表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅楼夢  作者: 翡翠
秦可卿(しんかけい)、天香楼(てんこうろう)にて淫(いん)し喪(うしな)い、 王熙鳳(おうきほう)、寧国府(ねいこくふ)を協(とも)に理(おさ)む。
225/229

第十三回 7

 あのさかいに、秦氏はこんでしまった。ことがことだけに、栄府にはまだらせず、寧府でも知らせるのはかぎられたものだけにして、数日すうじつた。

 瑞珠がからだくずしてしまったため、秦氏のまわりの世話せわは、おもに宝珠がすることとなった。

 賈蓉と尤氏が交互こうご容体ようだいを見にる。めているときには。秦氏は夜着よぎのまま、いかにもすまなそうに応対おうたいするのだった。


 秦氏がしてから三日がつと、父である秦業が栄府の秦氏の上房きょしつおとずれた。

「秦業さま!」

 宝珠はあわてて拝礼はいれいする。

「そんなにかしこまらなくてもよい」

 秦業はうなだれたように言う。それから秦氏の方に目をやり、それがひどくせこけているのを見るや、大声でいた。

「……秦業さま。おかなしみにならずに。きっと奶奶わかおくさまはよくなられます」

 秦業はかぶりはげしくった。

わしだ……。わしわるかったのだ」

 宝珠はそっと秦業の肩に手をく。

「そうではありません。奶奶わかおくさまがおからだわるくされたのは……」

 宝珠は少し言葉ことばまらせたが、やがてけっしたように言った。

先年せんねん奶奶わかおくさま弟君おとうとぎみ義塾ぎじゅくさわぎをこうむられたのです。そのために……」

「ああ……。ああ……」

 宝珠としてはなぐさめの言葉ことばをかけたつもりだったのだが、かんがえてみれば秦業しんぎょうにとっては秦氏も子であり、秦鐘も子である。おやかなしむのは当然とうぜんではないか。

 宝珠はいたが、もうもとにはもどせない。

「おちゃをお入れいたします。しばしおちください」

 宝珠はとなりへやへ向かいながら、ちらりと秦業を見やった。秦業はあるじの手をにぎり、滂沱ぼうだなみだながしている。

「秦業さま……」

 かべへだてて秦業がすすりく声をいていると、こうこえこえてきた。

「そこからでいい。わしの話を聞いてくれないか?」

 きゅうねがいに宝珠が呆然ぼうぜんとしていると、

宝珠きみは聞かない方がいい」

 ささやくような声が頭上ずじょうから聞こえた。寧府の公子こうし、賈蓉がうしろに立っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