河原田─羽茂会談
西三川砂金採掘場辺り陣幕内
河原田方
河原田本間佐渡守貞兼
沢根本間摂津守賢密
藍原蔵人秀貞
石花五郎左
菱田翔吾(俺)
羽茂方
羽茂本間対馬守高季(羽茂領主)
羽茂本間三河守高信(羽茂領嫡男)
山口光高(羽茂本間家家臣)
羽生帯刀(羽茂本間家家臣)
林主計(羽茂本間家家臣)
俺たち(河原田方五人)はさらにそれぞれ一個づつ銀鉱石を持って陣幕内に入り、双方の真ん中に銀鉱石を置いた。
「対馬守殿、お久しぶりです」と、藍原様が羽茂本間の領主の羽茂高季様に挨拶をする。
「久知との戦以来じゃの」高季様が返事を返した。
俺は例によって例のごとく、羽茂方の面々に名刺を配った。
俺が名刺を配ってまわっているときに、貞兼様が、
「対馬守殿、三河守殿、あらためて此度はすまなんだ」と謝ってから、
「そ奴、ショーゴと言って、うちにやって来た祈祷師のような者じゃ。本人は未来からやって来たと言うておる。そ奴の話を聞いてやってくれ」
と、俺を紹介してくれた。
「河原田のぉ… いきなり未来人じゃと言われてものぉ…」と高季様。
「なんか証拠はあるのか?」と、髙信様。
「この銀鉱石が証拠じゃ」と間に置いた銀鉱石を指さす藍原様。
「この石は銀か?」と高季様。
「銀の原石じゃ。ショーゴが鶴子の山で銀が掘れると申してな。探させたら見つかった」と貞兼様。
「それが証拠じゃと?」と高信様。
「ショーゴ、今日はあれは持っておらんのか?あれを見せてやれ」と藍原様。
「これですか?」
と、俺はスマホを取り出してTHE RiCECOOKERSの「NAMInoYUKUSAKI」(なみのゆくさき)をかけた。
I'm ♪
one step ♫
behind every step ♪
you take ♫
「何じゃ? 何じゃ?」
「うんじゃら、こうじゃら」
「ピ〜ヒャラ ぴ〜ひゃら」
「どうした こうした」
と、曲をかけたり、写真を撮って見せたりと、またスマホで場のみんながひと盛りあがりして、
「今日、河原田軍全員が一人一個これを持って来ています」
と、俺は銀鉱石をひとつ持って言った。
俺はさらに続けて、
「それを全部置いていきますので、砕いて銀を選り分けてください」と言った。
「全部? さっきのと、これだけではなく、まだ持って来ていると言うのか?」と高信様。
「はい、合せて二百個はあるでしょう。それを全部置いていきます。ここでは元々、砂金を選り分ける作業をしていますよね? 置いていく銀鉱石を細かく砕いて、砂金と同じように銀を選り分けて取り出してください」
と俺が言うと、高季様が貞兼様に、
「こ奴の言うちょることは河原田の考えか? こ奴の勝手な考えか?」ときいた。
「河原田の考えじゃ」と、貞兼様は言い、
「今回持ってきたのは、あくまでうちの分家(沢根)がしでかしたことの詫びじゃ。ええ具合に銀を取り出して使こうてくれ。それで、これからのことも話をしておきたい。ショーゴが言うことを聞いてくれ」と、貞兼様が言った。
貞兼様のフリを受けて、俺はまた話し出す。
「あっ、今回持ってきた銀鉱石からどれくらいの銀が取り出せたか教えてくださいね…
「波のゆくさき」をカラオケで歌うと、アウアウレロレロしてしまいがち・・・




