古城のモンスター turn2-part③
コカトリスの魔眼は発動した。
しかしゴーレムは止まらない。
「残念だったなコカトリス。こいつは元々、石くれでな」
キュィン!ストーンゴーレムの瞳の奥に朱色の炎星が瞬き、拳が振り上げらる。
「お前ご自慢の魔眼を見ながらでも、滞りなく……」
「ぶん殴れるってワケだ!!」
ドガァァン!!コカトリス撃墜。
一応、頭部を踏みつけて潰しておくよう、指示を出す。手負いの獣の抵抗は驚異だ。魔眼持ちは特にそう。死体でも、魔眼と目が合えば危険だ。石化効果が死にきってないかも知れん。
カンカンカンカンカーン!
「勝者ァ!ダグの旦那のストーンゴーレムゥゥ!」
「GAAAAAAA!!」
「ダグ。ローズが人間に戻ってる」
「本当だ!やっとかよ。猫適正高過ぎないかあいつ!」
しかし、ローズを越える猛者がいた。
真の猫モード適合者。
その名はサミダレ!
「にゃー……にゃっ!にゃっ!にゃにゃっ!」
いと可愛し、茶トラのぬこ様が跳ねる。
蝶のように舞い、蜂の様に刺す。
相対する蛇は尾を細剣のようにし、突く。
高速で、突く突く突く。突く、凪ぐ、叩きつける。
しかし、ぬこ様には当たらない。
さすがはサミダレ。泥酔しても近接戦闘はお手のものだ。バジリスクの体に幾つもの短剣、長剣が刺さっている。
どうでもいい事だが、壁にある剣は本来、ここに住む魔物が使うのだろうな。力ある魔剣ならばミミック等に守られているが、ここのは量産品っぽい。安そうな支給品だが、いつ何処にいても無手にはならない。通路にいても、部屋にいても、いつ侵入者に襲われても武器を手に取れるようになっている。手のある形の魔物にとって、ここはかなりいい物件かも知れん。って前世さんがダグの中でぶつぶつ解説してる。
さあ、バジリスクにまた一本の長剣が突き刺される!ずばんっ!
バジリスク、負けじと凪ぐ。ブン!ブン!
しかし猫は被弾しない。
バジリスクに短剣が突き刺される!3本一気に放たれた!ずば、ずば、ずばんっ!
バジリスク、負けじと突き続ける。シュババババ!
しかし猫は被弾しない。
バジリスクにまた一本の長剣が突き刺される!ずばんっ!
バジリスク、負けじと叩きつける。バッシィィン!バッシィィン!バシン!バシン!バッシィィン!
その時、サミダレは懐に潜り込む。
「なーーご!にゃっ!にゃっ!(サミダレ!行き!ます!)」
3本の短剣が鋭く飛翔する。それぞれ、右目、左目、喉の真ん中に深く突き刺さった。
ぶしゃり!ぶしゃり!ぶしゃっ!
あ。最後、喉からいい音した。
サミダレは何かを察して下がる。
「Shhaaaaaaa……!!」
断末魔を一鳴き。刹那の硬直の後、何かの冗談みたいに、バジリスクの顔が天高く打ち上げられた。
てめーの血は何色だ!明るく鮮やかな紫か。ほう、綺麗じゃねえか。知ってた。錬金術でエリクサーの素材にしてやろう。いつも通りな。
ダグはスキルを発動した。
【錬金術・ポーション類lv.XX】
最高の回復薬を作れます。素材は自前でどうぞ。
ダグはエリクサーを1つ作った。
エリクサーは1度だけ、HPとMPと全ての状態異常を全回復してくれる希少なアイテムだ。レベルの高い毒液だけ足りなかった。魔王と戦うには、こいつが幾つでも欲しい。
ダグのタイムリープでは、毎度バジリスク狩りが恒例になっている。まあ他の素材がエリクサー3つ分しかないから、決戦までにあと2体倒せればいい。希少なモンスターだから、出ない時は全く出ないが、今回は幸先がいいようだ。
懐中時計を見る。日はまだまだ高い時刻だ。
大丈夫。まだ時間はある。あれから30分。サミダレはまだ猫なのか。窓の外に太陽はない。相も変わらず、闇色の雷雲が渦巻いていた。
あ、窓から黒いちょうちょが入ってきた。あれは安全な種類だ。何のスキルもない。罠等に誘導するほどの知能もない。しかしサミダレがにゃんにゃん鳴いて追いかけて行ってしまった。おい待て、行くな。
37,992文字 5章目終了!
ダグさんよぉ、次章は魔将の奴等が動くようだぜ?




