<第83話> やるせない・・・そして
「村長さん、本当に申し訳ありませんでした。」
青野は、立ち上がり頭を深く下げて謝っていた。
「青野さん、また突然どうしたというんだ。
さあ、頭を上げなさい。」
青野の突然の謝罪に驚いた村長が言った。
村長の言葉に応えようとして青野は、重い頭を上げた。
その青野の瞳には、涙がにじんでいた。
「本当にすみませんでした・・・。
村長さんの言う通りなんです。
今じゃ遅いんですよ・・・。
凶器が特定された時に、当時の担当刑事が村長さんに詳しく説明をしてくれていれば・・・、それがちゃんと行われてさえいれば・・・。
父と事件の話をしていた時に、僕は『なぜ担当刑事は詳しく説明をしなかったのですか!』と問いただす様に聞いていました。
その答えを父から聞いた時、僕は本当に悔しくて・・・、」
父と話していた時の事を村長に説明しながら、青野はついに言葉に詰まらせてしまった。
村長は、青野のこの様子を見て、
(私の気落ちした様子を見てやるせなくなり涙をにじませ、そして事件当時の刑事に対して言葉を詰まらせてしまうほど憤慨してくれているだなんて・・・。
この青年は、心から私達の事を考えてくれている・・・)
そう強く感じていた。
「青野さん、私達の為に本当にありがとう。
君のお父さんから聞いたその話を、ぜひ私達にも聞かせて欲しい。
・・・大丈夫。ゆっくり、君が話せるようになってからでいい。」
村長は、穏やかな・・・そうまるで我が子の成長を見守る父親のような表情で青野が話すのを促してくれた。




