「匂い。ーー呼び声。
数時間前ー。山上の家ー。
「・・・・・・」
須藤と、ライメイ、ローンがそれぞれソファに座っていた。ライメイは目を瞑り、腕を組んで精神を統一しているように見えた。ローンはソファに横になり、スマートフォンを見ていた。沈黙の空気の中時計の音とローンのスマートフォンの画面をタップする音が響く。
(・・・・き、気まずい。)
須藤が背筋をピシッと伸ばす。
(お二人とも落ち着いてらしっしゃいますね。)
須藤が視線をローンとライメイに向ける。
(それにしても、私が残ってもよかったのでしょうか・・・もし、この場でライメイ様が暴れたら・・・?・・・・ローン様が助けてくださいます・・・よね?・・・もしかして、いえ、もしかしなくても、私結構やばいですかね?)
須藤がコップの水を一気に飲み干す。
須藤が水を飲み干し、コップを机に置こうとした時。
「ピリリリ!!!」
けたたましい音が静寂の空気をやぶる。
「んな?なんの音だ?」
ガバッとローンが飛び起きる。
「わ!えーっと・・・」
須藤が慌てて胸ポケットからスマートフォンを取り出した。須藤がスマートフォンの電話相手を確認する。
「っ!!先輩からです。」
「なにかあったのであろうな。」
ライメイが目を開けて、視線を須藤に向ける。須藤が頷く。
「・・・それでは、でますね。」
須藤が深呼吸をして、電話に、出た。
「はい。もしもし。お疲れ様です。須藤です。 ・・・はい。はい。 はい。」
ローンとライメイが須藤を見つめる。
「え!!!はい。わかりました。すぐに向かいます。」
「ローンさん!ライメイさん!!今すぐでましょう!!」
須藤が立ち上がり、ローンとライメイに声をかけた。
「とりあえず。落ち着け。まず何があったか説明をしてくれ。」
ローンが須藤に声をかける。
「あっ。あぁ。そうでしたね。えーっと。街で盾を持った女性のような人物が暴れていると報告がはいったとのことです。」
須藤がローンとライメイに説明をした。
「それじゃぁ!むかわねぇと!!」
ローンとライメイがソファから立ち上がり玄関にはしっていった。
「あっ。ちょっとお二人とも待ってください!!」
慌てて須藤も2人の後を追う。
「盾を持った女性ってことは、」
「・・・あまり考えたくないが、アイツであろうな。」
2人が通路を走り玄関の扉を開けて立ち止まった。
「っ!!こいつらは!!!」
「はぁ。はぁ。やっと追いついたぁ!」
須藤が玄関のドアに手をかけた瞬間。
「須藤!!扉をあけるんじゃねぇ!!!」
ローンの叫びが須藤の耳に届いた。
「ふぇ??」
須藤がドアノブから手を離し数歩後ろに下がる。
「な、なにがあったんですか?」
須藤がドアの向こう側にいる2人に向かって叫ぶ。
「あの少年の黒き獣達がこの建物一体を囲っておる。」
ライメイの声がかすかに聞こえた。
「え?獣?」
須藤がドアに耳を当てる。
「グルル。」「ぎゃう!!」「ちっ!」「痺れろ!!」
外の世界に集中すると、ローンとライメイが何かと戦っているのがわかった。
「俺らがいいっていうまで、でてくるんじゃねえぞ!!」
ローンが再び大声で須藤に向かって叫ぶ。
「コンコン。」とドアをノックして須藤が答える。
山上の家ー。外
「ばう!」「ギャウ!」「ガルル。!、」
「ち!!」「ぬぅ!!」
ローンとライメイは犬のような形をした黒い影に覆われた物と対人していた。
「はぁ!ハァ!!ハァ。」
「ふぅー!ふぅー。」
かれこれ1時間程戦闘を繰り返したいただろう。
「どーなってやがる。倒しても倒してもどんどん湧いてきやがる。」
「ローン。いくらお前でも体力の消耗が激し過ぎる。」
ローンとライメイは肩で息をしていた。
「これだけ、ハァ、ハァ、すぐハァ、わくとういことは、ハァ、ハァ、ハァ。・・・大分近くにあのハァ、少年がいるということだろうな。」
ライメイが言葉に詰まりながら話す。
「ハァ、ハァ、ハァ。近くにって言われても、ハァ、ハァ、さっきから辺りを見渡してるが、ハァハァ、どこにもみあたらねぇぞ。」
コインを持つ腕で汗を拭いながらライメイに答える。
「お二人とも大丈夫ですか?」
ドアの向こう側にいる須藤が呼びかける。
「ハァハァ。・・・心配するんじゃねぇ。それよりも、山上に連絡しとけ!」
ローンがドアに向かい叫ぶ。
「それが、連絡したいのは山々なのですが、なぜか先程から電波が繋がらないのです。」
「電波がつながらない?」
ローンが考え込む。
「ぼーっとするでない。この場では危ないぞ!!」
ローンに攻撃してこようとした獣を倒し声を上げる。
「・・・電波。上。」
ローンが山上の家を見上げる。
「ライメイ。一か八かの賭けになるんだが、俺をその棍棒を使って屋上までぶっ飛ばしてくれねぇか?」
「なにか策でもあるのか?」
ローンが頷く。
「ローン?」
コインが不安そうな声を漏らす。
「今は一刻も早くこの場から出ていくのが先だ。お主を信じよう。」
ライメイがローンの目を見て頷く。
「ヌゥーー!ハァーー!!!」
ライメイが自分の周りに電撃を発生させ辺り一面の黒い獣のような物を一掃した。
「来い!」
ライメイの合図に合わせるようにローンがライメイの元に走る。ライメイの周りでは、黒い影の様な獣がユラユラのゆらめきながら姿を出現させようとしていた。
「頼む。ライメイ!!」
ローンがライメイの棍棒に足を乗せた。
「ぬぅおーー!!どっせぇーーーーい!!」
ライメイが棍棒を思いっきり上空に振り上げた。ローンが空高く舞い上がった。
(俺の予想が合っていれば、屋上に)
「居た!!!」
ローンが山上の家の屋上まで飛び上がった。ローンの視線の先は、屋上に座っている少年の姿を捉えた。空中で前に回転しながら屋上に着地した。
山上の家ー。屋上。
少年がローンに視線を合わせて、ゆっくりと立ち上がる。その手にはしっかりと黒い旗が握られていた。
「懐かしきー。香り・・・どこ旗となく。いつの時ー。匂い?・・・香り?・・・記憶?」
少年が頭を抑えながら呟く。
(・・・なんかいつもより、黒いオーラ?影に覆われているような。・・・姿がはっきりと見えねぇ。)
「ローン。耳を傾けるんじゃないよ。」
「わかってる。」
コインの忠告に答える。




