表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅楼夢  作者: 翡翠
翻案意図(第一回~第十三回)
250/261

第一回

 第一回は紅楼夢こうろうむ案内板あんないばんである。そう考えれば第一回の読みづらさも納得なっとくがいく。

 従来じゅうらい小説しょうせつとの差異さいべるという一点においては「ドン・キホーテ」の序文じょぶん類似るいじしているが、「紅楼夢」のすぐれたところは物語ものがたり構造こうぞうのなかにそれを落としこんだことである。

もっと重要じゅうようなのは「紅楼夢は類型るいけい主要人物しゅようじんぶつえがかない」という点だ。翻案ほんあんにおいては中国の戯作文化げさくぶんか劇文化げきぶんか前提ぜんていをかかないといけないためあえて省略しょうりゃくしたが、簡単かんたんにいえば、「単純たんじゅん善玉ぜんだまは書かない。単純たんじゅん悪玉あくだまも書かない」ということである。

 たとえば本回における甄士隠しんしいん賈雨村かうそん場合ばあいを見てみよう。

一見すると甄士隠がぜんであり、賈雨村はあくのように思える。だが、家をて、英蓮えいれんさがすことを放棄ほうきしたのは正しかったのか、かえって賈雨村の方が英蓮にじょうを向けている描写びょうしゃもある。紅楼夢に通底つうていする「しんしん」という考え方である。


さて、本回は女媧じょかという伝説上でんせつじょう女神めがみから始まる。そこからそう道士どうし登場とうじょうさせ、神瑛侍者しんえいじしゃ絳珠草こうじゅそうへ、そして俗世ぞくせへと抽象ちゅうしょうから具体ぐたいへ、かみからぞくへという構造こうぞううつくしい。

 二点にてんこまかい部分ぶぶんべると、そう道士どうし太虚玄境たいきょげんきょう住人じゅうにんであり、彼らは太虚幻境たいきょげんきょう紅塵うきよをつなぐ役割やくわりをする。太虚玄境たいきょげんきょうの“げん”は黄老思想こうろうしそうのにおいがあり、細部さいぶのこだわりをかんじられる。

 また、神瑛侍者しんえいじしゃ絳珠草こうじゅそう、すなわち宝玉と黛玉が「あたえるもの」と「あたえられるもの」の構造こうぞうになっていることに着目ちゃくもくしていただきたい。だからこそ宝玉はじょうせ、黛玉はなみだかえすのだ。

 なお、これに気づいたのは、十文字短期大学じゅうもんじたんきだいがくの池間里代子氏の「星の王子さま」とのかかわりをしめした紀要きようにインスパイアされたからである。この論文ろんぶんの入った同氏の書籍しょせきは二〇二六年五月に発刊予定はっかんよていだ。ご興味きょうみのある方は参照願さんしょうねがいたい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