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非日常世界へようこそ  作者: 紫音
第三閉
46/50

「雷に導かれて」

警察署ー。

「失礼します!所長!!頼まれていた資料お持ちいたしました。」

1人の若い警察官が、所長室に入ってきた。

「ドン!」と大きな音を立てて、山上の机の上に資料の山が置かれる。

「ありがとう。重かったでしょう。声をかけてくれれば、私も手伝ったのに・・・」

山上がイスから立ち上がり、礼をする。

「・・・それにしても、街の郊外、外れにあるビルや建物の情報が知りたいなんて・・・なぜですか?」

若い警察官が資料の山を見て、山上に目線を合わせる。

「・・・そうね。・・・」

山上が考え込む。

「・・・もしものことを聞くのだけど・・・」

山上が一息ついて口を開く。

「もしものこと?」

若い警察官が首をかしげる。

「・・・もし、貴方が誰にも言えないような犯罪を犯してしまった時・・・。貴方ならどこに逃げて、どんな場所に隠れる?」

山上が若い警察官の目を見て、質問をした。

「・・・・・」

「・・・・・」

所長室に重い空気が漂う。

「所長!!」

若い警察官が大きな声を出す。

「ひゃ、ひゃい!!」

山上の手を若い警察官が握る。

「本当に大丈夫ですか?・・・ここ最近所長室にこもりっぱなしですもんね。体調の方がすぐれないのでしょうか?・・・何か元気になるような、食べ物とか買ってきますのでなんでももオレに言ってください!!」

若い警察官が早口で捲り立てる。

(・・・私、そんなに思い詰めてるように感じたかしら・・・?こんな若い子に心配されるなんて・・・私もいよいよ・・・。)

山上の頭の中のでさまざまな考えが浮かぶ。

「・・・大丈夫よ。みんなにも色々と、心配をかけたわね。」

山上が一息ついて話した。

「何か、協力できることありましたら・・・頼ってくださいね。」

若い警察官が山上の手を離して力強くうなずく。

「えぇ。頼りにしているわね。」

山上が微笑んだ。

「そうです。所長はいつだって、笑っている時が1番素敵ですからね。」

「え?」

若い警察官のまっすぐな思いに、山上の頬が少し赤くなる。

「・・・って、申し訳ありません。こんなことを言ってしまいまして・・・。」

若い警察官が頬をかく。

「たらしは、程々にね。」

山上が釘を刺す。

「・・・話は、変わりますけど、先程の話にも出しますね。」

若い警察官の表情が変化した。

「・・・もし、オレが犯罪を犯して指名手配されるようになったら。・・・オレだったらまず顔と名前を変えますね。名前は、偽名に顔は少し勇気入りますけど、自分で弄りますが・・・。その後に、今現在の有り金を全部おろして、誰も知り合いや親族がいない土地に逃げます。んで、そこでバイトをしたりしてとにかくお金を稼いで海外に逃げますかね。オレだったら・・・ですけど。」

(海外ねぇ。)

「知らない土地で働くって言っても住まいとからどうするの?」

「んー。住まいっすかー。空き家に入ったり、街の外にあるビルとか、もしくは、寮付きの仕事に就くのもいいかもしれないですね。」

「・・・なるほどね。貴重な意見をありがとう。」

山上と若い警察官が話す。山上が若い警察官にお礼を言った。

「いえいえ。・・・って何の話ですか?」

(・・・まぁ。そうなるわよね。普通ーー。)

「いえ。何でもないわ、特に気にしないで。」

山上が首を振り答えた。若い警察官が首をかしげる。

「・・・そうですか。・・・では、オレはこれで失礼します。」

若い警察官が敬礼をして、所長室から退出しようとしている時ー。

「ねぇ。最後にひとつだけ。」

山上が若い警察官を呼び止めた。

「はい?何でしょうか?」

若い警察官が扉のとってから手を離して、山上に向き直った。

「もし、もしも、明日この世界が滅ぶとしたら・・・貴方は何をする?」

山上が言葉を詰まらなせながら問う。

「所長、本当にどつしちゃったんですか?」

若い警察官が山上を心配する。

「・・・んでも、想像できませんね。特別なことは特に何もしないで、フツーに生活をしている。・・・ただそれだけじゃないですかね。」

若い警察官が答えた。

「そう。」

山上が深く考え込む。

「ごめんなさいね。引き止めて悪かったわね。」

山上が顔を上げて、若い警察官を見送る。

「はい、それでは・・・」

若い警察官が再び敬礼をして、所長室を今度こそ退出していった。

「・何事もなく、普通に生活するね。・・・それがどれだけ、幸せなことか。」

山上が窓の外をみて、呟く。


「・・・さてと、始めますか。」

山上がコーヒーを入れて、イスに腰掛け資料の山に手をつけ始めた。

(・・・・・)

パラパラと資料をめくる音が静かな室内に響く。

(・・・この2件。こんな建物あったかしら?)

