第十三回 6
……あなたのせいではないのよ。私がはっきりしなかったのがいけないの。もっと早く、もっと詳らかにしていれば、これほど悪い方にはいかなかったのかもしれないわ。
大丈夫。咳のことなら心配しないで。……これでもずいぶん良くなったところだから。
いいの。そのままでいて。あなたにだけは聞いていてほしいから。宝珠はいないわね。あの子に聞かせるのは忍びないわ。
あの夜、私はやけに眠くて、あの方が嬸子さまのところに行っているのも忘れて、長い夢を見ていた。どんな夢だかはもう定かでないけれど、その夢を見ていたとき、私はとても嬉しくて、とてもあたたかだったことだけは覚えている。
子の刻は過ぎていたでしょうね。まどろみのなか、私のものとは違うぬくもりを感じたわ。まるで夢の続きを見ているような気分でそのぬくもりを確かめた。それが人であること、しかも私がよく知っている人であることに気づくのに時はかからなかった。
――あの人?
そのまま口づけを、雲雨の情を交わした。
私は嬉しかった。体を合わせたことではなく、ようやくあの人に何かを与えることができたことに。あの人はずっと私に遠慮をされていたから……。
ようやくそれに気づいたときには遅すぎたわ。私はこう思うしかなかった。“また”罪を重ねてしまった、と。
分かっても弁解のしようはなかった。やってしまったことと、言ってしまったことは取り返せないから……。
泣かないでちょうだい。あなたらしくもないわ。どちらにせよ、それほど日数は残されていないのだもの。これで何かが起こっても、それは命のためだから。
あなたにこれを話すことができてよかったわ。これで思い残すことはない。
……そうね、薬湯を持ってきて。それが終わったらすぐに寝るのよ。あなただって、きっと疲れただろうから……。




