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ご存知、清酒《すみざけ》

 川舟屋さんは西三川で選り分けられた銀を二匁量って、また預かり書を書いて、


「これから今までより頻繁に来ます」と言って帰って行った。


 俺は「次は酒も持ってこれるだけ持ってきて欲しい」とお願いしておいた。


 川舟屋さんは今回、米は俺が持って来れるだけ持ってきてくれと言っていたので十俵も持って来てくれていたが、米以外にも、いつも佐渡に来る時に持ってきている商品も持ってきている。

 この頃の佐渡ではいわゆる酒蔵のような酒造りを生業にしているところはないらしく、各々ドブロクのようなモノを作って飲んだり、越後の薩摩屋さんとか今回来た川舟屋さんから買って飲んでいるらしい。


 いずれは酒蔵も造るつもりだけど、まずはやはり逆行転生あるあるの()み酒づくりもしてみたい。

 俺は、今回川舟屋さんが持ってきていた酒を、実験用にと一徳利分(ひととっくりぶん)拝借した。


 俺は村に帰って家(おはまさんとおていさんの家)で、竹で作ったコップを5個並べて、拝借してきた徳利から5個のコップにチョロチョロと均等になるように酒(にごり酒)を入れた。

 俺はその5個のコップに、これまた竹で作ったスプーンで、灰を一匙入れたもの、二匙入れたもの、三匙入れたものと、灰の分量を変えて一晩置いておいた。


 さて、ここで問題なのだか、実は俺は、まぁ下戸ではないが、今まで酒を飲んで美味いと思ったことがない甘党人間だ。

 カルピス酎ハイとかスクリュードライバーとか甘い酒なら飲めなくはないが、それならカルピスとかオレンジジュースを飲む方がいいと思ってしまうような奴なので、俺が味見しても意味がないだろう。


「おはまさん、おていさん、お酒は好きですか?」と俺が聞くと、二人とも


「飲んだことないです」と答えた。


「村で酒好きは誰ですかね?」と聞くと、


「そりゃあ、みんなあれば飲むだろうけど、酒を飲む余裕はないからねぇ…」とおはまさんが答えた。


 てことで、俺はジロべーさんとヨシキチさんに声をかけて家に来てもらい、一晩置いておいた5個のコップから別のコップに酒をデキャンタして、一口づつ二人とおはまさんに飲んでもらった。

(おていさんはちよちゃんにおっぱいをあげなきゃいけないので試飲はなしだ)


 まずは灰を一匙入れたものを飲んで、


「おおぉ、ウメぇ~」とヨシキチさん。

「こりゃたまらんち」とジロべーさん。

「へぇ、お酒ってこんな味なんだね」とおはまさん。


 二匙入れたものを飲んで、


「ウメぇのぉ」とヨシキチさん。

「たまらんたまらん」とジロべーさん。

「さっきのよりスッキリしとるっちゃ」とおはまさん。


 三匙入れたもの、


「ウメぇウメぇ」ヨシキチさん。

「カア〜っ、たまらん!」ジロべーさん。

「もっと飲みやすくなったていっち」おはまさん。


『おはまさんの感想しか役にたたないかも…(;´∀`)』


 四匙入れたもの、


「う〜ん、ちょっと薄くなったかの?」ヨシキチさん。

「そうかの? でもウメぇだ」ジロべーさん。

「全然薄くないちゃ。美味しくなったっちゃ」おはまさん。


 五匙入れたもの、


「いやぁ、だいぶ薄いぞ」ヨシキチさん。

「そうだなぁ、こりゃぁ薄いなぁ」ジロべーさん。

「はぁ、これは確かに薄いっちゃ。だも、おれはこんくらいがええですち」おはまさん。


『なるほど、確か灰を入れすぎると味がなくなるって何かに書いてたような気がする… よし、これも丸投げしよう』


 俺は5個のデキャンタ前のコップに残ったいる酒を、灰が入らないギリギリまで徳利(洗った)に戻して、この戻した酒(5個分混ぜた)と家に貯めてあった灰と、あと竹で作ったコップやらいろいろ持って、まずは隣村の石花様(ゴローザ)の所に行き、一緒に藍原様(クロード)邸に向かった。

この頃の酒の容れ物って樽か徳利だよね?

瓶はないよね?

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