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公爵閣下の「愛するつもりはない。おれの息子の母でいろ」から始まる契約結婚~継母となる条件で嫁いだ相手は、元推しです~  作者: ぽんた


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まずはコミュニケーション

 クラークは、ブラッドにまったく関心がないというわけではない。


 クラークには、父性愛が足りないのかもしれない。そうではなく、彼はいまだに自分のことだけで精一杯なのかもしれない。クラークは、いまだに自分は悲劇のただなかにあるのだと嘆き悲しんでいるのかもしれない。だからこそ、息子であるブラッドの心情にまで気がまわらないのかもしれない。


 とはいえ、クラークはブラッドとわたしのことをつねに見守っている。


 おそらく、彼はわたしが彼の望む「母親役」をちゃんとこなしているのかを見張っているのだ。


 クラークは関心や興味がないふりをしているわりには、毎食時にはちゃんといっしょにテーブルについている。それ以外のときには、わたしたちの様子をさりげなく、あるいはこっそりうかがっている。


 というわけで、クラークはブラッドのことがまったく関心や興味がないわけではない。クラーク本人の主張通り、ブラッドをどう扱っていいのかわからないのだ。それから、彼自身いっぱいいっぱいでブラッドのことをわかろうとする努力が出来ないでいるのだ。


(それなら、わたしはどうすればいいの?)


 ならば、わたしがわからせればいいのではないかしら? わたしがそのきっかけを作ればいいのよ。


 クラークの父性愛をひきだし、全開にすればいい。


 そうすれば、彼は自分の手元から息子を離すことが出来なくなる。


 結果、王都の学校に進学させることを延期するに違いない。


 という考えにいたった。


 それが正解かどうかはわからない。


 だけど、やってみる価値は充分ある。


 まずは、クラークとブラッドを一般的な親子にする。


 そうすれば、あとは情が湧きまくってふたりは本物の親子になれる。


 そのはずである。


 クラークだけではない。父親にたいして遠慮の塊であるブラッドも、父親を尊敬し、慕いまくるはず。そうなったらこちらのもの。たとえクラークが「王都の学校に行け」と命じたところで、ブラッドが涙ながらに「行きたくない。父上の側にいたい」と全力でワガママを言うかもしれない。ブラッドが本気で抵抗したり逆らったりすれば、クラークだって折れるかもしれない。


 というわけで、さっそく「くっつけ作戦」を開始した。


 三人で会話をする、ということから始めた。


 これまでは、わたしがブラッドに話を振り、ふたりでボソボソと短い会話、あるいは超短い会話をしていた。


 そうではなく、わたしがブラッドとクラークに話を振り、三人で短い会話、あるいは超短い会話をするように心がけた。


 最初は、めちゃくちゃ不自然だった。というか、ぎこちなさが半端なかった。これなら、まったく見知らぬ人との方がよほどスムーズに会話が出来るというほど変だった。


 食事のときから始めたけれど、クラークを散歩や読書などのアクティビティに誘ってそちらでもコミュニケーションを取るようにした。


 訂正。クラークを無理矢理参加させ、超無理矢理コミュニケーションを取った。


 わたしの類まれなる努力と忍耐力とコミュニケーション能力とで、季節がかわる頃には超ぎこちなかったコミュニケーションがぎこちない程度になってきた。


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