祭開催
「大体これが僕の見た光景だよ」
やはり、襲撃者はユースリッドって人のようだった。
つまり、シィル自身を狙うために周りを排除していったのだろう。
「これ、僕が直接そのユースリッドって人に話を行けば――」
「だめ!」
「ダメです!」
まるで名案でも浮かんだといいたげのシィルに対してリウとマリナが大声で反論する。
「どうして?」
「だってリンダさんにあんなことした人なんだよ? お兄ちゃんが行ったら何されるか……」
たしかにリウの言うことも最もだ。
それにマリナも首を振って同意していた。
「うん、わかったよ」
シィルが頷いたことでリウたちはどこかホッとした様子だった。
「それよりも明日の護衛は大丈夫なのですか?」
シィルに聞こえないように小声でマリナが聞く。
「えぇ、彼のポーションを飲みましたからね。今日休んでおけば明日は大丈夫です」
それを聞いてマリナは安心した。
元々この王都にシィルを呼んだのは彼女だったこともあり、自分が祭りにシィルを呼ばなければこのようなことにならなかったのでは……と思っていた矢先に護衛としてついてきたアランが負傷した。
さすがにこの状態では明日は回れないかと思ったが、完全に治って護衛につけるのなら大丈夫だろう。
彼らの他にも祭りということもあり、警備してる兵も多く、マリナ自身を守る兵も付いてくる。
まず複数ではこの守りを突破できないだろう。
そして、単体ならSランクの三人で対処できる。
心に少しゆとりができたマリナはシィルに提案してみる。
「シィルさん、アランさんたちもこの怪我で明日は仕事ができないのでいっしょにお祭りを回ってもいいですか?」
「えぇ、僕は構いませんよ。でもアランさんたちはそれでいいのですか?」
シィルが彼の方へ顔を向ける。
その後ろでマリナが首を縦に振っていたのを見るとアランは一度コクリと頷いた。
「わかりました。では今日はゆっくり休んでくださいね」
それだけ言うとシィルたちは部屋を出て行く。
◇◇◇
祭り当日。
普段通りの姿であるシィルたちの前にドレス服姿のマリナがやってくる。
それを見て固まるシィル。
指をさしながらパカパカと口を開いていた。
そしてようやく言葉を発することができた。
「そ、それで街を回るの?」
「えぇ、ただその前に私も演説があるのですよ。それで私のこの格好はいかがですか?」
シィルの前でくるっと一回転するマリナ。
「うん……、とってもよく似合うよ……」
それ以上の言葉をシィルは口に出せず、彼の後ろでリウがやれやれといった感じに首を振っていた。
◇◇◇
あとはアランたちだけだと隣の部屋を訪ねる。
すると昨日あれほどの怪我をしたとは思えないほど、いつも通りのアランが出迎えてくれた。
「アランさん、もう大丈夫なのですか?」
「あぁ、すっかり良くなったよ。これもシィルくんのおかげだよ」
お礼を言ってくるアラン。
でもどちらかといえばミリシアやニーグのおかげじゃないのかと少しもやもやとした気持ちになる。
「それじゃあお祭りに行こうか!」
アランが嬉しそうに先陣を切ってくれる。
それに続くようにシィル、リウ、マリナ、ケリーが続き、後ろにはミリシアとニーグ、あとはリンダが最後尾を陣取った。
「ニーグ、あんまり見入ったらダメだよ!」
「っ!?」
リンダの主に胸辺りをじっと見ていたニーグ。
それを注意するミリシア。
するとリンダは自分の胸の下に手を入れて、その部分をさらに強調させる。
「いいんだぞ、もっと見て。なんなら触ってみるか?」
「い、いいのか?」
ふらふらっとリンダに近づいて行くニーグ。
しかし、すぐにミリシアに頬をつねられる。
「もう、ニーグは!」
そんな彼らの様子を見てリンダは笑い声を上げていた。
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