VS玉鋼の魔将 turn6-part②
分厚い鎧から覗く素肌を狙い、ローズの〈崩し〉の一撃が炸裂する。雷球。雷球。雷球、雷球、雷球。
積年の恨みとでも言わんばかりの弾幕。ピンポイントに狙いを定めた一撃を、弾幕に隠して鋭く放つ。
「HyuVoooooooooo!!!」
バリバリバリと雷が走る。腐った肌に無事ヒットしたらしい。他は対魔力の鎧に阻まれたが、この一撃は効いてる。しかしこれは、〈崩し〉に過ぎない。
「マァァァーーーウゥ!!」
ローズが唸り、〈本命〉である極大の光の奔流が炸裂する。大ダメージだ。並みのアンデッドなら一撃で100体は消滅させるような威力。鎧部分が残っていなければ今ので屠れていただろう。ローズの攻撃は終わり、光が弾けた。膝をつくギガントナイト伯爵。
しかし魔将は止まらない。
ギガントナイト伯爵は、闇色に光り輝く剣を天高く掲げたかと思うと、その巨体でクルクルクルリと横向き水平に数回回転し、ズバンと剣を振った。
水平360度全方位に、闇色の斬撃が雨あられと襲いかかる!
「ギュオオォォーーーーン!!(何処を見ている!!)」
ズバン!ズババン!ドゴン!ドゴン!
斬撃、斬撃、殴打、殴打。暴れる、暴れる。
スターフレアギドラは、傷を負う事など御構い無しに殴りまくる。蛮勇ではない。無謀ではない。回復した体力、倒れても送還されるだけで、死なないと言う魔法の構造を理解しているのだ。なんという叡知。今この瞬間が攻め時だと理解しているのだ。なんという覇道。さすがは王種。気高くも獰猛な、捨て身の連擊が魔将を襲う。なんという迫力だ。
それでもギガントナイト伯爵は止まらない。それが魔将を名乗る者。もはや斬撃が広範囲に飛ぶなど当たり前。弾幕だ。物理攻撃ってなんだっけ。斬撃ってなんだっけ。
ダグは気高き王の維持に魔力を食われながらも、果敢に斬撃の合間を縫い、回避している。被弾はない。
ローズも全力のスキルを放ち終わり、回避に専念している。被弾はない。
続いてはサミダレの攻撃。三刀流の猫が斬撃弾幕を掻い潜り、魔将を名乗る屍騎士にゆらりと迫った。魔将の剣が振るわれる。振るった直後、一瞬の硬直が生まれる。そこを狙い、猫が懐に潜り込む。
「………………!!」
サミダレ行きます!って言いたいんだろう。
三刀流で口が塞がってるけど、目がギラリと輝いたので、ダグにはそう、聞こえた気がした。
ザザザザザザザザザン!
ザザザザザザザザザン!
ドパァァァン!
多分20回くらい一瞬で斬りつけた。
早すぎて見えない。最後のドパァンって何だろう。凄く小気味良い音過ぎた。あ、ギガントナイト伯爵の左肩から先がない。流石に体制を崩し、弾幕が止む。
「……にゃおん!」
逃げて!だろうか。ルインが金色の拳に乗って降って来る。サミダレは素早く退避する。懐にいたのでは巻き添えだ。
ドガァァァァン……
「HyuVoooooooooo……………ppppp……pp……p……」
がくり。ギガントナイト伯爵の瞳なき瞳から、輝きが失われ、完全に停止した。しかしダグは知っている。このアンデッド、すぐ復活するのだ。初勝利後に騙し討ちのようにして背後からから斬られた時は、死んだふりでもしてやがったのかと思った。
だがこいつは騎士だ。伯爵だ。紳士だ。どこまでも真っ直ぐで、正々堂々と勝負しないと怒りと呪いを撒き散らしてから死ぬくらいには真っ直ぐな奴だ。
そしてこいつはアンデッド。パッシブスキルにおそらく再生系能力がある。魔将ともなると、そのレベルははかり知れない。だから今の内にローズを呼び、きちんと仕留めさせる。
「にゃーにゃ。(止めを、ローズ。)」
「ぶにゃう!(合点よォ!)」
猫ローズは二足歩行で前両足を前方につきだし、再び光の奔流を放った。魔将の左肩断面から流し困れた光に、鎧は内側から照らされ、天井や壁に大きな影を作った。ギガントナイト伯爵は闇色の粒子を撒き散らしながら、ローズの白光に溶けてゆく。
ちょっとしたスペクタクルだ。壁に4つの猫の影が映る。古城は少し薄暗い。薄暗い部屋で、光源の近くで手を動かし、影絵をして遊んだ事はないだろうか。ダグは、そんな思い出などないはずなのに、壁に映る自分達の大きな影を見て、どこか懐かしい気分に浸っていた。我々の勝利だ。無傷だ。誰も泣き叫んじゃいない。皆五体満足だ。よかった。
ああ。本当によかった。
皆、もう人間やめて猫で魔王城攻略しようぜ。
ダグはわりと本気で、そんなアホで可愛すぎる絵面を想像していた。その想像の中では皆が一緒だった。皆生きている。誰一人欠ける事なく、楽しそうにからかいあっているのだった。……猫の姿で。
result:
玉鋼の魔将・ギガントナイト伯爵 撃破
300000goldを獲得した
藍色の宝珠を獲得した




