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第35話 鎧を纏う戦乙女

パソコンが壊れて大変ですがアイフォンで書けたので投稿します。

今回はアメリカ編が大きく動き出します。


映画館の奥にあるスタッフや関係者だけが入れるフロアに案内される。

俺たちを案内している彼女はケイリー・ウィルソン。

フェイトさんがデビューして以来ずっとマネージャーを務めていて千歳とも知り合いだった。

「フェイトさんは取材などでお忙しいですが、チトセさんとフィアンセさんの為に強引に時間を作ったんですよ」

「マスターが?」

「ええ。飛行機に乗っている間、チトセさんの写真を見ながらずっと楽しみにしていましたから」

「そ、そうなんだ……」

千歳はえへへと嬉しそうに笑いながら頬を指でかいた。

フェイトさんは本当に千歳の事を大切に想っているんだなと感じると、遂にフェイトさんの楽屋の前に到着すると流石に緊張してくる。

この扉の向こうにはアメリカの有名な女優さんがいるのだ、緊張するなと言われても無理だろう。

ケイリーさんがドアをノックして開けると、そこにフェイトさんがいた。

先ほどまで着ていた水色のドレスを脱いで黒を基調とした動きやすを重視したカッコいい洋服に身を包んでいた。

「マスター!」

「チトセ!!」

千歳とフェイトさんはすぐに再会を喜んで抱き合った。

ギュッと強くお互いを抱きしめ、フェイトさんは千歳に頬ずりをして頭を撫で撫でした。

「会いたかったわ、私の可愛いチトセ。少し大きくなった?益々可愛くなって嬉しいわ」

「マスター、くすぐったいよ〜。たった三ヶ月じゃそんなに成長しないよ〜」

師弟というより、まるで姉妹のように触れ合う千歳とフェイトさんに思わず笑みがこぼれる。

すると銀羅が二人に近づくと、フェイトさんは千歳を抱きしめながら銀羅を見つめる。

「わぉ、あなたがチトセの契約聖獣ね?」

『お初にお目にかかれる。私は銀羅、九尾の妖狐だ』

「凄い、本当に尻尾が九本ある狐ね。それに凄いモコモコしている。これで一緒に寝たらさぞかし心地いいわね」

「銀羅とはいつも一緒に寝ているの。そこいらの抱き枕とは比べ物にならないほど気持ちいいのよ」

「それは羨ましい。こんなにモコモコの毛皮はそうそう無いからな」

フェイトさんは銀羅の頭を撫でると今度は俺の方を向いた。

「君がチトセのフィアンセ。確か、アマネと言ったか?」

今までと違い、俺を見定めるかのような鋭くも厳しい視線を向けてきた。

俺は一瞬目を閉じた間に心を落ち着かせて真剣な表情をしてフェイトさんに向けて会釈をして挨拶をした。

「初めまして、蓮宮天音と申します。この度は舞台挨拶にお招きいただき、ありがとうございます」

「ハスミヤ……?」

俺の苗字を聞いた瞬間、フェイトさんは眉を寄せて首を傾げた。

「何か……?」

「いや、何でもない。チトセは私の弟子であると同時に妹同然の存在だ。必ず幸せにしてくれよ?」

幸せにか、本当にフェイトさんは千歳の事を大切に想っているんだな。

まだ俺は千歳に想いを伝えてないけど俺の覚悟だけでも伝えよう。

「はい。まだ俺たちは子供ですけど、いつか一緒になって俺の実家で幸せに暮らしていきます」

「天音……!」

ものすごく恥ずかしかったが、千歳は頬を赤く染めて嬉しそうな表情をしていて喜んでいる。

「ふっ、言うわね。アマネ、チトセの事をよろしく頼んだよ」

俺の答えに満足したのかフェイトさんは俺にも笑顔を向けてきた。

『僕は鳳凰の白蓮!さっきの映画凄かったよ!感動した!』

「鳳凰?確かフェニックスと似たような存在だったね、ありがとう。さて……実はすぐにでも帰国しなければいけないんだ」

「そうなの?やっぱりマスター忙しいんだね……」

分かってはいたが、やはり大女優という事もあって色々忙しい。

俺はできるだけ2人が一緒に居られるようにある提案をした。

「だったら……千歳、俺は先に学園に帰ってるから二人だけで帰国ギリギリまで一緒にいたら?帰りは俺が迎えに行くか、タクシーで学園に戻ればいいし」

走ったり飛んだり出来るのでそれで千歳を迎えに行くか、タクシーで直接星桜学園に帰ってくることも出来るから好きな方を選べばいい。

「それなら私が車を手配して学園まで送ろう。チトセ、しばらくの間私と一緒に居てくれるか?」

「うん!マスターとたくさんお話したいし、もっと一緒に居たいから!」

「ああ、もう!嬉しい事を言ってくれるじゃないか、このこの!」

「きゃあ!マスターくすぐったいから止めて〜!」

フェイトさんはもう一度千歳を抱きしめて頬ずりをした。

こうして見ると千歳のフェイトさんに対して甘えている所は普段俺に甘える時とはまた違っていて、幼い頃の俺が母さんや花音姉ちゃんに甘えていた頃を思い出し、千歳の意外な姿を見れた気がする。

「それじゃあ、二人の邪魔をしない為に俺は先に帰りますか。フェイトさん、今日はありがとうございました」

「いいえ、こちらこそ君に会えて良かったよ」

「千歳、フェイトさんと楽しい時を過ごしてね」

「うん、ありがとう!」

俺は二人だけの時間を作る為に一旦千歳と別れて先に星桜学園に帰ることにした。

映画館を出てハンバーガーを食べに行こうと思ったその時、感じたことのある気配に気付き、近くの路地裏に周って少し溜息を吐きながら上に向かって言った。

「はぁ……せっちゃん、そろそろ出てきたら?」

ヒュン!

