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毎日戦隊エブリンガー ~最強ヒーローの力で異世界を守ります~  作者: ケ・セラ・セラ
第三章「世界を引き裂く蜘蛛」
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09-30 世界の亀裂を塞ぐもの

 果て無き地の底、漆黒の闇の中に「それ」はいた。

 暗闇の中でもはっきりわかる、透き通るような空の青。

 自ら光を放つような、炎の如き赤。

 地上界の人間が見ていればこう叫んだであろう。「青き鎧」と。


 高らかに奏でられるファンファーレ。

 ヒーローは今ここに降臨した。


「・・・」

「・・・・・・」

「おい、クロウ。それでわらわたちはどうすればいいのだ」


 呆然と見上げるスケイルズとソル。

 龍に変じて二人を乗せているアルテナの言葉に二人が我を取り戻す。


「クロウ・・・なのか?」


 青い鎧が頷いた。

 「クロウ」の体格は「ヒョウエ」とほとんど差はない。せいぜい160センチに届くかどうか。

 対して2m近い巨躯の青い鎧。スケイルズの中で二人が繋がらない。

 青い鎧の声がクロウのそれでなければ、もっと混乱していただろう。


「アルテナ、二人を連れて脱出してくれ。フルスピードだ」

「わかった」


 無造作に頷いて羽ばたき始める金竜に、背中の二人が慌てる。


「脱出するって、おい!」

「お前はどうするんだ!」

「言ったでしょう、この地割れを元に戻します。すぐに追いつくのでお早く。

 むしろあなたたちがここにいると、この裂け目を閉じられなくて邪魔なんですよ」


 上を見上げる青い鎧。

 いつの間にか遥か上空に、うっすらと白い線が見えていた。

 それは地上から差し込む光。つまり、それだけ世界のひび割れが広がっていると言うことだ。


「くっ・・・」

「いいな? 行くぞ」


 会話に無頓着なアルテナが、今度こそ羽ばたいて急上昇する。翼で飛行しているはずなのに、その勢いは急降下中のそれにも劣らない。


「クロウーッ! お前もちゃんと脱出しろよーっ!」


 上から響く友人の声に、青い鎧は親指を一本立てて応えた。




(さてと・・・ああああああああ!?)


 頭を切り換えて地割れを閉じようとした瞬間、ある事に気付く。


(あの状況で親指一本立てて別れを告げるって、それ滅茶苦茶フラグじゃないですか!

 どう考えても「アイルビーバック」なそれの!)


 脳裏によぎるのは親指を一本立てて溶鉱炉に沈んでいく筋肉モリモリマッチョマンの変態と、溶鉱炉から突き出す親指を立てた拳の図。


(ええい、縁起でもない!)


 そもそもそんなことを考えていられる場合でもないと、今度こそ頭を切り換える。


(ぬん!)


 両腕を横に伸ばし、手を広げる。

 膨大な魔力があふれ出す。





「おい、これ!」

「この魔力は・・・」


 そのころ、ヒョウエの屋敷の大広間では肉眼ですらわかるほどの強大な魔力が渦巻いていた。

 その中心は魔法陣の中央に横たわり目を閉じるヒョウエ。

 顔をこわばらせるモリィ達に、結跏趺坐をし続けるメルボージャが頷いた。


「使いおったな、小僧」

「じゃあやっぱり・・・」

「いったい何が起きているのでしょうか?」

「さあの。ヤバい状況ってことだけは間違いあるまいて」

「・・・」


 誰からともなく、全員が上を見上げる。


(無事に戻って来いよ、小僧)


 口には出さず、老婆が呟いた。




「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 広げた両手から、左右に強大な魔力が放たれる。

 この魔法的な空間で可視化されたそれは稲妻の束のようで、それが左右二本、一直線に伸びていく。

 数瞬の間を置いて左右の手に伝わる手応え。


(よし)


 拳を握る。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 天地に響く轟音の中、それを圧して青い鎧の咆哮が轟く。

