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ゾンビ化した君と夜の世界を廻る  作者: 中川謳歌
第1章

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ねずみの男誕生

日没前に旧王家の墓に着いた。出入り口には相変わらず警備員が立って辺りを警戒している。きっと警備員と出くわすと、女性一人の私に帰るように促されそうで森の茂みに隠れている。


日が暮れ、リンドさんと待ち合わせ場所まで、警備員に見つからないようにどうすればいいのかわからず、ずっとしゃがみ込みながら考える。


「待たせたな!」


「◯☓△……!!」 


急な背後からの声に思わず大声が出そうになった。


「リンドさん来てくれたんですね。まさかここに来るとは思わなかったので、びっくりしましたよ」


「ああ、悪かった!ミーナが見えたからね」


「森のもう少し奥に開けたところがあるから、そこで話をしよう」


杖に光を灯したリンドさんの後についていくと、森の中にポツンと開けた場所に出た。すぐそこに大きな岩があったので、腰をかけ荷物を置く。


「買い出しありがとう。早速、購入したものを見せてくれないか?」


マジックバッグから購入したものとリンドさんのお金が入った袋を取り出し置いた。


「えっ?これは」


ねずみの被り物を指差して戸惑うリンドさん。誰でもびっくりするよね。


「これはねずみの被り物です。隣町が来月、仮装のお祭りがあるので仮面が品薄で。被る勇気がいると思いますが、しばらくこれで我慢してください」


「わ…わかった」


リードさんは渋い顔して頷いた。


「こんな可愛いねずみ…。俺が着けたら似合わないんじゃ…」


リンドさんはねずみの被り物を見つめ、ぼそぼそ呟いている。


「古代のお金ですが、ギルドで1枚あたり金貨1枚と銀貨30枚で買い取ってもらいました。予想より多い金額だったので、色々と良い物が買えました。被り物以外は」


ずっしりと重たくなったお金の袋をリンドさんに渡して、町で購入した商品について説明していく。リンドさんは気に入ったのか、魔法のローブを手に取り眺めていた。かなり高い金額の買い物で内心ドキドキしたが大丈夫だったみたい。


「ここに長居するのも良くないので、ここで包帯を巻きますか?」


「ああ、そうだな。頼む」


リンドさんに上半身の服を脱いでもらって、包帯を巻きつけていく。本人はゾンビ化?だからか痛くないみたいだが、皮膚が変色して爛れているので一応巻いておく。業炎の闘士に入る前は教会で働いており、包帯を巻くのはお手の物。上半身の他にも顔、腕、手足も巻いていく。


「包帯を巻き終えましたが、きつくないですか?」


「大丈夫だ」


リンドさんは服の上から魔法のロープを羽織り、ねずみの被り物をかぶった。


「どうだ?やっぱりおかしいか?」


「……………ぶっ」


笑いをこらえていたが、吹き出してしまった。ねずみの被り物は小さい人が被ると似合うと思うが、背が高く体格が良いリンドさんが被ると不自然。男らしいリンドさんに可愛いねずみの被り物のギャップ笑ってしまった。


「今、笑ったな?」


「変なくしゃみが出てしまいました」


私達はルンポートとの町に向け、魔物を倒しながら歩く。事前にリンドさんの部屋も予約を取ったので数日はルンポートの町で過ごす予定だ。

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