商人と勇者
お越しいただきありがとうございます。ブクマや★評価、感想下さった皆さま。ありがとうございます。
✳︎ ✳︎ ✳︎
「バルトルトさま、お久しぶりです」
リディアーヌは、バルトルトとエリーゼを出迎える。久しぶりに会ったバルトルトはあいかわらずあまり頼りにならなそうな雰囲気を醸し出していた。
「エリーゼ、あの魔石の魔獣を、3匹とも倒したと聞いたけれど」
「お嬢様。正確にはバルトルトが2匹です。残りはキースが1匹倒しました」
「流石だな。バルトルト」
「はっ、もったいないお言葉です」
バルトルトは、何故かエリーゼとともに現れた。3匹の魔石の魔獣のうち2匹を、バルトルトが倒したという報告のためだった。バルトルトと勇者を引き合わせる約束をしたのはリディアーヌだ。コルタナの作者は勇者なのだから。
その約束を叶えられたのは良かったと思う。
「魔石の魔獣についての対応は苦慮していた。感謝する」
「は、もったいないお言葉です」
さっきから、バルトルトはそれしか言っていない。そして、そのバルトルトをなぜか、氷点下のような瞳でエリーゼが見つめている。状況が掴めないリディアーヌが、横に立つアルフリートに目をやると珍しく楽しそうに笑っていた。
「よく来たな。バルトルト。先日は俺の願いを聞いてくれてありがとう」
「あ、アルフリート。……お前が勇者の剣序列一位とか未だに訳がわからないよ。アルフリートが強いのは知ってたけどさ」
二人の距離近い。アルフリートがあんなに気負わず話すのは、おそらくバルトルトだけなのだろう。
その時、今はリディアーヌの左手首に戻っていたコルタナがふるふると震えた。
「バルトルトさま。この剣の作者をお教えするお約束でしたね」
「。……あ、忘れてた。これをリディアーヌ様に。ま、なんだか無駄なことをしたかもしれないとは思っていますが」
バルトルトが手渡してきたのは、美しい装飾の黒い本だった。
「申し訳ありません。この短期間では闇の魔法についての本を手に入れることがかなわず。せめてと思い、レ-ヴェレンツ家が所蔵していたこちらをお持ちしました」
「これは……」
バルトルトがリディアーヌに本を渡しながら話す。
「闇の聖女についての記述です……。リディアーヌ様に必要かと思い持参したのですが……」
「それ、私が書いた聖女様と勇者様の本ではないですか。冊数少なかったうえに、もう何百年も前の物をよくお持ちでいらっしゃいましたね」
「ギルマンさんが?」
エリーゼとともに部屋の端に控えていた、執事のギルマンさんが意外なことを言う。
(……ギルマンさんも永くを生きているのかしら?)
「ここに来た時点で、なんとなくこの情報は遅かったという気がしていたんですよ。……というわけで、報酬の作者紹介は諦めますよ」
「はは。バルトルトが剣の事を譲るのは初めて見たな。じゃあ、俺から渡す報酬として作者の紹介をしようか」
バッと顔をあげたバルトルトが、意地わるそうな表情のアルフリートを涙目で見る。
「ありがたいけど、さすがに僕だって予想ついてるんだよ?!」
「そうなのか?」
「そりゃ、この剣から感じるものと同じものを持っている人が目の前にいたらさ!」
「ふーん。バルトルトはおもしろいね」
しまった。という顔をしたバルトルトが、そろそろと勇者の方をみる。
「俺も剣が好きなんだ。剣の言葉がわかるんだろ?俺もわかるんだよ」
「え?本当に??」
「そうさ。君がいれば至高の剣がもう1本作れそうだな。あちらで楽しい話をしよう。もちろんこの剣コルタナの事も全部教えてあげるよ」
「え……なんですか。またしても夢の続きですか…………我が人生に一片の悔いなし!よろこんで!!」
バルトルトはスキップする勢いで勇者とともに別室へ行ってしまった。アルフリートのほうを見ると、もう肩を震わせて笑いをこらえている。年相応な姿を見たリディアーヌは、バルトルトがアルフリートのそばにいてくれたことに、とても感謝した。
「ところで、三匹の魔石の魔獣についての報告を続けてもらえるか」
今まで黙っていたキースが口を開く。今日も黒装束に身を包んでいるが、顔は隠さず緋色の髪と瞳が鮮やかだ。
しかし、その直後キースの意見を聴いた全員が息をのんだ。
最後までご覧いただきありがとうございました。ブクマや★評価、感想をいただけるととてもうれしいです。
*お知らせ*
他作品のリンクが広告下にあります。是非ご覧ください♪