空を切る音が鳴ると共に俺の前に忍装束を身に纏ったせっちゃんが現れた。

『えっ!?せっちゃんいたの!?』

「お館様、何時からお気づきに……?」

せっちゃんは口元を黒いマスクで隠していたがバツが悪そうな表情をしていた。

「最初に気付いたのは映画館に向かう時。度々似たような気配がしたからもしかしたらと思ったんだよ」

「拙者達は護衛故、遠くから見守っていたでござる。お許しください……」

「達って事は麗奈もか、まあ当然か。別に怒ってないけど千歳には内緒にしといて」

「御意でござる」

ということは今頃、麗奈は千歳の近くで控えているってことか。

麗奈がいるなら帰りも安心だな。

「さて、せっちゃん。折角だからちょっと付き合ってもらうよ」

「どちらへ?」

「千歳と行く予定だったハンバーガーショップに行こう」

「ハンバーガーでござるか?」

「アメリカ発祥のジャンクフードで人気があるんだ。俺の奢りだ、食べに行こう?」

「お、お館様の奢りでござるか!?」

「ああ。あ、もしかしてお腹空いてない?」

「い、いえ!お館様のご好意、謹んでお受けするでござる!」

「相変わらず固いな……まあいっか。とりあえず行こうか」

「御意!」

『やっほー!ハンバーガーだ!』

俺に仕えてくれるのは良いけど、忍者の里でそう教えられたのか、せっちゃんの主従の関係の固さに苦笑を浮かべながら二人でハンバーガーショップに向かった。



sideフェイト


チトセと再会した私は楽屋で星桜学園に入学してからの話を聞いていた。

アマネと一緒の部屋で毎日楽しく過ごしていること、仲間達と喫茶店で部活として働いていること、そして聖霊狩りと戦ったこと……。

まさか聖霊狩りが星桜学園に襲撃していたとは予想外で私も初め聞いたときは耳を疑った。

しかも相手は私も耳にしたことのある聖霊狩りの中でもかなりの名を持つ死絃の瑪瑙……よく生き残れたなと褒めてあげた。

チトセの頭を撫でて温もりを堪能すると、そろそろチトセに会いたがっているこの場にいるもう一人を呼び出す。

「なあ、そろそろ出てきたらどう?相棒」

私の背後から聖なる光が溢れ出すとそこから私と似た長い金髪をしてその身に鎧を纏った一人の美しい女神が現れるとチトセに慈愛の笑みを浮かべる。

『久しぶりですね、チトセ』

「ブリュンヒルデ!!」

チトセはその女神に抱きついた。

女神の名はブリュンヒルデ、私の最高の相棒である契約聖獣だ。

『ぶ、ぶりゅ……何だ?』

チトセの契約聖獣のギンラは名前を覚えられずにキョトンと首を傾げて私たちは苦笑を浮かべた。

「ブリュンヒルデだよ。確かに少し言いにくいけど……」

確かにブリュンヒルデって名前は日本人には少し言いにくい名前でもあるな。

『では、私の事はヒルデと呼んでください。ヒルデは鎧と言う意味です』

『ヒルデか。うむ、分かったぞ!私は銀羅だ。ところで、お前は何の聖獣だ?天使か?』

『いいえ、私は北欧神話の主神・オーディン様に仕えるワルキューレの一柱です』

『ワルキューレ?』

「戦場を司る女神達だよ。昔は戦場で亡くなった勇者の魂をヴァルハラって言う所に連れて行く役目をしていたけど、今はメイドさんみたいなことをしているって言ってたよね?」

『おいちょっと待て。女神がメイドってどういう事だ?』

確かにおかしい気がするが実のところあまり間違っていないんだよね。

『ワルキューレは迎えた勇者達のお世話をしていました。今は平和ですのでワルキューレのみんなはヴァルハラで使用人の仕事を中心にやっています。もっとも、私はヴァルハラから追放された身ですが』

