商人は破格の待遇を受ける
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翌日、再び勇者と勇者の剣に選ばれた者たちが一堂に会した。
「なぁ。アルフリート、2人そろって消えたらしいじゃないか。あの後どうなったんだよ」
「想像に任せる」
「わ――――!!何言ってるんですかアルフリートさま!なにも!何もなかったです!」
ストレートに聞いてくるバルトルトに、他意はないのだろうが、アルフリートが誤解を受けるような言い方をしている。
(そう、何もなかったの。ん……なにも?アルフリートさまと口づけ……)
そんなことを考えているうちに、リディアーヌは頬がだんだん熱くなってきた気がした。
(このままじゃ誤解される!)
その様子を、ニヤリと笑いながら眺めていた勇者が口を開いた。
「ところで、空席の序列四位が昨日決まった」
「ほ。めでたいことです。さあ、まあわかり切っていますがどなたなのですか」
先を促すギルマンと勇者シンジが目を合わせて頷いている。特に表情を変えないアルフリートとギュンターも、わかっているようだ。後ろに控えているエリーゼも、だまったまま無表情でいる。
(……わかってないのは私とバルトルトさまの2人だけ?)
「うん。勇者の剣序列四位はバルトルト。よろしく頼むよ」
「………………は?」
「勇者の剣序列四位はバルトルト。よろしく頼むよ」
「またしても二度言われた?!……え?え?何言っちゃってるんですか?!勇者様?!」
助けを求めるように後ろを振り向いたバルトルトは、アルフリートも、ギルマンも、ギュンターも当然のようにうなずいているのを見て絶望を絵にかいたような表情をした。
「はは?何言ってるんですか。本当に。僕にそんなの務まるわけないですよね。一般人ですよ?」
「んん?だって、キサラギ領とのつながりを作らないと勘当されたままなんだよね?」
「それはそうですが……。はっ!いけない、いや間違いなくこの人選はおかしいですって!」
魔王のような笑顔のままの勇者は椅子に座ったまま足を組みなおして円卓に肘をついた。
「君みたいな人間は、能力があるのにめったに表舞台に出てこないんだよ。それだけ得難い存在だって事、俺は知っている。君が認める認めないに関わらずね。とりあえず三匹の魔石の魔獣をほぼ倒した手柄ということで」
「えっ。報奨なのに拒否権なしな感じですか……」
再び助けを求めて振り返ったバルトルトだが、そこで今まで黙っていたエリーゼが口を開いた。
「正当な報酬です。受け取りなさい、バル」
その一言でバルトルトの人生の分岐点は完全に決まった。決まってしまった。
「ささ、序列四位殿。書類が山積みになっております。ともに戦おうではありませんか」
バルトルトは引きずられるようにギルマンに連行されていった。
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「ん?リディアーヌ?序列四位にバルトルトを選んだのがそんなに不思議だった?」
「ええ……。だって勇者の剣の序列って強さで決まるのではないのですか?」
「バルトルトは強いよ。たしかに一対一であれば、一般人以下の戦力かもしれないが。彼には魔道銃がある。そして武器の知識もだれよりも。そしてレ-ヴェレンツ家の広大な情報網。彼は幾千万の敵を相手にできる強さを持っているのさ」
そういわれると納得せざるを得ない。彼は一人の個人としては非力だが、すでに2回リディアーヌとエリーゼを救っている。
「ま、もしそうでなくても、俺はバルトルトを選んだ。……非常時に物事を見極めて選択する力が著しく高いからね。それに彼は、人を枠にはめて見ることがない。アルフリートだってわかっているんだろ?」
「……どちらにしろ、バルトルトは俺が誇る友です」
「序列一位もそう言っている。それに、裏切る心配がないというのは何より大きい」
勇者のその言葉に、場の空気が一瞬にして冷え切った。フローリアはどこに行ったのか。そして、フローリアの手にあった魔石と、魔石を額に埋め込んだ魔獣。
「ああ。あの魔獣はフローリアが使役していたものだ。人でありながら魔石を持つフローリアも理外れ。もちろん代償はあるが、魔獣を操る能力を持っている」
「今、全情報を使って探していますが、いまだ見つかっていません」
「うん。フローリアはハイデの里に長い間いた。エリーゼも知り合いではないかな?」
「ええ……よく存じております。長老と同じで私が幼いころからすでにあの姿でしたが」
室内を静寂が支配する。しかし、それを破ったのは再びエリーゼの一言だった。
「彼女のことは私にお任せいただけませんか。里の事は里の者がけりをつけるのが掟です」
「エリーゼ……」
「お嬢様、大丈夫です。お嬢様に何回も苦しみを与えた存在を懲らしめて差し上げます」
そう言ってエリーゼは退室していった。また一つ、リディアーヌの心配事は増えたのだった。
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