山上の手が2枚の資料で止まった。1枚は、廃ビルの写真。もう1枚は、大きな豪邸の写真が載っていた。

(廃ビル。確かあいつらが何度も使っては、自分達で破壊している建物よね・・・。アリスさんたちもビルであいつらと戦ったっていってたっけ?・・・それて、もうひとつが豪邸?こんな豪邸、見たことない。最近できたのかしら?写真を見てもほぼ真っ暗・・・これじゃぁ何もわからない。)

山上が色々と考察をしていた。

「・・・・・」

山上がパソコンを立ち上げ、資料に記載されている住所を検索した。

「・・・住所自体は存在しているのね。だけど、この建物両方とも見覚えがなさすぎる。」

資料に記載されていた、建物は2つとも存在はしていた。だが、山上はその建物を見覚えがなかった。山上が考え込む。

「・・・危険なことになるかもしれないけど、ライメイがいるかもしれないと考えれば、向かってもらわないといけないわね。・・・それに、今はライメイを助けることが先になるわよね。」

山上がスマホを、操作して須藤に2つの住所のリンクを送信した。

「さて、私も急いで向かわなくちゃ。」

スマホをポケットにしまい、山上がイスから立ち上がり所長室を出ようとしていた。所長室の扉に手をかけ「ガチャ」とドアを開くと。

「ドーモ。」

扉の前に1人の黒髪が床までつきそうなほど長く、黒のワンピークを着用していた少女が手を振りながら立っていた。

「・・・っ!!」

山上が言葉を詰まらせる。

「アハハっ!・・・やっぱりおねぇーさん。察しがイイネェー。キモチイイヨォー!!」

少女がニヤリと手を叩いて笑う。目尻には涙が出ていた。

「・・・・・」

山上が視線を少女の後ろに向ける。山上の視線の先には、何人かの警察官が眠るように倒れていた。

「・・・あれは、アナタがやったの?」

山上が少女の目を真っ直ぐみる。

「だとしたら、どうする?」

少女な挑発するように嘲笑う。

「ゾック!」と山上の全身に鳥肌が立った。

(この子は・・・どう考えても、あっち側よね。・・・ここで、いざこざでも起こったら・・・私は。)

山上が考え込む。

「おねぇーさん?どうしたの顔色悪いよ。」

少女が山上の顔を覗き込む。

(・・・どなたのせいかしら?)

「・・・まぁ。いいわ。・・・入りなさい。」

山上が少女を所長室に招き入れた。

「アハハっ!本当におねぇーさんは、リコウだね。」

少女が所長室に入って行った。よくみると少女は裸足だった。



須藤は、アリス、ローン、梨杏、紫電、シールズを乗せて山道を走っていた。ニカルはシャープペンシルの状態でアリスの服の胸ポケットに魔人はコインになり、ローンのズボンのポケットに、魔女は、トランプにな。、梨杏の手元に置かれていた。

「目的地はどこなんだ?」

紫電が運転をしている須藤に聞いた。

「先輩から送られてきた住所は2カ所あります。どちらも、私たちが住んでいる街からかなり離れた場所にありますね。1つは、廃ビル。前に大手の会社がビルを丸ごと使っていたそうですが、不景気により倒産してしまったそうです。その後立地などの条件もありまして、買い手がつかなかったそうです。それで、廃れたとのことです。そして、もう一つは大きな豪邸のような建物ですね。ある一家の住まいとして利用されているみたいですね。先輩から送られてきた資料によると、住まいではあるみたいなのですがここ2、3年住人の出入りがほとんどなく売りに出されているのではないかという噂がある建物ですね。」

