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共生世界  作者: 舞平 旭
探索
50/179

B3へ

 翌日、彼らは地下3階のメインサーバーの捜索に行く事にした。東京感染症研究所の研究棟は地上5階、地下3階の建物だ。ここは地下2階だから一つ下となる。エレベーターは動かないだろうし、動いたとしても乗るのは危険性が高い。各階のエレベーターホールには、階段室が併設されている。ここから降りて行くしかない。

 彼等は廊下を進み、分厚い扉を通り抜けて階段室に入った。階段の傍の壁には地虫の大きな穴が空いていたが、幸い地虫はいなかった。


「なんだい、この穴は?」


 菊池の問いに、レイヨは簡単に地虫の説明をした。


「まさか、そんな生き物が・・・?とにかく邪魔が入る前に下に降りよう」


 彼女の話は信じられない、荒唐無稽なものだった。まるで安っぽいB級映画だ。第一、そんなに大きな虫など聞いた事が無い。いや、正確には見た事が無いであろう。確かに地球上には存在していた記録があった。石炭紀、今から3億年ほど前。昆虫や両生類が陸の王者として君臨していた時代だ。2メートルのムカデや1メートルのゴキブリ、80センチのトンボなど巨大な昆虫が地球には存在していたのだ。だが自分が寝ていたのは数年なのだ。生物が進化するには早すぎる。もし彼女の話が本当なら、いや、表情からは嘘を言っているようには見えなかったが、突然変異を誘発する何かがあったのかもしれない。放射能か化学物質か、または生物汚染か。


 バイオハザード・・・。


 彼は背筋が凍るような感覚に嫌悪した。



 彼等は階段を下に降りていった。階段の下は扉がしまっており、『B3』という表示が辛うじて読むことができた。彼は扉の把手を握り『開』の方向にレバーを回そうとしたがビクともしなかった。鍵が閉まっているようだ。揺すって見たがやはりビクともしない。自分達にこの防火扉を開けるのは不可能だ。他の入口を探さなくてはならない。

 二人はなす術もなく、元来た階段を上っていった。

 どうしたら良いのだろう?何とかB3に入る方法はないだろうか?


 あな、アナ、穴・・・。まてよ?


「そうだ!確かエアーダクトがあるはずだ」


 彼等は設備図を取りにウェットスリープ室に戻ると、ダクトの位置を確認した。思った通り、このビルは全館空調になっており、ダクトで各階が繋がっている。だがよく見ると少し作図にズレがある。建物の平面図など見慣れていないから、上手くダクトを追えていないだけなのかもしれない。彼等はウェット・スリープ室の壊れたダクトから入ることに決めた。丁度大人が入れるほどの穴が空いているのだ。


「あそこ。あれなら通れるよ。あそこがここだろ?」


 菊池は地図を指し示した。部屋の端に向かうと、四角いマークが記載されていた。


「多分このマークが縦のダクトだと思う。ここから下の階に行けると思うよ」


 彼女には何がなんだかわからないように首を捻っていたが、大きく頷きながら答えた。


「よくわからないけど、タカヨシがそうだと言うなら行ってみよう」


「え?君も行くの?危ないから僕一人で行くよ。それに君は腕も怪我してるだろ?」


「嫌。私も一緒に行く。腕は大丈夫だよ。それに、こんな所に一人でいるなんて怖くて無理」


「でも、元々一人で入って来たんじゃ・・・」


「何?何か文句があるの?」


 彼女は詰め寄ってきた。


「・・・いいえ」


 彼にはこの言葉しか見つからなかった。

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