第九話ブラッドハウンド
いつも読んでくれてありがとうございます。
佐藤太郎は草原に張ってあるテントでティリー♀といた。
佐藤太郎
「悪いが、俺の心はマンティコアへの闘志で満ちている。今は誰かを愛する余裕なんてねぇんだ」
暗闇の中、月明かりに照らされたタローの真剣な横顔に、ティリーは息を呑む。
ティリー♀
(なんて真っ直ぐな瞳……いつもはアホ面だと思っていたのに、今は本物の戦士の顔をしていますわ……!)
ティリーは抑えきれない衝動に駆られ、さらにその裸の胸へと顔を近づけようとした。
――その瞬間だった。
——ピピピピピピピピ!!
大気がビリビリと震えるような甲高い鳴き声と、地響きを伴う重い獣の足音がテントの外から響き渡った。
ディセクター♂
「起きろ! 夜襲だ!!」
隣のテントから、ディセクターの鋭い怒声が夜の静寂を切り裂く。
ジョイス♂
「うわぁっ!? なになに!? マンティコアの眷属、『ブラッドハウンド』の群れじゃんか!」
デューク♂
「くそっ、俺がタローの頭を殴りすぎたせいでパーティーの索敵能力が落ちていたのか……!? すまないタロー、全部俺のせいだ!」
(※デュークはまだ勘違いしている)
ティリー♀
「ひっ……!」
視力が低く、暗闇で状況が掴めないティリーは恐怖で身をすくめる。
その時、凶悪な鋭い爪がテントの布を無残に引き裂き、禍々しい獣の一匹が丸腰のティリーへと飛びかかった。
ティリー♀
「きゃあああああっ!」
死を覚悟し、彼女が強く目を閉じたその時。
——ドゴォォォォォン!!
鈍い破裂音と共に、獣の巨体がテントの外へと勢いよく吹き飛ばされた。
ティリーが恐る恐る目を開けると、そこには鍛え抜かれた鋼の肉体を盾にし、ティリーを庇うように仁王立ちする全裸の佐藤太郎の姿があった。
佐藤太郎
「俺の仲間に……それ以上指一本触れてみろ。俺の溜まりに溜まった性エネルギー(という名の闘気)、全部お前らにぶちまけるぞ!!」
その声は低く、しかし確かな殺気を帯びていた。
ティリー♀
「タロー……!」
(全裸だけど……全裸なのに……すごくカッコいいですわ……!)
タローの放つ圧倒的なプレッシャーと謎のエネルギーに気圧され、血に飢えていたはずのブラッドハウンドたちがジリジリと後ずさる。
佐藤太郎
「デューク! 自分を責めるな! 俺のアホはお前のせいじゃない、生まれつきだ! ジョイス、右の群れを頼む! ディセクター先輩、援護をお願いします!」
ディセクター♂
「ちっ、素っ裸でカッコよく仕切りやがって……! 行くぞお前ら!」
タローの言葉で正気を取り戻した仲間たちが、一斉に武器を構え、獣の群れへと立ち向かう。
佐藤太郎は背後にいるティリーの方を振り返り、不敵にニッと笑った。
佐藤太郎
「ティリー。お前は俺の後ろに隠れてな。俺が必ず守ってやるからよ」
ティリー♀は顔を真っ赤にして、コクコクと頷く。
(ああ……もうダメ。私、完全にこの人の虜ですわ……暗殺なんて、もうどうでもいい!!)
佐藤太郎は全裸のまま、力強く大地を蹴った。
佐藤太郎
「いくぞオラァァァ!! マンティコア討伐の前哨戦だ!!」
月夜の荒野に、佐藤太郎の勇ましい雄叫びが響き渡る。
初夜こそお預けとなったが、戦士・佐藤太郎の熱き闘いと、ティリーの本当の恋は、今まさに始まったばかりである!