須藤が山上から送られてきていた建物の説明をした。

「廃ビル。そして、謎の豪邸か・・・」

「確率とひては、ビルの方がありそうね。」

須藤の話を聞いて、ニカルと魔女がそれぞれ口を開く。

「ビル・・・。」

アリスが考え込む。

「巻き込まれて散々な目に遭わされてるから、私たちにとっては、あまりいい思い出がないわね。」

梨杏が顔を歪ませる。

「謎の豪邸っていうけど、ほかになにか情報はないんですか?」

「・・・そうですね。先輩からのメールの写真には、全てが真っ黒な闇に包まれていて、かろつじて外壁かな?それぐらいですね。わかることといえば・・・」

「どちらも怪しいテンは多いということか。」

「・・・とりあえず、廃ビルの方に向かっておりますが・・・こちらでよろしいですかね。」

須藤が目線をミラーに向けて、後部座席を見た。

「2カ所あるなら、どちらかは当たりだと思うがな。」

「今向かおうとしている廃ビルに行け。」

紫電が重い口を開いた。

「・・・その理由は?」

魔女が紫電に聞いた。

「わずかながらに感じるんだよ。あの不気味な雷野郎の雷をな・・・。」

紫電の全身が震えているように見えた。

「貴方。本当に、ライメイの気?雷を感じ取ることがでにるのね。」

魔女が、関心する。

「・・・あのビルにライメイさんが・・・」

シールズが手に力を込める。

「にわかには、信じられませんが・・・わかりました。それでは、廃ビルに向かいますね。多分あと30分から40分ほどで、目的地に着くと思いますので。」

須藤がアクセルに足をかけた。



車内に重い空気が流れる。30分ほど走っただろうか。

「皆さん!!何かに捕まって!!!」

須藤な叫ぶと同時に「キキィー!!」と急ブレーキがかかった。

「キァア!!」

「何事ダァ?」

「なになになに?」

アリス達後部座席に座っていた皆が前に体重がかかった。

「す、すみません。皆さま大丈夫でしょうか?」

須藤がサイドブレーキをかけ、ギアをパーキングに入れてから身体ごと後ろを向いた。

「皆さま、怪我はありませんか?」

須藤が確認する。

「何があった?」

ニカルが聞いた。

「それは、あれを見てください。」

須藤が身体を前に向け前方を指を差した。アリス達がシートベルトを外し、車内の前方に移動した。

「!!アイツらは・・・」

「どうやら、本当に当たりのようだな。」

魔人が声を出す。須藤の指差す方向には、黒い影のようなものに包まれた獣のような形をしたバケモノが車のライトによって照らされていた。

「・・・これは・・・」

「囲まれているな。」

ニカルが口を開く。車の周りでは、獣のうめき声よようなものが静かな夜に響いていた。

「どうしましょう。このままアクセル全開で突っ込みましょうか?目的地の廃ビルはこの先数メートルの距離なので。」

須藤がハンドルに力を込めた。

「・・・いや、やめた方がいいだろう。車が壊れたら帰る手段が無くなる。」

須藤の提案に紫電が首を振る。

「それじゃ・・・」

紫電がニヤリと笑う。

「アンタの思っている通りだと思うぜ、魔女さん。」

「あまりいい案とは、思えないのですが・・・。」

シールズぎおそるおそる口をさす。

「だか・・・ココまできて引くわけにはいかんだろう。」

「ハハッ!!そのシャープペンシルのいう通りだな。覚悟決めねぇと、あの雷野郎も助けられねぇし、この核も壊されるだろうな!!!」

紫電が皆を奮い立たせるようにあおる。

「・・・・・」

車内が一瞬静かになり、アリス達が視線を合わせそれぞれ頷く。

「・・・それじゃ、3、2、1で一斉に飛び出しましょう。」

梨杏の提案に全員が頷く。

「それじゃ。行きます。・・・3、2・・・」

一息ついて、梨杏が号令をかけた。

「まて!飛び出るな!!・・・一旦止まれ!!!」

梨杏よ掛け声で飛び出ようとしていたが、紫電の掛け声で止まった。

「ゴロゴロドッカーーーーーーン!!!」と大きな雷が大量に黒い影のような獣に当たった。数発はクルマの周りに落ちた。雷に当たった獣が唸り声を上げながら姿が消える。

「キャア!!」

「なんだこれ?」

「この雷・・・間違いねぇ。」

紫電が歯を食いしばり、ビルの方面に目を向ける。

「この先に・・・ライメイが。」

紫電が頷く。

「今のうちに降りろ!!」

コインの魔人が声を荒げる。

「前方から、影が複数体急速に接近中!!」

須藤が前方からの敵襲に気付き、アリス達伝える。

「一気に行くぞ!!」

紫電の掛け声と共に、梨杏が車のドアを勢いよく開け、アリス達が飛びりる。

「須藤さん。急いで安全な場所に!!」

梨杏が須藤の方に向き直る。須藤が頷く。

「皆さん。どうかご無事で!!」

「あぁ。」

「えぇ。」

「わかっておる。」

全員が頷く。

「ニカル!!」

「わかっておる!しっかり握っておれ、小娘!!!」

