが立っていた。

優しい瞳が彼を見つめ、微笑みを浮かべている。


「任務はどうだった?」


ルカの問いに、フーリェンは目を伏せ、静かに答えた。


「表向きは無事に果たしました。しかし、隣国の動きには不穏なものを感じております。何かが確実に動き始めている、と、、」


二人は言葉少なに歩みを進める。静かな緊張が、夜の闇にしんと広がっていた。

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