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戦士の受難  作者: とんぼ。
第3章 ディランド侵攻編

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「休日の過ごし方」

 「よし。それじゃあまずは生地作りだな。クロかレアン、これを混ぜておいてくれ。」


 クッキーを作るため、セイジ達3人はやや手狭なキッチンに立つ。ケイヤも居たのだが、男4人はむさ苦しいと言って居間に戻ってしまった。 


 クロとレアンは不慣れながらも、2人でクッキーの生地を作っていた。セイジはその隙に、溜まった洗い物を片付ける。


 「……ねぇレアン。このままでも美味しそうじゃない…?ちょっと食べてもいいかな…」

 「止めないけど、腹壊しても知らないよ。」

 ちょびっと生地を試食しつつ、2人は順調に生地を作った。終わるのを見計らって、セイジは指示を出す。


 「混ぜ終えたら生地を寝かせておいてくれ。」

 「分かった!あっ、でも僕の部屋シングルベッドなんだよね…」

 

 何やら勘違いをしているクロは、悩ましげに言う。隣に居るレアンは少し考えた後、さらりと提言した。

 「うーん。君がソファを使えばいいんじゃないの?」

 「確かに!そうしよう!」


 「待て。寝かせるっていうのは文字通り睡眠を取らせる訳じゃないぞ。」

 このままほうっておくと、クロのベッドに生地が横たわりそうなので、セイジは手を拭きながら注意した。


 「そ、そうだよね!まぁ俺は知ってたけど!」

 「えっ!?」

 見栄を張るレアンに、クロは驚く。同じく料理経験の薄い同士と思っていたのに、裏切られた気分だ。


 お料理知らずの2人を置いて、セイジはケイヤの様子を見に行く。居間で休んでいたケイヤは何処かへ出掛けるらしく、用意をしていた。


 「ケイヤ、出掛けるのか?」

 「おう。七林の様子見に行く。」

 

 「そうか。気をつけてな。」

 彼自身の故郷、七林では以前から不審な人間が目撃されている。それを心配してのことだろう。


 セイジは引き留めず、気をつけるよう言って騒がしいキッチンへ戻る。

 「……お前達は何してるんだ…?」


 「子守唄歌ってるんだ。でも、レアン音痴でさ。」

 「どんぐりの背比べでしょ!?俺も酷いけど君も中々だからね!」

 話を聞いていなかったのか、2人は未だ生地を眠らせようと子守唄を聞かせていた。しかも、歌としては下の下。

 こんなものを聞く生地が可哀想だ。


 「とりあえず静かにしてやれ。生地が泣いてる。」

 突っ込むのを諦めたかセイジは、2人へそういうのだった。


―――――――――――――――――――――――

 「どうです、ホーリーさん。この人形可愛いですよね?」

 「本当ですにゃ!にしても、ここは沢山人形が売ってますにゃ…」

 ホーリーの言う通り、一つの店だけでなく、数々の店に人形が並べられている。

 多種多様な人形は住民でない人からすると新鮮なものであった。


 「ここは人形が有名ですからね。人形師も居ますよ。」

 「へ〜。」

 オススメと言いたげに、ハクエは人形をホーリーへと差し出す。それは着せ替えが出来るらしく、可愛らしい服からパンクな服まで店に置いてあった。


 着せ替え人形を受け取ったホーリーは不思議そうに言ってみる。

 「……にゃんだか意外ですにゃ。ハクエちゃんは人形とか、無駄なものだから買わにゃいって言う人かと思ってましたにゃ。」

「あははっ。確かに、有用ではないかもしれませんね。でも、損得だけを考えて生きていたら疲れてしまいますよ。」


 はにかみながらそう答えた彼女は、完全オフモードといった具合。確かに、ハクエの言う通りいつも気を張って生きるのは疲れてしまう。

 ホーリーはそのことに気づいて、体の力を抜く。彼女の生まれ育った場所では、こんなこと言語両断だ。何かしら気を配っていなければいけない。


 それでも、今は、この瞬間は、ハクエと一緒に楽しみたかった。


 「ハクエちゃん、今日は誘ってくれてありがとうございますにゃ。」

 

 2人で買った着せ替え人形を手にして、礼を言う。隣を歩く彼女は優しい笑顔で返す。


 「いえいえ。こうして遊ぶのも人間、大切ですから。また遊びましょうね。」

 「はい!」


 こうして2人の休日は緩やかに終えるのだった。

 

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