第5話 絆と奇跡の神器・アーティファクト
お待たせしました、天音たちのアーティファクトが誕生します。
AGとは違いかなり早い展開になりますが。
side天音
ピピピピピピピピピッ!!
学生寮に住んで初めての朝に家から持参してきた目覚まし時計が鳴り響いた。
「んぅ……朝か……ふぁあ……」
欠伸をして起き上がり、鳴り響く目覚まし時計を止めると、俺は朝の日課である体を見る。
女体化した体がちゃんと元の男の体に戻っている。
去年の誕生日の翌日から女体化するようになってから朝は必ずちゃんと男に戻っているのかチェックするようになった。
ベッドから降りて起きようとすると、腰に何か少し締め付けられる違和感があった。
隣のベッドに視線を向けるがそこに千歳の姿はなく、自分の大きな九本の尻尾を毛布代わりにしている銀羅の姿しかない。
俺は瞬時に脳裏に嫌な予感が過ぎる。
「ん……」
ベッドの中から小さな声が響いた。
「……まさか」
ガバッ!
布団をめくるとそこには信じたくなかったが、ある意味予想通りの光景が俺の目に飛び込んできた。
「んにゃ……天音ぇ……」
「千歳……」
俺の腰を抱きしめながらすやすやと眠っている幼馴染の千歳。
とりあえず、着ているパジャマが乱れていなく、シーツは汚れていない……良かった、過ちは犯していないな。
「むふふぅ……天音、たくさんご奉仕してあげるからぁ……そして沢山子供を……」
ニヤニヤしながら何の夢を見ているんだよ、この子は……。
「はぁ……」
右手で拳を作り、軽く息をかける。
そして、天井に向けて高く振り上げ、一気に振り下ろす。
「起きろ」
ゴギィン!!!
「ふにゃああああああ!?」
拳骨が頭を殴る音と、千歳の猫に似た絶叫が朝の学生寮に響いた。
☆
side千歳
「うぅ……痛いよぉ……」
私は学生寮の中にある食堂で銀羅と天音と白蓮ちゃんと一緒に朝食を食べた後、食休みをしていた。
ただ、頭に出来た小さなタンコブを摩りながら涙を流していた。
「自業自得だ、馬鹿……」
「何よぉ……添い寝は男の子の夢じゃ無いのー?」
「嫁入り前の娘が言うセリフじゃ無いだろ。節度を保て」
「別に問題無いもーん、天音のお嫁さんになるんだから」
「あのな……」
「おーっす……」
『おはようさん、いい天気だなぁ!』
そこに何故か疲れてぐったりしている恭弥と相反して元気な悟空がきた。
「おはよう。恭弥、大丈夫か?」
「いや……天竺凄いわぁ……お釈迦様凄すぎるわぁ……帰依しそうになったぜ……」
「精神がかなり変な感じになってるけど……大丈夫なの?」
天竺でお釈迦様やその他大勢の御仏に合えば普通の精神じゃ耐えられ無いわね。
「とりあえず大丈夫だ……ところで、千歳さんよ。お前天音と同じ部屋って本当なのか?」
恭弥は天音や周りの人に聞こえないよう私の耳元で話す。
「ええ。おじいちゃんのお陰でね」
「そっか。じゃあ……天音の体の事はもう……?」
「恭弥も知っていたの?」
「ああ。と言うか天音のあの体の事を知る数少ない人間の一人だ。偶然知っちまったけどな」
「どういう事?」
「あれは……去年の中学の修学旅行だった。みんなが寝静まった後、俺は部屋を抜け出して月を見ながら温泉に入ろうとしたら……」
「まさか……」
「そう、あの姿の天音と露天風呂の温泉で鉢合わせてしまったんだ。あの時の天音は例えるなら、そう……湯浴みをしている天女だった……」
「なるほど……納得だわ」
「ちなみにあの時が俺の初恋で一目惚れだった」
「えっ……?」
私は一瞬耳を疑ったが、天音の女の子の姿なら惚れても仕方ないと納得してしまった。
