day124(前線の変化)
第二次反攻作戦が始まって五日目。
前線部隊が感じていた変化は、数字よりも感覚の問題だった。
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第21旅団司令部
「今日の交戦報告です。午前中に二件、午後に一件。いずれも小規模で、短時間で終結しています。負傷者は計四名。命に関わる者はいません」
「魔物の様子は前回と違うか」
「違います。以前は撤退する一方でしたが、今回は迎撃してきました。数は少ないですが、明らかに守ろうとしている場所がある印象です」
「何を守っているのかわかるか」
「わかりません。ただ交戦した場所を地図で見ると、ある程度まとまった地点の手前に集中しています」
「丘か、村か」
「村だと思います。魔王軍に占領されて以来、人が戻っていない集落です」
「報告を上に送っておいてくれ。方針は変えない。引き続き慎重に前進する」
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南部王国第1軍団司令部
「共和国軍に動きがあります」
「内容は」
「我々の進撃方向と異なる進路を偵察している様子があります。旧共和国領の境に近い地点です」
「東部方面軍司令部には伝えたか」
「今伝えました。方面軍司令部は共和国軍師団長に問い合わせ中です」
「問い合わせの結果が来るまで、こちらは何もしない。作戦方針を変える理由がない」
「わかりました」
報告を聞いていた参謀長が口を開いた。
「共和国領が見えてきたということですね」
「そういうことだろう。気持ちはわかる。自分たちの土地が目の前にある」
「我々も、南部王国首都が見えてきたら同じことを考えるかもしれません」
「そうなったとき、どう動くかは今から考えておく必要があるな」
軍団司令官はそれ以上言わなかった。
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共和国第1師団司令部
東部方面軍司令部からの問い合わせに、師団長は丁寧に答えた。
旧共和国領の境付近を偵察したのは事実だが、それは独自行動ではなく地形確認だ、と。
問い合わせを受けた将校が「了解しました」と言って退出すると、師団長は地図を広げた。
それはそうだった。地形を確認しただけだった。
ただ、確認した地形は覚えておく価値があった。
多忙につき今回はここまで




