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アランの襲撃者

 王城にたどり着くとマリナに誘導されてシィルたちの隣の部屋にアランを運んできた。

 すでにミリシアが言うには傷は治っているらしい。


 シィル自身は治っているかどうかはわからない。

 それなのでミリシアの言うことを信じるしかなかった。


 ベッドにアランを寝かせると彼は目を開ける。



「あれっ? ここは?」



 周りを見渡すアラン。そして、シィルの姿を見つけると少し目を大きく見開いた後に全て理解したようで顔を伏せポツリとつぶやいた。



「そうか、シィルくんが助けてくれたんだね」

「いえ、僕は最後にポーションを飲ませただけですよ。ミリシアさんとニーグさんの回復魔法でほとんど治っていたみたいだよ」



 シィルはミリシアから教えられていた言葉をそのままアランに伝える。

 するとアランはミリシアの目をジッと見る。

 ミリシアはシィルに見えないように小さくうなずいた。


「そうか、ミリシアもニーグも助かったよ」

「それで一体何があったの?」



 ミリシアがまだ本調子でないアランに質問する。

 するとゆっくり思い出しながらアランが話してくれる。




 ◇◇◇




 怪しい人物を追いかけていたアラン。

 しかし、追いかけて行った先に白銀の鎧を着込んだ兵士たちが立ちふさがった。

 怪しい人物はそんな彼らの後ろへ去っていく



「後は任せたぞ」



 兵士たちをすり抜ける際にそう呟いたのをアランは聞き逃さなかった。



「お前たち、グルなのか?」

「答える義理はない」



 そういうと突然兵士の一人がアランに切りかかってくる。

 型に当てはまった綺麗な動き。ただ、それでいて素早く鋭い剣筋。

 しかし、その愚直なまでにわかりやすいまっすぐした動きを交わすとこはアランには容易であった。



「突然何するんだ!!」



 アランが兵士に向かって叫ぶ。

 しかし、それに返事する気配がなかった。

 仕方なくアランは応戦するために剣を抜く。

 すると、周りにいた幾人もの兵士たちも一様に剣を抜き始めた。




 ◇◇◇




 それから彼らの剣戟をかわしつつ、少しずつ気絶させていったアラン。

 兵士たちの数は少しずつ少なくなっていったが気がつくと街から少し離れた場所まで来ていた。


 息が上がる兵士たち。一方のアランはまだ余裕すらあった。

 おそらくろくに実戦もしたことのない……訓練だけで剣を鍛えた兵士たちなのだろうとアランはあたりをつける。



「くっ、こんなに強いなんて聞いてないぞ!」



 兵士達は悔しそうに顔を歪ませる。



「誰から聞いたんだ?」

「それは……」



 兵士達は迷い始める。

 このまま戦ってもおそらく自分たちも他の気絶させられた仲間のように意識を失うだけだろう。

 それなら依頼主の名前を挙げて逃げた方がマシではないかと……。



「もちろん、私からだよ」



 突然兵士の後ろから上がる声。

 ぱっと後ろを振り向く兵士だが、その男は問答無用で切り捨ててしまった。

 その太刀筋を見る限り今までの兵士達とは強さの桁が違うと感じる。

 ぐっと剣を持つ手に力が入る。

 そこでようやく男の顔がはっきりと見える。



「お前は……ユースリッド?」

「あぁ、そうだ。全くこいつらは、使えると思って雇ってやったのに役立たずじゃないか! このっ、このっ!」



 ユースリッドに切られ、倒れている兵士達を彼は足蹴にする。

 それを受けるたびに苦しそうに呻く声が漏れる。



「おい、やめろ!」



 アランは声を荒げる。

 と同時に何者かが後ろから切りかかってきた。



「ぐっ、一体お前は?」



 突然の攻撃になんとか襲撃してきた相手だけを見ようとする。

 するとそこには全身をローブで覆い隠した背丈の小さい人の姿があった――。

次話より第四話『王都の祭』になります。


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