しかも夜の星と月の光が照らす中の温泉に入っていたんだから尚更ね。
「あ、でも勘違いするなよ。初恋と言っても、流石にあの体に苦しんでいる親友と結ばれるつもりは無い。あの体の所為で一時期天音は鬱になりかけたからな……」
「そうだったんだ……」
確かに突然女の体に変化してしまったら心に大きな変化が出てしまい、鬱になってもおかしくはない。
そしてそれを男同士の親友として心配してくれる恭弥には感謝しないと。
「それに俺は千歳を応援しているから。昨日一目見て確信した。天音を支えられるのは千歳だけだってな」
「恭弥……」
「それに、千歳と一緒なら天音の面白い姿を沢山見られそうだからな」
「えーっ?何それー?」
恭弥の思惑に思わず吹き出してしまった。
なるほど、恭弥は天音を弄るのが好きらしい。
弄られた天音は面白いほど良いリアクションをしてとっても可愛いからね。
「二人とも……さっきから何をヒソヒソと話してるんだ?」
「「別にー?」」
不審に思った天音がそう聞いてくるが、ここは下手に追求される前に話題を変えておこう。
「ところで、二人は契約媒体は何にするの?」
「俺はこれだよ」
天音は部屋から持ったきた大きな長い袋を見せる。
袋から取り出すとそれは蓮宮の刻印の金細工が付けられた朱塗りの鞘と柄、そして蓮の花の絵が刻まれた鍔が付けられた綺麗な刀だった。
「綺麗……朱塗りの鞘の刀だね」
「ああ。蓮宮の人間だけが所有する事ができる守護者の神器。名は煌めく蓮、蓮煌だ」
守護者の神器ね……確かに見たところ鞘に収められている状態でも凄い刀って感じがする。
「前に天音に見せてもらったが、本当に蓮煌の刀身は綺麗だったぞ」
「そうなんだ。天音、刀身を見せてよ」
「いやいや、流石に食堂では抜けられないよ。契約の儀の時に見せるからな」
「そういう事なら楽しみに待ちますか……恭弥は何にするの?」
「俺はこれだ」
そう言うと恭弥は『富士山』と焼印が押された紐の付いた木の棒を取り出した。
「何それ?」
「これは金剛棒って言って、富士山を登る時に使う登山用の棒だよ。小さい頃に爺ちゃんと一緒に登った時に買ってもらったんだ。ちなみにこの焼印は富士山を登ったって言う証なんだぜ」
「へぇー、富士山か……日本を代表する霊山だから一度は登ってみたいな」
「だったら今年の夏休みにみんなで行かないか?必要な装備や道具は俺が用意してやる」
「本当に!?やったー!」
「みんなでって……俺もか?」
「良いじゃん良いじゃん!天音も行こうよー!」
私は天音と一緒に富士山に行きたいので後ろから抱きついて頼んだ。
天音の背中に強く制服越しに私の胸を当てると、
「わ、分かったから、引っ付くな!」
案の定天音は顔を真っ赤にしてすぐに返事を出した。
ふふふ……師匠の言う通り、思春期の男の子は女の子がくっつけばある程度の事は思い通りになるわね。
でもあんまりやると怒られそうだからやりすぎないようにしないと。
「そ、それよりも……そろそろ教室に行くぞ!白蓮!」
「はいはーい!銀羅!」
「ちょうど時間か。悟空!」
『はーい』
『分かった』
『おう!』
仲良く対談している白蓮ちゃんと銀羅と悟空に向かって呼ぶと、すぐにみんな返事をして一緒に校舎の教室へ向かう。
☆
side天音
教室に向かい、ホームルームを終えると午前中の授業は勉学に励んだ。
生徒達は真剣に授業に参加しているが、その相棒である聖獣達は特に授業に参加する義務はないのでそれぞれ好きな事をしている。
ある聖獣は契約者の側で寝て、またある聖獣は契約者が呼ぶまで気ままに学園を散歩したり、またまたある聖獣は俺たちと一緒に授業を受けている。