アリスの掛け声とともにニカルがシャープペンシルからレイピアへと姿を変える。

「魔女さん!」

「私から離れないでね。梨杏。」

魔女がトランプから杖の持った人間の姿に変わった。

「オレは、このままでもいいか。」

「姿を変えずとも力は使えるからな。」

ローンがポケットからコインを取り出した。

「・・・・・」

シールズが盾を構えた。

「目標は、あのビルだ!とにかく何が何でも全力で目指せ!!」

「はい!!」

「了解!!」

「わかりました。」

紫電の叫びに頷く。


アリス達がビルを目指して走り始めた。

「ガルル、!」「バウバウ!!」

「ゴロゴロ」暗闇の中赤い目を頼りに倒すしかない影の獣達、そして、時折落ちてくる雷に気をつけながらアリス達は歩みを進めていた。

「くそ!!どんどん湧いてきやがる。」

「キリがないな。」

レイピアでどんどん獣を倒していく。

「燃えよ!」

「グギャオーン」

魔女がトランプを投げ獣をどんどん倒していく。

「ドーーーン。」

「うお!」

ローンの近くに雷が落ちた。

「敵とか味方関係ないのね・・・。」

「今のあやつにそんなことがわかるわけなかろう・・・。」

「・・・・・」

「無駄口叩いてる場合じゃねぇぞ!!!」

「わかってる!!」

暗闇の中それぞれの声が響く。それぞれが前にも向き直りビルに向かい走り出した。

「ゴロゴロ・・・ドッカーーーーーーン!!」

「紫電さん!」

紫電に雷が直撃する。

「・・・チィ。オレに雷は・・・効かねぇんだよぉ!!!」

「ズバァ!!」と雷を切り裂いた。

「雷を・・・切り裂いたぁ?」

紫電が持っていた、長い剣を使い雷を真っ二つにした。

「え?・・・本当に雷が効かない・・・?」

「真っ二つに、切り裂いた・・・だと。」

魔女とニカルが絶句したように声を漏らす。

「チィ!!・・・正確に狙いやがった・・・か?」

紫電がビルの方面に目を向けた。

「足を止めるないで、ほら!」

梨杏の声に我を取り戻し足を動かし始める。



「ハァ、ハァ、ハァ・・・。やっと着いた。」

30分ぐらい走っただろうか。アリス達は、目的地の廃ビルにたどり着いた。全員が肩で息をしていた。

「ここに、ライメイさんが・・・。」

「あぁ。いるだろうな。嫌な気をめっちゃ感じる。」

(ライメイと何かあったの?)

「・・・にしても、本当に廃ビルねぇ。」

魔女が上を見上げて呟く。外壁は、ボロボロで窓も割れており、窓枠だけになっていた。

「うーん。暗くてよくわからねぇが・・・。あそこの階か?妙に明るいな。」

ローンが指差す方をみると、明るい光っていた。場所的には、ビルの4階か5階当たりだろうか。

「ピカッ!!ゴロゴロ。」

「ここからでも聞こえるわね。」

「明らかに、雷の音だろうな。」

「急ごう!!」

アリス達が、ビルの中に入って行った。

「結構ボロボロですね。」

「場所によっては、少し触っただけで崩れますね。」

ビルの中は、瓦礫まみれになっていた。足場や階段の近くには、ガラスの破片も散らばっていた。

「相当暴れているな。」

アリス達が歩みを進めるなか、建物がわずかながらに揺れる。

「みんな、足元だけじゃなくて全方向気をつけない。」

魔女が辺りを見回しながら話す。外からわかっていたことだが、外壁も穴が空いていたり、階段もところどころ抜けていたりしていた。場所によっては、鉄骨が剥き出しになっているところもあった。

「あまり、触らない方がいいわね。錆びてるわ。」

「ゴロゴロドッカーーーーーーン!!」

「グルル。」「バウバウ!!」「ギャウゥゥ」

「ビリビリ。」「ドン!!」「ドン。」

上の階に行くほど、建物の揺れが大きくなり、それに伴い雷の音とと獣唸り声が大きくなっていた。

「戦っているのだろうな。ライメイと影のような獣が・・・。」

ニカルが呟く。

「・・・あのエポカっていう女性の言葉使いからみて、味方同士なのに、戦う必要ってあるんですか?」

「・・・我に聞くな。答えられん。」

梨杏の問いにニカルが言葉を濁らせる。

「キャァ!!」

梨杏が大きな揺れによりバランスを崩した。

「大丈夫!梨杏。」

魔女が立ちあがろうとする梨杏に手を貸す。

「この上の階であろうな。」

紫電が上を見上げた。

「危ない!!」

紫電がアリス達を突き放した。

「ドォーン!!」と大きな音を立てて上の階が崩れた。瓦礫が散らばり、砂埃が立ち込める。

「ゴホッ、ゴホッ・・・」

アリス達が咳き込む。

「ライメイ!!」

「ライメイさん!!」

「雷野郎!!」

砂埃が晴れ始めると、アリス達がライメイの姿を確認できた。

「ヴっ!!・・・ワレ、ワ!!!ワレをーー!!」

ライメイの全身からは、黒いオーラのようなものが立ち込めて、おり目が血走っていた。


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