 東西に走る裂け目の北側の壁に右手の念動、南側の壁に左手の念動。

 それを中央から引っ張って裂け目を閉じようとする。


 裂け目の幅は恐らく既に数十キロを超える。

 東西の長さに至ってはいかほどか。

 それだけの大地、巨大な地形をおのれの力で閉じんとする。

 世界を引き裂く天変地異、大陸を揺るがす地殻変動を人の力で防ぎ止めんとする大無謀。


 だがやらねばならない。

 それをやらねば世界が崩れ落ちる。

 落ちる世界も、落ちてこられた世界もただではすまない。

 世界の構造自体が崩れ去り、一切合切が無に帰すことすらないとは言えない。


 不可能と、そう言いきるのはたやすい。

 なるほどそうだろう、伝説のアトラスやヘラクレスではあるまいし、人一人の力で天地を支えられるものではない。


 だが、ここに異を唱えるものがいる。

 やらねばならぬなら、やらなければならぬと吠えるものがいる。

 ほとんどのものはそれを為せずに消えていくだろう。

 あるいは次のものにそれを託して散っていくものも。


 だがまれにはいるのだ。

 それを成し遂げてしまうものが。

 不可能事を不可能でなくしてしまうもの、あり得ないことを実現させてしまうもの。

 そうしたもの達を指して、人はヒーローと呼ぶのだ。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 念動の魔力と、肉体の膂力と。

 その双方で全力を振り絞る。

 広がり続けていた亀裂が、止まった。




 漆黒の闇の中を、黄金の流星が一直線に駆け上がる。

 その背中にしがみついているのは二人の人間。


「くそっ・・・大丈夫なのかよ、クロウのやつ!」

「これまでに奴のデタラメなところは何度も見てきたが、流石に今回は・・・」

『|■■■■■■■■■■■《黙っていろ。集中しているんだ》』

「・・・」

「ごめん」


 僅かに苦しそうなアルテナの声に二人が黙り込む。

 普段無感情なこの娘が見せる、滅多にない発露だ。


『|■■■■■■■■■■■■■《だがあやつの言葉は嘘ではない》 |■■■■■■■■■■■■■■《僅かずつだが亀裂が狭まってきている》 ■■■(急がねば)

「マジっ!?」

『(怒)』


 思わず大声を上げてしまったスケイルズは、尻尾で頭をはたかれた。




 暗闇の中をどれだけ駆け上がったろうか。

 行く手の白い裂け目の中に空が見えたかと思うと、アルテナ達は地表に飛び出していた。

 黒い蜘蛛の怪人アノソクレスの張っていた結界は解け、真っ二つに引き裂かれた神々の峰が無惨ながらも白く美しい姿を取り戻している。

 世界を惑わせていた結界も今はなく、島中から真っ二つになったルレク・セレースを見上げて驚愕と畏怖の声が漏れているだろう。

 だが、突入時に数キロ以上はあったその裂け目も今は1kmあるかないか。

 しかも目に見えて更に狭まりつつある。


「何と言うデタラメな・・・」


 呆然と呟くソルを振り返り、スケイルズが叫んだ。


「いやそうじゃねえだろ! 裂け目が閉じたらあいつどうやって出てくるんだ!?」

「あっ・・・」


 顔を青くするソル。

 だがソルもスケイルズも、もちろんアルテナにも何か出来ることはない。見る見るうちに裂け目は狭まり、ついには閉じた。

 どういう事なのか、真っ二つに裂けていた白い神峰も傷痕一つ無く元に戻っている。


「・・・クロウ」


 スケイルズがそう呟いた時、頭の上から誰かが落ちてきた。


「うぉわ・・・クロウ!?」

「騒がないで下さいよ、疲れてるんですから・・・」


 ぐったりとするクロウはアノソクレスとの戦いで負った傷はあるものの、それ以外に目だった負傷はない。


「うわ! うわははははは! クロウ! クロウ! クロウ!」


 スケイルズがクロウに抱きつきかいぐり回す。

 クロウの迷惑そうな顔など気にも止めていない。


「だからやめてって・・・」

「こらスケイルズ、暴れるな!」

「うははは! うははははははははは!」

『うるさいぞ貴様ら! 振り落としてやろうか!』


 怒りに震えるアルテナの声が青空と霊峰に響き渡った。

今回書き終わってから気付いたこと。

「伝説の勇者ダ・ガーンだこれ!?」



>筋肉モリモリマッチョマンの変態

むろんカリフォルニア州知事もやったあの人。

そしてエクスペンダブルズ4配給決定!やったぜ。

回復してるみたいだしジェット・リーも顔だけ出してくれないかなあ。

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