ちなみに白蓮は雛の姿で机の上に寝ていて、銀羅は千歳の隣で興味深そうに授業を受け、悟空は既に仏として色々な勉強を天界でしていたので授業を受ける理由はないので暇つぶしに学園を探検していた。
そして、お昼の休み時間を挟んで午後の授業は外の『訓練場』で行われる。
「それではこれより、契約の儀を行い……人間と聖獣が結ぶ奇跡の神器……『アーティファクト』を完成させます!」
アーティファクト。
それは絆を結んだ人間と聖獣が永遠のパートナーとなるために生まれる奇跡の神器であり、人間と聖獣の絆の象徴である。
アーティファクトの契約に一番欠かせないのが契約媒体である。
契約媒体は契約者が所持する物で、契約者に思い入れのある物や使い慣れている物が好ましいとされている。
俺ならこの愛刀の蓮煌、千歳は愛銃のフォーチュン&ディスティニー、恭弥は金剛棒。
他のみんなは本や電子機器、中学の部活動で使っていた道具などを契約媒体にしている。
アーティファクトには人知の力を越え、特殊な力を秘めており、聖獣と契約媒体の数だけ無数のアーティファクトが存在する。
そして、今日……世界にまた新たなアーティファクトが沢山誕生する事となる。
「まず皆さんには契約に必要な契約媒体に魔法陣を刻み込みます。先ほどお配りしたカードを契約媒体に近づけてください」
さっき柊先生から貰った魔法陣が描かれたカードをみんなそれぞれの契約媒体に近づける。
すると、カードに描かれた魔法陣が光ってそれぞれの契約媒体に刻まれて染み込むように消えた。
千歳と恭弥も契約媒体に魔法陣を刻ませ、俺は魔法陣を刻ませるために蓮煌の鞘に手を添える。
「おおっ!?天音、蓮煌を抜くの!?」
「ああ。俺の愛刀の輝きを見てくれ」
鍔に指をかけて鯉口を切り、柄を持ってゆっくりと秘められた刃を鞘から解き放つ。
太陽の光に照らされた刃に千歳は目を輝かせた。
「綺麗……」
最初の感想はそれだった。
「炎のように紅い刃に、刃に刻まれた蓮の花……凄い、こんなの初めて見た……」
蓮煌の刃は普通の刀とは別次元の美しさを放っている。
刃は燃え上がる真紅の炎のように紅く、蓮の花の刻印が刻まれている。
「ありがとう、俺の爺ちゃんが作ってくれた最高の神器だからね」
蓮煌は俺の爺ちゃんが魂を込めて作ってくれた。
去年の誕生日にこれを貰った時は本当に嬉しかったし、この蓮煌に相応しい守護者になろうと修行を重ねてきた。
『おお!とっても綺麗!!』
『なるほど……闇を祓い、光を導く退魔の神器か……まさかこの時代にも存在したとはな』
『すげえな。神話の時代の神器に相当する美しさだな』
白蓮と銀羅と悟空も蓮煌の美しさに褒めてくれた。
「みんな、ありがとう」
蓮煌にカードを近づけ、契約の魔法陣を刻ませ、これでアーティファクトの契約の準備が完了した。
白蓮とアイコンタクトを取ると、頷いて体を白く輝かせる。
白蓮は雛から鳳凰の姿となり、大きく羽ばたかせて綺麗な羽毛を散らせる。
「よし……行くぞ、白蓮!」
『うんっ!』
白蓮と共に気合を入れ、蓮煌を天に向けて高く掲げ、すぐに覚えた契約の呪文を詠唱する。
「我が名は『蓮宮天音』!我は汝と契約を望む者也!!この万物に連なる器に汝の肉体と魂を一つに、汝と我が魂を繋ぎ、新たな姿となれ!!!」
白蓮の体が無数の光の粒子となり、その粒子が蓮煌に纏いながら中に入り込み、淡い光と複数の魔法陣を帯びる。
「人獣契約執行!!アーティファクト!!!」
光が強くなり、眩い閃光で一瞬視界が奪われた。
