猫の杖と竜の屍 turn1-part③
side:猫ローズ&ダグ
猫が氷柱を飛ばす。ドラゴンゾンビAには効いていない。青白い炎の熱線が放たれる。俊敏に飛び退く猫に、あんな大振りの攻撃が当たるようには見えない。何手繰り返しても、当たりはしないだろう。ローズのおっさん形態は愚鈍……という程ではないのだが、明らかに回避性能の向上が見て取れる。素晴らしい恩恵だ。猫の杖、侮り難し。
「だが千日手だぞ、それでは」
とりあえずスキルは使えるようだ。すげー猫だな。
充分戦力になる。だがこの出力では相手が悪いようだ。そして、元より相手を選ぶ事など出来ないのが戦いだ。
再び氷柱が飛ぶ。アンデッド種でなければ、冷却ダメージから筋力をダウンさせたり、凍結スタンによる行動阻害も出来るスキルなのだが……それだけでなく、火力が若干落ちている、のか?致命的な程に明確ではないが。
ローズの攻撃の繋ぎ目に、ダグは援護攻撃を開始する。
「エレメンタルよ、迷える亡者に光の導きを」
パァァァ!輝きがドラゴンゾンビAを照らすと、その腐った体はでろでろと溶け落ちてゆく。
「ローズ。止めを」
「ブミャーーオォ」
幾つもの大きな氷柱がドラゴンゾンビに突き刺さる。やがてドラゴンゾンビは氷像となり、パリンと砕け散った。
「戦えるには戦えるようだな?あの俊敏な回避性能には驚いたぜ、猫ローズよ」
「ブミャ……!?」
ぼふん。
「あ!戻れたぁー!!まったくダグさんよぉ!いきなり猫にしないで下さいよ!?ああ怖かった。猫から見た人間とドラゴンゾンビ、あんなにデカいんだなぁ!」
「計測の結果、約20分猫でいられるようだ。戦闘で魔力を消費しなければもっと持続できそうなもんだな。だが、この地で戦闘を避けるのは不可能に近いか。猫の杖、意外と使い所が少し難しいかも知れん」
「聞いちゃいねぇー!」
ともかく勝利だ。猫形態での古城攻略、一考の価値あり。強力無比にて死闘必至な六魔将との戦いを避けたり、或いは不意を突けたりするかも知れん。温存、奇襲、どちらも大きすぎるリターンだ。危険を冒す価値は十分ある。