『追放された?』

そう、ブリュンヒルデは自分の絶対的な使命である神の命に逆らった為に不幸な生を受ける事になってしまった。

『昔……オーディン様の命に背いて、戦場にいた恋仲だったある兄と妹の二人を助けてしまってので』

『兄と妹の近親結婚か。しかし、何故その二人を助けたのだ?』

『実は、その妹のお腹には兄との間にできた子供を身籠っていて、同じ女性として情に流されてしまったのです』

『そういう事があったのか……確かに女の腹に子供を身籠っていたのなら心が揺らぐな』

『でも私は後悔はしていません。彼と出会うきっかけになったし、こうして親愛なる契約者であるフェイトの契約聖獣になれましたから』

「嬉しい事を言ってくれるじゃない。でも、少しは自分の幸せを考えてね?」

『ありがとう……フェイト』

ブリュンヒルデは淡い笑みを浮かべた。

前にブリュンヒルデの物語を見たときには驚いたがブリュンヒルデは呪われた悲劇的な『運命』に翻弄されて辛い最後を迎えた。

だからこそ私はブリュンヒルデには幸せになってほしいと願う。

しかし、ブリュンヒルデが幸せになれる最も大切な要素である『夫』がなかなか見つからないのだ。

色々な伝を使って探しているんだがなかなかその夫は見つからない。

既に誰かに召喚されてひっそりと生きているのかどうか分からないが、少なくとも私が生きている間にブリュンヒルデに会わせてあげたい。

「さて、話が落ち着いたところでチトセとギンラに話がある」

「なーに?マスター」

純真無垢な表情を見せてくれる可愛い妹にこれからする事はとてもつらいが手段を選んでいる余裕はないのだ。







「これから二人には一緒にアメリカに来てもらう」







私の口から語られた内容が衝撃的だったのだろう、二人はキョトンとしていた。

「えっ?」

『何だと?』

その呆然とした隙を逃さずブリュンヒルデに頼んだ。

「ブリュンヒルデ!」

『ごめんなさい、チトセ、ギンラ。安らかな母の温もりを……ベオーク!!』

ブリュンヒルデは指先を光らせてアルファベットの『B』に似た文字を描いた瞬間、チトセとギンラに不思議な光が包み込まれ、突然の睡魔に襲われる。

「あ、うっ……ママ……」

『母上……』

そして二人は母の事を思い出しながら眠りについてしまった。

まるで母に抱き締められ、その身に優しい温もりに包まれて眠るかのように。

ブリュンヒルデが使ったのは『ルーン魔術』と呼ばれる北欧から古くから伝承されている魔術。

『ルーン文字』と呼ばれる不思議な力がある文字を魔術として発動する力だ。

今チトセとギンラに使ったルーンは慈愛や母性を司るベオークで、安らぎと安心感を与えて相手を眠りにつかせる力がある。

私は眠りについたチトセを抱き上げ、ブリュンヒルデはギンラを抱き上げると荷物をケイリーに頼んで楽屋を後にした。

映画館の裏口に私が予め手配しておいたリムジンが待っており、すぐにリムジンの中に入ろうとしたその時。

『フェイト!避けて!』