そして、気がつくと右手にとても重い物を持たされたようにガクッと地面に手がつきそうになった。
「うおっ!?何だこれ!?」
そして、視界が回復して目に映ったの刀とはかけ離れた大きな剣だった。
「これ……大剣か?」
俺の愛刀であり、刀身に美しい蓮の紋様が刻まれた蓮煌は何と、巨大な片刃の大剣になっていた。
大剣の刀身が俺の身の丈ほどの大きさで、柄の部分もかなり長い。
片手で持つのは少し大変で、両手で持って何とか振り回せる程度だ。
両手で持ってその大剣の刀身を見つめると、一瞬にしてその美しさに目が奪われてしまった。
刀身の色が綺麗な真紅をベースに白銀と黄金の二色によって彩られていた。
三色が互いに絡み合うように刀身の中で流動を描き、刀身には白蓮の鳳凰の姿と蓮の花を模った紋様が刻まれていた。
それはもう美術品としても通用するほどの美しさを持っていた。
「綺麗だな……白蓮」
『ありがとう!でも、天音の刀が綺麗だからってのもあるよ』
大剣から白蓮の声が響く。
アーティファクトとして中に入った契約聖獣とはこうして話をすることもできる。
『それで名前はどうする?』
「名前か。そうだな……」
完成したアーティファクトには必ず名前をつけなければならない。
アーティファクトは国家公認の特別な道具であるから、国家にデータに正式に登録しなければならないのもあるが、やはり名前が無いのも不便だし、昔から名前を与えることで物に力を与えると言われている。
「そうだな……鳳凰と大剣だから……」
せっかくこんなにも綺麗なアーティファクトが完成したんだ、かっこいい名前を付けてあげたい。
そう思いながらこの大剣のアーティファクトに名前を考えた。
「アーティファクト……『鳳凰剣零式』……なんてどうだ?」
鳳凰剣零式。
かっこいいけど少し不思議な名前に白蓮はキョトンとする。
『鳳凰剣は良いけど……零式ってどういう意味?』
鳳凰剣はそのままの意味で分かるが、零式の意味は確かに分からないだろう。
一応この零式には俺なりの思いが込められている。
「零式はなんと言うか……無限の可能性って意味だ」
『無限の、可能性?』
「ああ。零は全ての始まりと終わりを意味する。白蓮は鳳凰として外れた生き方をしている。だから、これから何が起きるか分からない。無限に存在する未来がある」
『未来か……』
「だから零式。無限の可能性を持つ鳳凰の大剣、ってところだ」
『なるほど……分かった。じゃあ、今からこれは鳳凰剣零式で決定だね!』
「ああ!」
「うぉおっ!?天音のアーティファクト、すっごく大きいね!それ扱えるの?」
そこに銀羅とのアーティファクトを携えた千歳がやってきた。
「千歳のは……銃が若干大きくなっているな」
千歳のアーティファクトは二丁拳銃のフォーチュン&ディスティニーが若干大きくなっていた。
銀羅の綺麗な銀色の毛皮のように銃が銀色に輝き、小さな九尾の妖狐のマークが刻まれていた。
「名前は何にしたんだ?」
「アーティファクト、無幻九尾銃。それと、どうやらこのアーティファクトは進化するみたいなんだよね」
「進化する?」
「ほら、このマークの上に数字が書かれているでしょ?」
九尾の妖狐の小さなマークの上に『壱』の数字が刻まれていて、その周りには小さなランプのような九つの丸が刻まれていた。
『どうやら無幻九尾銃は私と千歳の絆が深まれば新たな力が目覚めるみたいだ』
人間と聖獣の絆の証であるアーティファクトは絆の力が強くなればなるほど奇跡が起きると言われている。
もしかして……九尾に因んで九つの力があるんじゃ……って、考えすぎかな?
