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ニート撲滅戦士  作者: 勇氣
第一章SSS級マンティコア討伐への道

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第十八話沈黙の聖騎士と、黄金の「洗濯」論理(ロジック)

何時も読んでくれてありがとう御座います。

 大カジノ都市ゴモラ・ルクソールの中央を流れる「黄金河」。それは、かつての錬金術師たちが都市の富を象徴するために魔導で流動化させた、純金と魔力が混ざり合う伝説の運河である。その神聖な河のほとりで、佐藤太郎は一人、鼻歌を歌いながら『洗濯』に精を出していた。


1. 聖域コインランドリーの破壊者

 「よしよし、ポチ。尻尾の毒針の付け根が一番汚れるんだよな。じっとしてろよ」


 全裸のタローは、時価数十億€の価値がある黄金河の水に、オリハルコン製の串をブラシ代わりに浸し、ポチの剛毛をゴシゴシと洗っていた。


ジョイス♂

 「……信じられない。あの河の水は、一滴で平民が一年暮らせるポーションの原料だ。それを『ペット用のシャンプー液』にするなんて……。タロっち、君のせいでまた金の市場価値が12%下落したよ。供給過多サプライ・ショックだ。」


ディセクター♂

 「おいジョイス、あっちを見ろ。……『招かれざる客』のお出ましだぜ」


 砂漠の地平線から、一切の音を消して迫る一つの影。神聖インド帝国が誇る究極の暴力装置、沈黙の聖騎士・ガラハド。彼は私欲を捨て、帝国の『秩序』を乱す者を抹殺するためだけに存在する、人間という名の冷徹な法典であった。


2. 「沈黙」の宣告

 ガラハドが歩くたび、周囲の砂漠が凍りつく。彼の纏う「神銀ミスリルの聖甲冑」は、周囲の熱量を奪い、物理法則を「静止」させる権能を持つ。


ガラハド(念話)

 『――佐藤太郎。貴殿の存在は、世界の均衡を崩す癌だ。無自覚な経済破壊、暴力による秩序の再編。これ以上の越権行為は、神聖法によって禁じられている。』


 ガラハドが抜いた聖剣「アロンダイト・ゼロ」が、タローの首筋に向けられる。その瞬間、河の黄金すらも動きを止め、世界から音が消えた。


佐藤太郎

 「……あ? おっさん、誰だ? 今ポチを洗ってんだよ。水が跳ねるから、あんまり近くに寄るなよ。そのピカピカの鎧、汚れちゃうぞ?」


ガラハド(念話)

 『……愚弄するか。死をもってその罪を贖うがいい。』


 聖騎士の剣が、光の速さを超えて振り下ろされた。それは、対象の「存在確率」そのものを切断する、回避不能の一撃。


3. 無自覚な「神殺し」の洗濯

「あ、いけね! 石鹸(ポチの分泌液)が滑った!」


 タローがポチの背中を流そうとした瞬間、ポチの毛穴から分泌された「SSS級幻獣の皮脂」――あらゆる魔法と物理干渉を弾き、潤滑させる究極の撥水素材――が、偶然にもガラハドの足元に飛び散った。


「……っ!?」


 絶対的な静止を誇るはずの聖騎士の足が、摩擦係数ゼロの世界に捉えられる。ガラハドの剣筋は、タローの脇を通り抜け、黄金河の底へと空しく突き刺さった。


佐藤太郎

 「ほら、言ったじゃねぇか! 滑るから危ねぇって。……あ、そうだ。おっさん、良いとこに来た。ポチの背中、俺の手じゃ届かねぇんだわ。その平べったい剣で、ちょっと垢すり手伝ってくれよ」


 タローは、混乱で硬直したガラハドの手から聖剣をひょいと取り上げた。世界を切り裂くはずの聖剣が、タローの手にかかれば、ただの「ちょっと使い勝手のいい垢すり板」に変貌する。


4. 秩序の崩壊、新教義の誕生

 タローが聖剣でポチの背中をゴシゴシと擦り始めると、聖剣に宿る神聖な魔力が、ポチのSSS級素材と黄金河の金成分に混ざり合い、未知の「新素材」へと練り上げられていった。


ジョイス♂

 「……待て。タロっち。君が今、聖剣でポチを洗ったことで、黄金河の成分が『聖属性耐性付きの可変合金』に変質した。……これは、帝国の兵器体系を根本から無力化する素材だ。君は、洗濯一つで帝国の軍事優位を完全に消失させたんだぞ!」


ガラハド(念話)

 『……馬鹿な……。私の聖剣が、ただの洗浄道具に……? 我が一生を捧げた秩序が……全裸の男の家事に敗北したというのか……?』


 無感情なはずの聖騎士の目から、初めて「理解不能」という名の涙がこぼれ落ちた。


5. 覇道は「清潔」へと続く

 数時間後ピカピカになったポチと、精根尽き果てて河原に倒れ伏すガラハド。


佐藤太郎

 「ふぅ、さっぱりしたぜ! おっさんも手伝ってくれてサンキューな。あ、礼にこの『金色の泥(新素材のカス)』やるよ。それで新しい鎧でも作れよ」


 タローが何気なく手渡したその「泥」こそ、後に『タロー・メタル』と呼ばれ、大陸全土の建築・兵器・通貨の基準を塗り替えることになる、宇宙で最も強固かつ高価な物質であった。


ディセクター♂

 「……結局、最強の刺客までパシリにしちまったか。おいタロー、お前のその『無自覚な暴力』、そろそろ国家が破産するレベルまで来てるぞ」


デューク♂

 「はっはっは! 我が友よ、次はいよいよ帝都だ。君が洗濯一回で軍事均衡を壊したと知れば、皇帝は腰を抜かすだろうな!」


次話予告:

「帝都って、ここより洗濯しやすい川あるか?」

 刺客を弟子パシリに変えたタロー、ついに入国制限解除の帝都へ!そこで待っていたのは、全裸を礼装として認めるか否かの、前代未聞の御前会議だった。


佐藤太郎の現在の資産:


現金: 99,993,000€ + ゴモラ・ルクソールの税収(勝手に積み上がっている)


新資産: 『タロー・メタル』の独占製造権(ポチの垢と聖剣の反応物)


フォロワー: 沈黙の聖騎士・ガラハド(「秩序とは何か」を自問自答しながら同行中)


 世界は今、一人の全裸の男の「生活習慣」によって、かつてない平和(と大混乱)を迎えようとしていた。

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