「おおっ!?」

突然上空から何かが投げ飛ばされ、私とブリュンヒルデが咄嗟に下がると地面に鉄でできた花の形をした物が刺さった。

これは確か手裏剣と呼ばれる武器だったはず……ま、まさか!?

『何者ですか?』

ブリュンヒルデが警戒すると私達の前に黒装束に身を包んだ長身の少女が現れた。

「天影くノ一、神影麗奈。貴様ら……千歳様に何をした!?」

「くノ一……ハッ!?ま、まさかジャパニーズニンジャ!?」

まさかこんなところで本物のニンジャに会えるなんて夢のようだ!

やはりまだ日本にはニンジャが生き残っていたのだな!?

『フェイト……喜ぶ場合ではありませんよ!』

「だってニンジャだよ!本物だよ!これは是非とも新作映画の出演を頼まなくちゃ!!」

『はぁ……どうしてアメリカの方は日本のサムライとニンジャに憧れるんですかね……?』

ブリュンヒルデは呆れているが、サムライとニンジャにはアメリカに真似できない日本独特のかっこよさがあるからだ!

まさかチトセにニンジャの護衛がいるとは思いもよらなかったが、これはいいチャンスかもしれない。

「さっきから何を言っているんですか!?とにかく千歳様を返してもらいます!火遁・竜炎弾の術!!」

大きく息を吸い込んだレイナの口から炎の弾がいくつも吐き出され、私たちに襲い掛かるがブリュンヒルデはとんでもない重さを持つ愛槍『ヴァルキュリアス(名前が無かったので私が命名)』を呼び出して炎を薙ぎ払った。

「おお!口から火を吹いたぞ!ブリュンヒルデ、その子も連れて行くぞ!チトセの護衛らしいからな!」

『もう勝手なんですから……分かりました。荒々しき野生の力をここに、ウル!』

今度は『U』を模した文字を描くとブリュンヒルデに膨大な力が溢れ、次の術を出そうとしたレイナと言う女の子の背後へ瞬時に移動した。

「なっ!?」

『ごめんなさい、あなたにはルーンが効きそうにありませんから物理的に行かせてもらいます、ていっ』

「かはっ……!?」

首の裏を軽く叩いて意識を奪い、倒れるレイナをブリュンヒルデは片腕で受け止め、ヴァルキュリアスを消してそのまま担いだ。

ウルは闘牛のような野生のダイナミックなパワーを宿すことができる。

「よし、空港に向かうぞ」

『ええ……』

リムジンの中にチトセとギンラとレイナを乗せて無理のない体勢に横たわらせ、ブリュンヒルデに旅や移動の意味を持つルーンの『ラド』を掛けてもらい、旅の無事を守ってもらう。

そして、空港に向けてリムジンを発進してもらう。




フェイトの相棒は有名なブリュンヒルデです。

ブリュンヒルデは槍使いなので槍のアーティファクトが良いのでは?と思われますがこれには理由があり、ブリュンヒルデの槍はただ重いだけなので面白みがないかなと思うのと、ブリュンヒルデの夫であるあの英雄の契約者など色々な妄想が頭の中で浮かびましてフェイトさんの契約聖獣にしました。


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