「さて……恭弥と悟空は……?」
「二人のアーティファクト、何となく想像付くけど……」
恭弥の元へ行き、悟空とのアーティファクトを見に行くと……。
「やっほー!こいつは最高だぜ!悟空、後で棒術の訓練を頼む!」
『任せろ。せっかくこのアーティファクトに恵まれたんだ。天界の武闘派の奴らに対抗出来るぐらいに鍛えてやるぜ!!』
恭弥の手には金細工が施された紅い棒が握られていた。
それは昨日初めて悟空に出会った時に見せた如意棒に似た棒だった。
「お、天音!千歳!見てくれ、俺と悟空のアーティファクト、如意金箍棒だ!!」
恭弥は慣れない手つきで紅い棒……如意棒を軽く振り回している。
「「やっぱり……」」
何と言うか予想通りと言うか期待通りのアーティファクトだった。
元々契約媒体が金剛棒で、悟空の愛用している如意棒と同じ姿のアーティファクトが完成するのは当然のようなものだった。
「って、うわぁっ!?天音のアーティファクトでけぇっ!?それ使いこなせるのか!?」
「んー?まあ大剣を使うのは初めてだし、重いけど……まあ何とかするよ」
流石にこの重さの武器を扱うには鍛錬が必要だな。
毎日霊力で重い武器を生成して素振りをしないと鳳凰剣零式を扱いこなせないな。
「よし、早速今日から鍛錬だな」
「私も。早く銀羅と絆を深めて無幻九尾銃の力を解放したいし」
「俺も悟空に負けない棒術を身につけないと」
みんなそれぞれ自分の目標を決めて1日でも早くアーティファクトを使いこなそうと意気込む。
すると柊先生から大事な話が発表される。
「それでは来週のクラス代表戦に参加するクラス代表を決めまーす」
「「「クラス代表戦?」」」
三人でキョトンとしてすぐに柊先生の話に耳を傾ける。
「来週の金曜日、各クラスで一人の代表者を決めて『アーティファクト・バトル』のトーナメントを開催します!」
アーティファクト・バトル。
それはアーティファクトを使う者たち同士で戦う、世界中で大人気の競技である。
ルールや種目など色々あるが、一番無難なのは一対一のシングルバトルで、選手には予め魔法と現代科学の融合によって作られた『シールドリング』と呼ばれる、選手の体を守る見えない膜のようなシールドを張る装置を使う。
そのシールドにはシールドポイントと呼ばれるエネルギーの数値があり、アーティファクトなどの攻撃がシールドに当たるとそのエネルギーが消費される。
互いにシールドポイントは100ポイントと設定されて、先に対戦相手のシールドポイントを消費させて0ポイントにした方が勝者となる。
シールドリングは選手を安全に戦わせることができ、バトルの勝敗を明確に決めることができるのも大きな特徴だ。
「ではどなたか立候補する方はいますか?居なければ推薦と言う形になりますが……」
「だったら蓮宮君がいいと思います!」
「え……?」
立候補が出る前にクラスメイトの一人が俺を推薦した。
まさか俺が選ばれるとは思っておらず、慌ててしまった。
「えっ?えっ?ちょ、ちょっと皆さん……?」
「そうだな。昨日、天堂が九尾を召喚した時に勇敢に立ち向かったからな」
「そう言えば蓮宮君、あの蓮宮神社の後継者なんでしょ?だったらクラス代表に適任だと思う!」
「それにそのアーティファクトは凄いパワーありそうだし、これは優勝いけるんじゃねえか!?」
何かだんだん俺の評価が上がってきて既に逃げられない状況に陥ってる。
俺の味方の千歳と恭弥は……。
「天音、頑張ってね!全力で応援するから!」
「絶対に勝て!勝たなかったら罰ゲームだぞ!」
あ、もうこれは無理だな……。
俺は諦めてクラス代表になる道しか残ってないとその場で悟った。
「……分かりました。クラス代表、勤めさせていただきます」
「ありがとうございます、蓮宮君。ちなみにクラス代表戦で優勝したら学園長からご褒美があるので頑張って下さいね」
「は、はい……」
学園長からご褒美ね……千歳のおじいさんだから少し嫌な予感がするのは気のせいだと信じたい。
でも、やるからにはやはり優勝は狙いたい。
「頑張ろうな、白蓮」
『うん!頑張ろう!』
鳳凰剣零式を天に掲げ、クラス代表戦優勝を目指して頑張ろうと誓った。
.
AGとは違い、今回は何の問題もなく天音は鳳凰剣を誕生させました。
バトルはクラス代表戦で薄々気が付いた方もいるかと思いますが、天音とのバトルの相手は「雷神の申し子」です。
バトルは第7話になるのでお楽しみに。